文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

書評:ゴクジョ。1~極楽院女子高寮物語~

2016-06-10 09:18:34 | 書評:その他
ゴクジョッ。 1 ~極楽院女子高寮物語~
クリエーター情報なし
集英社

・宮崎摩耶

 かなりぶっ飛んでいる漫画を見つけた。それが、これだ。主人公は赤羽亜矢という女子高生。いまどきのJKだ。しかし、公式キャラ設定では、IQ1以下のバカ女と書かれるほど、色々と残念なギャル。タカビーで暴走気味だが、以外に奥手で性知識もあまりなく、それが原因で変なことをやってしまう。もちろんまだ経験はない。外見だけならかなりの美少女だというところが、残念さに拍車をかける。

 この亜矢の残念さが、これでもかと出てくるところが面白い。パンツをはきわすれる位はまだ序ノ口。身体測定で、下着勝負とばかり、頭に蛍光灯、背中には鳥の翼と、珍妙な恰好を見せたり、合コンに宇宙服で現れたり。

 彼女を取り巻くJKたちも美少女揃いながら、どれもかなりの変人である。ドMの変態ロリ少女の土呂小夏、妄想巨乳腐女子でやっぱり変態の大和田円、一見クールビューティーだが、夜中に裸で変なお祈りを始める自称霊感少女の宇都宮飛鳥といった面々。比較的まともなのは、七里愛という少女。でも、他の変な人たちにふりまわされて、分類はすっかり変な人。みんな亜矢に振り回されているのだが、なぜか亜矢が好きなようだ。女の子同士で、あんなことやこんなことを・・・(以下略)

 彼女たちの担任教師の尾久要だって負けてはいない。なかなかの美女だが、見た感じはいかにものヤンキー系で、亜矢は、完全にパシり扱い。亜矢の持っていた天狗の面をぶんどって嬉々としている。勿論、面の使用法はご想像の通り。

 この作品で描かれるのは、亜矢を中心に繰り広げられる、ちょっとエッチだが、それ以上に笑える、けた外れにおバカなハイスクールライフ。亜矢が股間を丸出しにして、しょっちゅう自主規制マークがつくというドタバタぶりは爆笑の連続だ。こんなおバカな漫画は大好きである。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。

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薬師寺涼子の怪奇事件簿 水妖日にご用心 上下

2016-06-08 16:27:56 | 書評:その他
薬師寺涼子の怪奇事件簿 水妖日にご用心(上) (アフタヌーンKC)
クリエーター情報なし
講談社
薬師寺涼子の怪奇事件簿 水妖日にご用心(下) (アフタヌーンKC)
クリエーター情報なし
講談社

・垣野内成美/田中芳樹

 本作は、性格以外は完璧美女、人類最強の女である警視庁警視・薬師寺涼子が、部下の泉田警部補とのコンビで、怪奇な事件に挑むシリーズのひとつだ。

 南アジアのメヴァド王国第二王子で内務大臣のカドカが、夢の国「東京ザナドゥランド」を訪れる。ところが、半魚姫に扮した美しき暗殺者が王子を襲う。

 毎回人外の魔物を相手にする涼子と泉田のコンビだが、今回相手にするのはゴユダというワニの水妖。見かけは美女なので、涼子との美女同士の闘いは絵になる。

 上巻では、涼子が東大に入学した時の艶やかな姿が出てくる。大学の先輩に当たる京葉大学文学部平村准教授は、「こんな綺麗な子がなんで東大なんかに来る必要があるんだろう」と思ったらしいが、泉田の心の中での突っ込み(当然口に出して言うだけの度胸はないので)「それはですねキャリア官僚になってですね権力!を悪用!するためなんですよ」には爆笑。泉田君、相変わらず、涼子のお守りで苦労しているみたいだ。

 最後に涼子の可愛らしいスーパーメイド、マリ&リューも出てくるので、彼女たちのファンの方も必見。

☆☆☆☆

※本記事は、「風竜胆の書評」に掲載したものです。
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書評:ぼくらは「物理」のおかげで生きている

2016-06-06 09:19:27 | 書評:学術教養(科学・工学)
ぼくらは「物理」のおかげで生きている (素晴らしきサイエンス) (素晴らしきサイエンスPHYSICS)
クリエーター情報なし
実務教育出版

・横川淳

 今高校で人気のない科目、苦手意識を持たれている科目といえば「物理」は間違いなくワースト3には入るだろう(もしかするとワースト1かも・・・)。

 確かに、宇宙論や素粒子論に関する最先端の分野などは、必ずしも万人に縁があるとは言い難いのだが、私たちの身近なところにも「物理」を応用したものが沢山ある。「物理」は、一般に思われているより、はるかに私たちに身近なものなのだ。

 例えば、電磁調理器やUSBメモリの原理、エアコンの仕組みなどは、物理学を知っておくとよく理解できる。北半球の台風と南半球のサイクロンで渦の方向が違う理由なんかも物理学で説明できるのだ。あの深遠な一般相対性理論さえ、カーナビへ応用されているのである。

 本書は、日常生活のなかで体験する様々な現象や、私たちが普通に使っているハイテク機器などに隠れている「物理のメカニズム」を紹介する目的で書かれたものだという。

 身の回りの道具や現象から、物理の基本的な法則が説明されており、本書を熟読すれば、これまで敬遠していた人でも、もっと物理を身近に感じられるようになるだろう。そのうえ、宇宙物理学や量子力学、相対論に関する話題などの高度な分野にも触れられているので、内容を理解すれば、文系コミュニティでは、ちょっとした物理学通として自慢できるようになるかもしれない(笑)。

 レベルとしては高校物理から大学初年程度だろうか。ただし数式などはほとんど使われていないので、あくまで出てくる物理概念のレベルの話だ。

 本当に物理学を理解しようとすれば、数式の取り扱いに慣れないと話にならないが、物理学に縁がなかった人が、身の回りに見られる現象の物理的な原理を、ざっくりと理解したいならぜひ一読しておくべきだ。特に、自分は文系脳だと思っている人にこそ勧めたい。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。

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書評:探偵の探偵Ⅱ

2016-06-04 08:54:55 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
探偵の探偵2 (講談社文庫)
クリエーター情報なし
講談社

・松岡圭祐


 探偵を探偵する探偵、紗崎玲奈が活躍するシリーズの第2弾。このシリーズは全4巻構成で、この後の巻も既に読んでしまったが、なぜかこの巻のみ読むのが後回しになった。
 
 玲奈には、最愛の妹・咲良をストーカーに残虐に殺されたという悲しい過去があった。妹の住所がストーカーに漏れたのには、非合法な活動をしている悪徳探偵が関わっていたことからこの道に入る。

 今回彼女が挑むのは、DVシェルターの入居者の集団失踪事件とその実行部隊である半グレ集団「野放図」との戦い。そこには玲奈の敵である悪徳探偵「死神」の影があった。

 この巻は、ある意味玲奈の最大のピンチが描かれる。命だけでなく貞操までも危なかったのだ。「野放図」に捕まって、裸で縛り上げられたうえ、もう少しでレイプされたうえにコンクリート詰めにされるところだった。もちろん、これは官能小説ではないので、あんなことやこんなことをされる前に、きちんと王子様?が助けに来るのだが。

 この他にも、後輩で大怪我を負った峰森琴葉の姉夫婦とその仲間から暴行を受け、服を切り裂かれて半裸にされている。クールな感じが売り物の玲奈だが、この巻では、2度も涙を流すような目にあっているのだ。

 玲奈は相変わらず傷だらけで、そのひどさは、DV被害者に間違われるほどである。探偵と聞いて、金田一耕助、明智小五郎などを連想していると、そのギャップの大きさに驚くだろう。

 彼女が心を通わせた窪塚刑事についてもまさかの展開に。この巻はまさに波乱万丈とバイオレンスアクション小説といったところか。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の摂ブログ「風竜胆の書評」に掲載してものです。
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書評:とぼとぼ亭日記抄

2016-06-02 08:21:45 | 書評:小説(その他)
とぼとぼ亭日記抄
クリエーター情報なし
萬書房

・高瀬正仁


 著者は、東京大学を卒業して、九州大学の大学院に進み学者人生を歩いてきた人物である。巻末の著者紹介によれば、専門は多変数解析論と近代数学史ということだ。

 本書の出版時、著者は九州大学基幹教育院教授だったのだが、本書の帯には、これが「<私的>最終講義」だと書かれていたし、あとがきにも「定年退職の日が間近になった」旨書かれていたので、既に退官されたのだろうか。九州大学基幹教育院の教員一覧表にはお名前が見当たらなかった。

 本書は、そんな著者の学生時代を描いた回想記のようなものだ。著者の経歴からは、ある程度数学的な内容が入っているかとも想像していたが、そんなものは微塵もみられない。描かれているのは屋台のラーメン屋をしていた村澤さんという奇妙な人物との交流記だ。なお、登場人物は、一応仮名になっているのだが、誰をモデルにしたかはあとがきには書かれている。

 このタイトルや、帯の内容からは、著者と屋台のラーメン屋との交流描いたほのぼのとした内容を想像していたのだが、読み進めるうちに、その予想は見事に裏切られた。何しろ、この村澤さん、とにかく金にだらしない「生活破綻者」としか考えられない人物として描かれているのである。

 あちこちに借金をこさえていて、仕送りを受けている学生だった著者からも、20万円くらいは借りていたらしい。ある時など、仕送り3万5千円をなぜか勝手に山分けされ、村澤さんの取り分が2万円で著者の手元には1万5千円しか残らなかったという。

 著者がそのまま東大の大学院に進まずに、九大の大学院に進んだのは、もしかして村澤さんから離れたいという思いがあったのかもと想像してしまう。本書には、福岡に行ってからの、村澤さんと彼に愛想をつかした奥さんとの離婚騒動も、手紙という形で描かれている。もし著者がそのまま東京に残っていたら、巻き込まれてかなり神経をすり減らすことになっていたかもしれない。

 著者が、そんな村澤さんとの付き合いに懐かしさを覚えているというのは不思議だ。思い出というものは、年月が過ぎ、セピア色に変わるにつれ、いやだったことも薄れていくのだろうか。

 ところでネットで調べてみると、あれだけ奥さんとの間で泥沼の離婚騒動を繰り広げていたのに、二人の間に生まれた娘さんは、「徒歩徒歩亭」という店を出し、村澤さんのモデルになった方も別の店を開いて繁盛しているようだ。もしかして、この後第二幕と言える物語があったのかもと、気になるところではある。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。


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