くらべる時代 昭和と平成 | |
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東京書籍 |
・(文)おかべたかし、(写真)山出高士
本書は、写真により、昭和と平成のいろいろな「モノ」を比較したものである。ただし、昭和は激動の時代だ。途中には戦争という大きな断続点が存在している。
本書が焦点を置いているのは、おそらく戦後の「昭和」である。私を含めて、既に戦争を知らない世代が世の中の大多数を占めている現在、戦後の「昭和」に焦点を置くのはある意味当然だと思う。
既に平成生まれの人がアラサー世代になっている時代だ。「昭和は遠くなりにけり」ではあるが、あの時代に自然に囲まれた田舎で少年時代を送った者としては、本書を読むと、なんとも懐かしいものと再会した気分になってくる。
ところで、昭和と平成の一番の違いは技術進歩だろうと思う。私達が生きる平成の世では、カメラはデジタルが主流となり、信号機はLEDから構成されるようになった。半導体技術の進歩により、携帯も驚くほどコンパクトになっている。
しかし、あの昭和の時代、まだまだ田舎にも人がおり、活気があった。確かに現在は、あのころと比べると比較にならないくらい便利になったが、その一方では私たちは大きなものを失ったような気もする。
人はそれを単なるノスタルジーというのかもしれない。本書は、あのころを知っている人間を、そんなノスタルジーに浸らせてくれる。
☆☆☆☆
※初出は、「本が好き!」です。