文理両道

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書評:ホーンテッド・キャンパス この子のななつのお祝いに

2015-11-23 08:00:24 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
ホーンテッド・キャンパス この子のななつのお祝いに (角川ホラー文庫)
クリエーター情報なし
KADOKAWA/角川書店



 雪越大オカルト研究会の面々が、怪奇な事件に挑むと言う「ホーンテッド・キャンパス」(櫛木 理宇:角川ホラー文庫)シリーズの第8弾、「この子のななつのお祝いに」

 今回、彼らは、副部長の三田村藍の卒業旅行に出かけるのだが、途中で吹雪に巻き込まれ、近くの村に留まることになる。この村と言うのが、「いくら田舎だといっても、いったいいつの時代の日本だよ!」と突っ込みたくなるような、閉鎖的で古い因習に捕らわれているようなところ。まあ、これはある意味、こういった作品でのお約束。

 村には、恐ろしい瓜子姫の伝説が伝わっている。何しろ蛭子(地方によっては、天邪鬼となっている)が瓜子姫を殺して、自分が着こむために、その頭髪や生皮を剥いで、残りは切り刻んで畑に撒いて肥やしにしたというのだから凄まじい。

 そして、この伝説に関係して、毎年7の倍数の歳の娘が、社(やしろ)に丸1日籠って、訪ねて来る蛭子役の人間を追い返すという奇妙な祭りが伝わっている。この祭りにしても、何年か前に、籠る役の娘が何者かに殺されるという事件があったにも拘わらず、村に災いがないようにと、未だに続けられているのだ。普通なら、殺人事件が起ったら、祭りを次の年から中止するか、やるにしても安全策をきちんと整えるようなことをしそうなものだが、そのような気配もないので、いかに旧習に固執したような村かということが分かる。

 さて、雷で、村に繋がるたった一つの吊り橋が落ちて、舞台はまさに絶海の孤島状態。これが、普通のミステリーなら、オカルト研のメンバーが、一人また一人と殺害されていくのだが、これは、青春オカルト、ラブコメ&ミステリーといったテイストの作品。そんなことは起こらないのだが、代わりに、オカルティックな事件は起きる。明らかになるのは、この村のいわれと、社に籠った娘が殺された事件の真相。

 このシリーズが面白いのは、主役を務める八神森司と灘こよみのラブコメが織り込まれているところだろう。傍から見れば、二人の相思相愛ぶりは明らかなのだが、自分にあまり自身のない森司は、ひたすら自分の片思いだと思い込んで、イケメンがこよみに近づいけば悩み焦りといった具合。結構こよみの方からも秋波を送っているのだが、森司は、まったくそれに気づかないというニブちんぶり。しかし、こよみが危機のときには、自分の身を張ってでも守る。こういったところが、なんとも微笑ましいのである。

 これが最終話ではないようだが、オカルト研の美少女2枚看板のうちの一人が卒業してしまったら、果たして、このシリーズを続けられるのだろうか。本人は、就職してからも、しょっちゅう顔を出すようなことを言っているのだが、仕事をするということは、そんなに甘いものではない(笑)。

 ところで、帯には、中山優馬、安井謙太郎らの出演で、映画化されるとあった。しかし、肝心のヒロイン灘こよみを誰がやるのか書かれていないのはどういう訳だろう。男には興味が無いので、こちらを調べてみると、どうも島崎遥香がその役を務めるようだ。でもこの役、美少女だけど、目が悪いため、いつも眉間に皺が寄っていると言う設定なんだが、大変だろうなあ(笑)。


☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。

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