文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

くらべる時代 昭和と平成

2017-06-26 22:05:26 | 書評:学術・教養(人文・社会他)
くらべる時代 昭和と平成
クリエーター情報なし
東京書籍

・(文)おかべたかし、(写真)山出高士

 本書は、写真により、昭和と平成のいろいろな「モノ」を比較したものである。ただし、昭和は激動の時代だ。途中には戦争という大きな断続点が存在している。

 本書が焦点を置いているのは、おそらく戦後の「昭和」である。私を含めて、既に戦争を知らない世代が世の中の大多数を占めている現在、戦後の「昭和」に焦点を置くのはある意味当然だと思う。

 既に平成生まれの人がアラサー世代になっている時代だ。「昭和は遠くなりにけり」ではあるが、あの時代に自然に囲まれた田舎で少年時代を送った者としては、本書を読むと、なんとも懐かしいものと再会した気分になってくる。

 ところで、昭和と平成の一番の違いは技術進歩だろうと思う。私達が生きる平成の世では、カメラはデジタルが主流となり、信号機はLEDから構成されるようになった。半導体技術の進歩により、携帯も驚くほどコンパクトになっている。

 しかし、あの昭和の時代、まだまだ田舎にも人がおり、活気があった。確かに現在は、あのころと比べると比較にならないくらい便利になったが、その一方では私たちは大きなものを失ったような気もする。

 人はそれを単なるノスタルジーというのかもしれない。本書は、あのころを知っている人間を、そんなノスタルジーに浸らせてくれる。

☆☆☆☆

※初出は、「本が好き!」です。
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