夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『サンバ』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の10本目@なんば)

2015年01月13日 | 映画(さ行)
『サンバ』(原題:Samba)
監督:エリック・トレダノ,オリヴィエ・ナカシュ
出演:オマール・シー,シャルロット・ゲンズブール,タハール・ラヒム,イジア・イジェラン,
   イサカ・サワドゴ,エレーヌ・ヴァンサン,リヤ・ケベデ他

空席があったので『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』を観ましたが、
この日そもそも観るつもりだったのは本作。
『最強のふたり』(2011)の監督が、同じくオマール・シーを主演に迎えて。
コメディドラマとの触れ込みですが、そうだったのは最初だけ。
観終わってみれば、どこがコメディやねんと突っ込みたくなるようなシリアスな作品でした。

セネガルからフランスへやってきて10年、
調理師免許を取って料理人になる日を夢見ながら、今は真面目に皿洗いをするサンバ。
一流レストランに勤める在仏歴25年の叔父に同居させてもらっている。

ところが、手違いからビザの更新が認められず、国外退去を命じられる。
拘束されたサンバの話を聞いた移民協力ボランティアのアリスは、
なんとか彼の力になりたいと思うが、なかなか上手くいかない。

とりあえずは1年間、目立たぬように生きること。
そして1年後に再び書類を申請すれば、滞在を認められるかもしれない。
なんとも気の長い話だが、叔父やアリスの言いつけを守ってサンバは日々を送る。

移民の苦情を聞く立場にあるアリスだが、実は今は本業の休職中。
あまりに多忙で理不尽な日々のせいで精神を病み、
その治療の一環になるかもしれないとボランティアを引き受けたのだ。
不幸な人の話を聞いて平穏ではいられないアリス。
しかし、サンバと一緒にいると落ち着くことができて……。

『最強のふたり』を好きだった人が、同じ感動を求めて本作を観ると、
きっと「こんなはずじゃなかったのに」と暗澹とした気分に陥ります。
格差社会の中では誰も容赦してくれない。
生きるすべを必死で見つけ、奪い取ったものは何が何でも自分のものに。
そうするよりほかにないのだという現実を突きつけられます。

アース・ウィンド・アンド・ファイアーが楽しかった『最強のふたり』。
本作ではボブ・マーリーがその役割を担っていますが、気分ノリノリとはほど遠く。
映画は楽しい気持ちで終わりたいという人には向きません。
あの予告編でこれはないだろうという気もするけれど、
前作より本作のほうが真摯でよかったという人も結構多いかも。

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