一瞬で心をつかむ文章術 (アスカビジネス) | |
クリエーター情報なし | |
明日香出版社 |
・石田章洋
人を引き付ける文章を素早く書くためにはどうしたら良いのだろう。
本書はそのような悩みを持っている人の疑問に答えようとするものだ。ビジネスにおいて文章を書かなければならない人、趣味でブログなどを書いている人。あなたは自分の書いた文章が人の心を掴むようなものだという自信があるのだろうか。
もし自信があるというのなら本書を読む必要はないだろう。しかし、一人でも多くの人に自分の書いた文章を喜んでもらいたいと考えていれば、一度目を通しておいても損はないと思う。
本書で解説されているのは、人に読んでもらうための文章をどのように書けばよいのかということに対する数々の留意点だ。
例えば、文章を素早く書くためには、いきなり書き始めるのではなく、構成や内容などをしっかり考えてから書くのがコツだということや、文章を書く上では「テーマ」、「ターゲット」、「目的」が3種の神器といったようなことである。
後者について若干補足すれば、まず「テーマ」としては、人の心を掴みやすい訴求ポイントがあるということで、アメリカの著名なコピーライターであるジョン・ケープルズの示した12種類のポイントが紹介されている。
「ターゲット」については、どのような人に読んでほしいかを明確にするということだ。文章には読者がいる。誰に読ませるかによって、書き方も変わってくる。つまりは人に読ませる文章を書くためには、一種のマーケティング戦略も必要だということなのだ。また何のために書くのか、目的を明確にしておかないと一本筋が通ったような文章は書けない。
また、文章は「起承転結」だと言われることが多い。しかし本書では、論文などで使われる「序論」→「本論」→「結論」という流れの方を勧めている。「起承転結」型は混乱を招きやすく、論文スタイルの方が広範囲に応用が効くというのだ。確かに、「起承転結」型だと「転」をうまく行うにはかなりのセンスが必要である。下手に「転」をしてしまうと文章の論旨がよく分からなくなってしまうだろう。
この他、文章を書くための材料の集め方、推敲することの大切さなどについてもよく分かる。
本書に書かれていることを実践していけば、あなたの文章力は知らない間に格段に向上しているに違いない。頭の中で考えていてばかりではまったく効果はない。大切なのは、本書にもある通り、書くことを「習慣化」させるということなのだ。
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※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。