文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

書評:eビジネス教室

2014-06-08 10:38:03 | 書評:ビジネス
eビジネス教室
クリエーター情報なし
中央経済社


 ちょっと誤解を与えそうなタイトルの、「eビジネス教室」(中村忠之:中央経済社)。eビジネスでどのように金を儲けるかといったノウハウを教える本ではない。

 本書は、情報処理やインターネットという、基礎的な話から、ネット上で展開されるビジネスの数々、更にはマーケティング、セキュリティ、倫理と法といった幅広い範囲までをカバーして概説したものだ。大学のテキストに使われることも念頭に置いて書かれたとあるが、まあ、大学初年級の「概論」の教科書だと見れば良い。概論の教科書だから、内容は広く薄くといった感じだ。だから本書だけで、eビジネスを深く学ぶことはできない。しかし、最初から各論に入るよりは、このような本で、全体の見通しを身につけておいた方が良いだろう。

 この分野は、非常に進展が早いので、発行されたのは2008年だが、統計だけでなく記述の一部にも古さを感じてしまう。例えば、今は、死語同様になったWeb2.0が章のタイトルに使われていたり、Facebookやビッグデータに関する記述がないと言うようなところである。しかし、まだこの分野全体を俯瞰することはできる。

☆☆☆

※本記事は、姉妹ブログと同時掲載です。
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書評:「意識の量」を増やせ!

2014-06-06 20:12:24 | 書評:学術・教養(人文・社会他)
「意識の量」を増やせ! (光文社新書)
クリエーター情報なし
光文社


 三色ボールペンでおなじみの斎藤孝氏の「「意識の量」を増やせ!」(光文社新書)。

 このタイトルはよく分からない。著者のいう「意識の量」というのはいったいなんなのだろう。「量」というからには、計量できるはずだ。そうでないと、「量」について議論してもまったく意味がない。しかしどうやって、その「量」を計測するのだか、そして、意識の「単位」はなにを使うのだろう。計量できないとすれば、「増やせ」と言われても、実際に増えたかをどのような基準で把握するのか。

 こんな疑問を持ちながら読んでみると、もちろん「意識の量」の計量法なんてものは書かれていない。書かれているのは、結局回りや相手に気配り、目配りをしろとか、目的を明確にしろとか、集中力を高めろといった、極めて常識的なことである。「意識増量」のための訓練法など、計量の問題を別にすれば参考にならないこともない。しかし、わざわざ、「意識の量」という言葉を使う必要があるとも思えないのだが。なにか「差異化」を図りたいという気持ちからなのだろうか。

 うまくいかない原因を、「意識不足」という、あいまいなものに帰するのは、よく製造現場などで使われいる「なぜなぜ分析」を行う場合などでは避けなければならない。分析があいまいになると、有効な対策が出てこなくなるからだ。

☆☆

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書評:テンペスタ ~天然がぶり寄り娘と正義の七日間~

2014-06-05 20:17:41 | 書評:小説(その他)
テンペスタ~天然がぶり寄り娘と正義の七日間~
クリエーター情報なし
幻冬舎



 深水黎一郎の「テンペスタ ~天然がぶり寄り娘と正義の七日間~ 」(幻冬舎)。

 30半ばを過ぎても、先の見透しが立たないまま、東京で、大学の非常勤講師を続ける賢一だが、ある日弟の頼みで1週間ほど、9歳の姪を預かることになる。5、6年ぶりで、再会した姪のミドリは、美少女ながらかなり強烈な娘に育っていた。

 なにしろ、行きたいところが、刑場跡。かなりの毒舌で、時々、自称長老になって、賢一に対して偉そうに説教する。おまけに、賢一の懐具合も考えず、やたら高いものを食べたがるのだ。学校でのあだ名は「破壊王」、キャッチコピーは、「嵐を呼ぶ美少女」らしい。

 その一方で正義感が非常に強く、曲がったことには黙っておられない。それが、賢一をハラハラ・ヒヤヒヤさせる。まさに嵐(テンペスタ)のような姪っ子だ。美少女だから良いようなものだが(良いのか?)、そうでなかったら、宅急便でさっさと送り返してしまいたいところである(笑)。

 しかし、ミドリに翻弄されながらも、賢一は彼女が誘拐されそうになった時には、身の危険を顧みずに助けようとする。このヘンな娘にかなり情が移ってしまったようだ。

 こんなストーリの流れから、てっきり冴えない独身男が小生意気な姪っ子に振り回されるコメディかと思っていたら、終盤に入ってものすごい急展開を見せる。傍若無人、わがまま娘だと思っていたミドリのいじらしさには、胸が切なくなってしまう。

☆☆☆☆☆

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書評:テキスト 哲学

2014-06-04 20:14:59 | 書評:学術・教養(人文・社会他)
テキスト哲学
クリエーター情報なし
丸善プラネット


 「テキスト 哲学」(宇都宮芳明:丸善プラネット)、その名の通り、大学の一般教育用の哲学の教科書だ。古代ギリシャの思想家から始まり、現代哲学に至るまでの流れを概論的に示したものである。概論だから、そう深いところまでは解説されず、色々な思想家の思想のエッセンスが陳列されているので、教科書的に誰がどのような考えを提唱したのかを知るのには役立つだろう。

 しかし、本書に示されているのは、西洋における哲学の流れだけで、いわゆる東洋哲学については触れられていない。もちろんこれは哲学というものをどう定義するかにもよる。例えば、ハイデガー研究の第一人者である木田元さんは、「哲学」とは、西洋と言う文化圏に特有の不自然なものの考え方で、本来何の役にもたたないものだと述べている。この定義だと、確かに東洋哲学というものはあり得ない。しかし、梅原猛さんのように、東洋哲学を重視している立場からだとかなり異論があるだろう。

 それにしても、この手の本だと、どうして哲学は、いつもいつも古代ギリシャから始まるのだろう。今さらカビの生えたような古代の思想家の言説など、正直何の役に立つのか分からない。まあ、東洋でも、論語やお経をありがたがるので、人間の思考は、何世紀を経ても、そう進歩がないということなのだろう。しかし、現代哲学にしても、かってソーカルが皮肉ったように、わざと仲間内だけ(もしかすると自分だけ)しか通用しない言葉や概念を使って、自己満足にふけっているのも多いのではないかと思う。

 少々話が脱線したが、本書では、先に述べたように、東洋思想についてはまったく触れられていないし、「構造主義」や、ニュートン力学以来の力学的世界観、これに対するマッハの批判、時空の概念を変えたアインシュタインの「相対性理論」などについてもまったく触れられていない。紙数の関係があるのなら、いっそ、古い時代のものを削って、現代に近い方に重点を置いたらどうだろう。

☆☆☆

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山口サビエル記念聖堂ほか

2014-06-03 20:45:25 | 旅行:山口県


 上の写真は、歩いて病院から宿泊したホテルへ帰る際に、道路から見えた、山口サビエル記念聖堂。元々は、フランシスコ・ザビエルの山口での布教活動400年記念として1952年(昭和27)に建てられたものだが、最初のものは、1991年(平成3)に焼失してしまい、現在は2代目。元の塔は、山口市のシンボルとも言われて、なかなか風情のあるものだったが、新しいものは、御覧の通り、かなり斬新なデザインだ。最初はしっくりこなかったが、いつの間にか、こんなものかと慣れてしまった。




 道路沿いに、やたらとだだっ広いところがあった。山口情報芸術センターというところらしい。どうも、展示スペース、劇場、ミニシアター、市立中央図書館が一緒になった複合文化施設のようだ。2003年(平成15)のオープンらしいので、もうできて10年以上になるが、まだ入ったことはない。
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山口日赤とJR上山口駅

2014-06-01 14:18:09 | 旅行:山口県


 これが山口日赤だ。ここは山口市の中心部から少し離れているので、周りは民家が多く、大きな建物もあまり見当たらない。




 最寄りの駅は、このJR山口線の上山口駅だ。山口駅からひとつ津和野寄りになる。御覧の通り、無人で、駅というよりは停車場のような感じだ。この駅の周りも、商業施設はなにもない。


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