曇、18度、54%
私の自家製酵母はレーズンが種です。よその方の酵母を見たことがないので、匂いを嗅いだり何やら白いおりのようなものが出来て来たら使えるかなというくらい適当に作っています。イーストのように発酵する力が読めません。気長に膨らむのを待ってやります。酵母を作るとなぜかハードなフランスパンのタイプが作りたくなります。粉と水と塩、そして酵母だけですから、粉の旨味も酵母の力も一番はっきりするパンです。バター、ミルク、砂糖、卵が入ればそれだけでパンは美味しくなります。素材の力が試されるハードでリーンなフランスパンです。
今回はライ麦粉と全粒粉を加えて焼きました。カンパニューです。ライ麦粉を加えるとパン自体が重くなり縦の膨らみも少なくなります。ライ麦粉ばかりで作るドイツパンを思い浮かべれば、いかにライ麦粉がねっとりしているかわかるでしょう。重すぎるパンは苦手ですが、ライ麦粉は香りもまたそれなりの魅力があります。焼き上がりも持ち重みのするパンになりました。
フランスパンは外側のクラストと中のクラムの食感の違いも楽しめます。クラストがいかにパリッと焼きあがるかはオーブンの温度の問題です。この家のガスオーブンは見事にそこをクリアしてくれます。香港で使った3台の電気オーブンはフランスパンを焼くには火力が足りませんでした。それでもどのオーブンも蒸気を入れながら焼く大変な仕事をこなしてくれました。
クラムにできる大きな気泡はガスが抜けた跡です。クラムは艶を帯びて柔らかく、スープでもソースでも吸い取ってくれます。何もつけずにガブリ。噛み締めると、クラストの甘みが口に広がりました。さて、美味しいバターもあります。何をつけようかな?ふと、香港から持ち帰ったクルミオイルを開けていないことに気づきます。思い出しただけでクルミオイルの香りが鼻先をくすぐるほど香りのいいオイルです。
クルミオイルはハシバミ色。加熱しなくても香ばしい香りが立ちます。 十分にクラムにクルミオイルを含ませて、お口にポイ。小麦粉、全粒粉、ライ麦粉の香りとクルミオイルの香りが合わさって口に広がります。そして粉の旨味、オイルの旨味が伝わって来ました。これはうまい。
3日続けて朝ごはんはこの組み合わせです。美味しいハードなパンが手に入ったら、クルミのオイルで召し上がってください。お勧めします。