チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

大橋歩さんの雑誌「アルネ」

2016年09月30日 | 日々のこと

曇、24度、76%

 随分前に「アルネ」という小さな雑誌が本屋さんに並んでいたことを覚えている方も多いと思います。もう70歳を越されたイラストレーターの大橋歩さんがご自分で編集もインタビューも写真も撮って作られた雑誌です。雑誌というより小冊子。きっとこの手の冊子の走りだったと思います。ふた月に一度の刊行、五年間で30冊でおしまいになりました。先日、あるところに大橋さんがもう一度だけ「アルネ」を作るために、この夏、忙しい思いをなさったと書かれているのを読みました。「アルネ もう1回」だそうです。今度日本に戻ったら、本屋にまず行こうと思います。

 昨日、出先から戻るとポストに茶封筒が入っていました。最近はお店のパンフレットだってメールで入って来ます。何だろう?と手に取ると日本の友人からです。クリスマスでもないし、誕生日もまだ先だし、とエレベーターの中で待ちきれず封を切りました。中から出て来たのが、「アルネ もう1回」。私の顔は一遍に明るくなったと思います。この友人、思わぬ時にドンピタリのものを送ってくれます。お礼のメールを送って、夕飯の用意までにはまだ時間があるのでベットにゴロンと横になり、パラパラとページをめくりました。

 五年間に出された30冊の「アルネ」は宝物のように大事にとってありました。主人が日本に出張で戻る度に買って来てくれました。売り切れたら大変とばかりに、息子に買って貰ったこともありました。大橋さんの古い本もこれまた宝物です。3年前から香港の家にある本などを日本の家に送り返しています。その度に本の整理をします。雑誌は一番に整理の対象になります。数冊の「芸術新潮」と「考える人」を残して捨てることにしました。かなり勇気が要りました。30冊の「アルネ」の中から最初の六冊に載っていたアルフレックスの椅子の絵だけを切り取りました。 後日知ったことですが、大橋さんはこのアルフレックスの椅子の絵をご自分で描いて、その広告収入を得られたのだそうです。 椅子の下の犬は大橋さんが飼っていたダルマーかしらと思います。どんな雑誌かって、それは「大橋ワールド」です。紙の質、写真の配置、普通の雑誌とは趣を異にしていました。食べ物のこと、服のこと、ちょっと社会的な話まで大橋さんの語り口で重たくなく書かれています。

 私は大橋さんのファンです。しかも、かなりの年季です。「平凡パンチ」の表紙を書かれていた頃は子供でしたが、父の机の上にはその雑誌が。「アンアン」「オリーブ」イラストばかりか文章を書かれてもすっと胸に落ちて行きます。息子が小さい頃は、「スタジアム」というパジャマ屋さんを東京青山の紀ノ国屋の裏で開かれました。小さなお店でした。しかも売っているのは主に子供用のパジャマです。量産ではありませんから、季節の前に予約をします。まだ薄暗い印象のあった青山の裏通りに「スタジアム」は小さいながら真っ白なお店でパッと明るさを添えていました。確か材木屋さんの隣でした。

 息子が35年程前に着たパジャマ、 夏物は汗滲みが取れません。それでもそのプリントの可愛さから、日本の家の茶箱に仕舞ってあります。この「スタジアム」で作られた数少ない食器も息子の家で健在です。

 久しぶりに手にした「アルネ」。同じ紙、同じ本の作り。これで、ほんとに最後かしら。きっとまた大橋さんのことだから作ってくれるわね、とファンは思います。

 雑誌好きな私は、ひとつの雑誌を何度も何度も繰り返し見ます。この「アルネ もう1回」、送ってくれた友達のことも思い出しながら、ありがとう。

コメント
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