曇り、26度、91%
先月福岡に帰ったときは酷暑でした。夜中になっても30度を切りません。しかもこの私には肉体労働が待ち構えています。東京からやって来た息子一家、出不精になって来ている義母も連れてうなぎを食べに行くことにしました。実はこれは主人の提案、義母の気分転換、息子一家においしい鰻をと思ったのでしょう。
「吉塚」といううなぎ屋さんがあります。中洲の川端に立つ老舗のうなぎ屋です。タモリがここのうなぎが一番と言ったばっかりに、外人客までくる行列のできる店です。数年前、主人息子といった時にも並んで待ちました。今回は小さな孫娘、年寄りと一緒ですから予約をしなさいと香港にいる主人に幾度も言われました。前日電話を入れましたが、生憎定休日。当日の開店すぐに電話したら、夕方からの座敷席はもう予約済みでした。夕方の5時くらいなら座れるかもしれませんとおっしゃいます。早めのお夕飯にする事にしました。
通された3階の座敷席、まだ明るく川端の柳の緑が目に飛び込んできます。満席ではありません。車の中で寝てしまった孫娘、目を覚ませば走り回るかもしれません。早く来てよかったと思います。メニュウなんてうなぎしかありません。大人はうな重、孫娘はうな丼。私は蒲焼きだけ。うな重はご飯と蒲焼きが別々に2段になっています。もちろん、肝吸いが付いています。 蒲焼きで皮がパリッとしているのがここのうなぎの特徴です。味はというと、関東のうなぎのような濃い味付けではありません。やや醤油が強い身の締まりのあるうなぎです。うなぎ屋さんですから、ビールと日本酒だけかと思えば、ワインもありました。白人客はいませんでしたが、韓国人のお客さんが立て続けにやって来ます。うな重ひとつですから長居するお客もいません。
最近すっかり食が細くなった義母が、ご飯を少し残したもののすっかり食べ上げました。孫娘もうなぎ好き、うな丼をうまくスプーンで食べ上げました。子供はいる、年寄りもいるであれこれしていて、すっかり肝心のうなぎの写真がありません。写真のお重は私の蒲焼き。写真がないのは、きっと蓋をとったら直にパクパクしたからかもしれません。実は、鰻を一番食べたのはうな重の方達ではなく、蒲焼きだけを頼んだ私でした。みんな鰻が好きです。ほかのものなら息子やお嫁さん、義母にも分けてあげたでしょうが、うなぎばかりは私の分は全部自分のものです。
身の締まったうなぎはくどい脂っこさがありません。ご飯が終わったら皆で南西の方に向かってご馳走さま。つまり、主人がいる香港に向けてです。私達ばかりが美味しい思いをしました。帰りの車の中、義母が面白いことを言います。「なんだか声がきれいになったみたい。」ひと月程、夏風邪で声が掠れていました。確かに鰻を食べてから声がきれいに出ています。今回の帰国で一番楽しかった短い時間です。
ここ「吉塚」は、その日のうなぎが終わるとお店じまいです。福岡へ行かれたら、是非お立ち寄りください。