文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

書評:探偵の探偵Ⅱ

2016-06-04 08:54:55 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
探偵の探偵2 (講談社文庫)
クリエーター情報なし
講談社

・松岡圭祐


 探偵を探偵する探偵、紗崎玲奈が活躍するシリーズの第2弾。このシリーズは全4巻構成で、この後の巻も既に読んでしまったが、なぜかこの巻のみ読むのが後回しになった。
 
 玲奈には、最愛の妹・咲良をストーカーに残虐に殺されたという悲しい過去があった。妹の住所がストーカーに漏れたのには、非合法な活動をしている悪徳探偵が関わっていたことからこの道に入る。

 今回彼女が挑むのは、DVシェルターの入居者の集団失踪事件とその実行部隊である半グレ集団「野放図」との戦い。そこには玲奈の敵である悪徳探偵「死神」の影があった。

 この巻は、ある意味玲奈の最大のピンチが描かれる。命だけでなく貞操までも危なかったのだ。「野放図」に捕まって、裸で縛り上げられたうえ、もう少しでレイプされたうえにコンクリート詰めにされるところだった。もちろん、これは官能小説ではないので、あんなことやこんなことをされる前に、きちんと王子様?が助けに来るのだが。

 この他にも、後輩で大怪我を負った峰森琴葉の姉夫婦とその仲間から暴行を受け、服を切り裂かれて半裸にされている。クールな感じが売り物の玲奈だが、この巻では、2度も涙を流すような目にあっているのだ。

 玲奈は相変わらず傷だらけで、そのひどさは、DV被害者に間違われるほどである。探偵と聞いて、金田一耕助、明智小五郎などを連想していると、そのギャップの大きさに驚くだろう。

 彼女が心を通わせた窪塚刑事についてもまさかの展開に。この巻はまさに波乱万丈とバイオレンスアクション小説といったところか。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の摂ブログ「風竜胆の書評」に掲載してものです。
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