『TAR/ター』(原題:Tar)
監督:トッド・フィールド
出演:ケイト・ブランシェット,ノエミ・メルラン,ニーナ・ホス,ソフィ・カウアー,
ジュリアン・グローヴァー,アラン・コーデュナー,マーク・ストロング他
イオンシネマ茨木にて、前述の『デスパレート・ラン』とハシゴ。
なかなかに長尺の158分。
音楽てんこもりの作品かと思いきや、序盤は音楽ほぼ無しで会話のみ。
なのに意外と眠くならず。最近、眠くなるかならないかがとても大事(笑)。
眠らなかったことイコール好きな作品だったというわけではありません。
まるで実在の人物をモデルにしたかのような作品ですが、彼女は架空の人物です。
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団で女性として初の首席指揮者となったリディア・ター。
自伝の出版を控え、作曲家としても活躍する彼女だったがスランプ中。
新曲が作れなくて困っているのに、ベルリンフィルでの録音がプレッシャーとなっている。
マーラーの交響曲の中で唯一残っている第5番を録音する日が近づいているのだ。
そんな折、以前リディアが指導した若手指揮者クリスタが自殺したという報せが届く。
クリスタからの何通にも及ぶメールにリディアが取り合わなかったと世間が知れば責められる。
リディアは秘書のフランチェスカに隠蔽を指示するが上手く行かず。
SNSではリディアを糾弾する動きが活発になり、リディアは困り果てるのだが……。
プレッシャーを感じているというような台詞は一切ないのに、
ケイト・ブランシェットの行動から、彼女が明らか正気を失っていくのがわかります。
些細な音が大きく聞こえて、音のもとを探りに行くリディア。
メトロノームの音を夜中に確認しに行く姿などはその辺のホラーより怖かったほど。
ジュリアード音楽院での彼女の指導が間違っていたとは思わない。
けれども一旦悪評が出てしまうと、発言の一部が切り取られ、くっつけられて、
とんでもないハラスメントのように伝わってしまいます。
指揮者としては素晴らしくても、日常の人との接し方に問題があれば、
何かあったときに誰も助けてはくれないでしょうし。
彼女のことを好きになれないから、映画としては好きではありません。
でも確かに、ケイト・ブランシェットの演技は凄まじかった。
あと、マーク・ストロングはつるっぱげのほうが好きです。こんなカツラの彼は嫌(笑)。
あ、後半は音楽も堪能できますよ~。