夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『毛皮のヴィーナス』

2015年01月11日 | 映画(か行)
『毛皮のヴィーナス』(原題:La Venus a la Fourrure)
監督:ロマン・ポランスキー
出演:エマニュエル・セニエ,マチュー・アマルリック

前述の『馬々と人間たち』とハシゴ、同じくテアトル梅田にて。

19世紀後半に発表された小説家マゾッホの『毛皮を着たヴィーナス』をモチーフに
ブロードウェイで大ヒットした二人芝居を映画化。
ロマン・ポランスキー監督による舞台劇の映画化となれば、期待が膨らむというもの。
ホントに出演者はふたりのみ。
お金がないわけじゃなかろうに、お金があるからこそできるのか、面白い試みです。

マゾッホの小説『毛皮を着たヴィーナス』を基にした舞台のオーディション会場。
見込みのある女優はまったく見当たらず、不首尾に終わる。
スタッフも引き払ったあと、ひとりで苛立ちを募らせる舞台演出家のトマ。

そこへ飛び込んできたのが無名の女優ワンダ。
オーディションに申し込んだが遅刻してしまった、今から受けさせてほしいと言うワンダだが、
見た目はこの舞台にふさわしいと思えない。
はっきり言ってタイプではないと、トマは彼女を追い返そうとするが、
ワンダはしつこく食い下がり、ちゃっかり持参した舞台衣装に着替えているではないか。

なんだかんだでワンダに押しきられ、オーディションが始まる。
客席で審査するはずだったトマは相手役を務めさせられ、
台本を最初から最後まで読んで演技を強いられることになってしまい……。

いつのまにか男女の関係が入れ替わり、主従関係も逆転します。
どうしてこうなっちゃったのと気づいたときにはもう遅い。
一度入れ替わった関係は元に戻せず、呆然とするトマの姿に苦笑。
女は怖いと思わずにはいられません。

正直に言うと、劇場で観る醍醐味にはちょっと欠けました。
女の二面性という点でも、ワンダは終始、品がないように見えて、
豹変したというイメージは抱けず。
舞台で観るほうが迫力があるのではないかと思います。

ちなみに主演のエマニュエル・セニエはポランスキー監督の現在の奥様。
奥さんを主演にこんな作品を撮るなんて、監督はマゾっ気があるのでは。

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