夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『白夜のタンゴ』

2015年01月27日 | 映画(は行)
『白夜のタンゴ』(原題:Mittsommernachtstango)
監督:ヴィヴィアーネ・ブルーメンシャイン
出演:ワルテル・“チーノ”・ラポルテ,ディエゴ・“ディピ”・クイッコ,パブロ・グレコ,
   M・A・ヌンミネン,カリ・リンドクヴィスト,レイヨ・タイパレ,アキ・カウリスマキ他

「来年度に繰越不可分の有休を消化するために取った休み」第2弾は、第1弾の翌々日に。
レディースデーの水曜日だったので、どこで観ても1,100円。
せっかく戻ってきたなんばパークスシネマのメンバーズカード、
ポイントの有効期限が切れる前に行かなくちゃとは思いましたが、
車で行っても電車で行っても微妙に遠いなんばパークス。
この日の最終目的地は肥後橋だったので、その前にうろうろするのも面倒になり、
久々のシネマート心斎橋で3本ハシゴすることに。
単館系劇場のいいところは、時間の効率が非常にいいハシゴができることですね。

ドイツ人監督による、ドイツ/フィンランド/アルゼンチン作品。
ちょっと愉快なドキュメンタリーで、ロードムービーとも言えます。

ブエノスアイレスで活動するタンゴミュージシャン、
ヴォーカリストのチーノとギタリストのディピとバンドネオン奏者のパブロ・グレコ。
タンゴ誕生の地がアルゼンチンだということは世界共通の認識のはず。

ところが、フィンランドの巨匠アキ・カウリスマキ監督が、
タンゴ誕生の地はフィンランドだと断言。
フィンランド人はタンゴが自国で生まれたと信じているらしいではないか。
そんな言い分は絶対に認められない、確かめに行ってやろうじゃないかと、
3人はフィンランドへと旅立ちます。

3人はフィンランド各地を巡り、地元のミュージシャンとセッション。
また、農業が本業の音楽家のもとを訪ねたり、国民的タンゴ歌手レイヨ・タイパレに会ったり。
物静かなフィンランド人の中には、陽気なアルゼンチン人に家まで来られて
ノリについていけるだろうかと心配した人もいるようですが、音楽が繋ぐ力は凄い。

タンゴのフィンランド誕生説に物申すと意気込んでいたけれど、
つたない英語で「俺は腹が立っているんだ(=angry)」と言うべきところを
「俺は腹が空いているんだ(=hungry)」と言ってしまい、文句にならずに大笑い。

白夜のフィンランドで道に迷い、困っていると向こうからやってくる車。
リヤカー状のそれの荷台に積まれた箱を遠目に見て「ピーナッツ売りか」と3人は思いますが、
なんとそれは携帯サウナ。さすがフィンランド、スゲェなと感心する姿も可笑しい。

アルゼンチン人が「証拠はないけど、タンゴはアルゼンチン」と力説するのを
穏やかな微笑みを浮かべて聴くフィンランド人。
化け物呼ばわりされても笑っていられるぐらいですから、
やはりフィンランド人は器がデカイのかも。

最後はどこが発祥の地でもそんなことは問題じゃないと思えて。
良いものは世界中のみんなのもの。
もちろん演奏も楽しい、素敵な1本です。

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