文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
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書評:ぼくらは「物理」のおかげで生きている

2016-06-06 09:19:27 | 書評:学術教養(科学・工学)
ぼくらは「物理」のおかげで生きている (素晴らしきサイエンス) (素晴らしきサイエンスPHYSICS)
クリエーター情報なし
実務教育出版

・横川淳

 今高校で人気のない科目、苦手意識を持たれている科目といえば「物理」は間違いなくワースト3には入るだろう(もしかするとワースト1かも・・・)。

 確かに、宇宙論や素粒子論に関する最先端の分野などは、必ずしも万人に縁があるとは言い難いのだが、私たちの身近なところにも「物理」を応用したものが沢山ある。「物理」は、一般に思われているより、はるかに私たちに身近なものなのだ。

 例えば、電磁調理器やUSBメモリの原理、エアコンの仕組みなどは、物理学を知っておくとよく理解できる。北半球の台風と南半球のサイクロンで渦の方向が違う理由なんかも物理学で説明できるのだ。あの深遠な一般相対性理論さえ、カーナビへ応用されているのである。

 本書は、日常生活のなかで体験する様々な現象や、私たちが普通に使っているハイテク機器などに隠れている「物理のメカニズム」を紹介する目的で書かれたものだという。

 身の回りの道具や現象から、物理の基本的な法則が説明されており、本書を熟読すれば、これまで敬遠していた人でも、もっと物理を身近に感じられるようになるだろう。そのうえ、宇宙物理学や量子力学、相対論に関する話題などの高度な分野にも触れられているので、内容を理解すれば、文系コミュニティでは、ちょっとした物理学通として自慢できるようになるかもしれない(笑)。

 レベルとしては高校物理から大学初年程度だろうか。ただし数式などはほとんど使われていないので、あくまで出てくる物理概念のレベルの話だ。

 本当に物理学を理解しようとすれば、数式の取り扱いに慣れないと話にならないが、物理学に縁がなかった人が、身の回りに見られる現象の物理的な原理を、ざっくりと理解したいならぜひ一読しておくべきだ。特に、自分は文系脳だと思っている人にこそ勧めたい。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。

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