晴れ、26度、73%
七味唐辛子が好きです。あまりにもそう書くので皆さんお勧めのものを教えてくださったり、送ってくださったり。ありがたいことです。
唐辛子のはっきりと全面に出た善光寺ややげんぼり七味唐辛子はストレートな辛さです。京都や大阪の山椒の香り豊かな七味唐辛子は山椒の辛みも加わってその香りも楽しめます。ところが、封を切った途端この善光寺風でもなく関西風でもない香りに圧倒されたのが、富岡市の吉田屋の七味唐辛子でした。
封を切って最初に鼻に飛び込んで来るのは炒りごまと青のりの香り、しかも深い深い香りです。七味唐辛子を何故おうどんやお味噌汁に使うのかと自分の事を顧みます。メリハリかな、ピッリと味が締まるというか、アクセントを付けるというか、そんな意味で七味は欠かせません。そして私が求めているのは辛みばかりかその香りもあることに気付きます。
善光寺やげんぼりの七味唐辛子を食べていると、赤い唐辛子の甘い香りを感じます。味ではなく赤唐辛子の持つ香りです。もちろん関西風の七味唐辛子は、奥の深い山椒の香りです。山椒の辛みも加わりますから辛さ自体も唐辛子の直裁的な辛さではありません。でも、辛い。
ここ吉田屋の七味唐辛子は、このどちらの辛みもありません。「大辛」ですらさほど辛くありません。辛みを求める人には少し残念な話です。ところが炒りごまと青のりのこの香りは、何ものにも代え難い。どこかでこんな香りの衝撃を覚えたなと振り返ります。そうそう、京都の「原了郭」の黒七味を最初に匂ったときの衝撃です。じっくりと炒られたやや油染みた感じのその香りです。
吉田屋の七味唐辛子は、全国販売のものではありませんが、頼めば国内は配送してくれるそうです。辛みが少ないと思われる節は、一味唐辛子を足してもいいかもしれません。「大辛」を温かい白いご飯にふりかけのようにかけます。それだけで、ご飯のお代わりが欲しくなります。ひと味、いえ、ひと香り違う富岡市吉田屋の七味唐辛子です。