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『愛にイナズマ』

2023年11月03日 | 映画(あ行)
『愛にイナズマ』
監督:石井裕也
出演:松岡茉優,窪田正孝,池松壮亮,若葉竜也,仲野太賀,趣里,高良健吾,MEGUMI,
   三浦貴大,芹澤興人,笠原秀幸,北村有起哉,中野英雄,益岡徹,佐藤浩市他
声の出演:鶴見辰吾
 
日本シリーズ第2戦の日、出かけている場合じゃないよと思うけど、
寄席のチケットを予約しているし、どうせ京セラドームのチケットは取れなかったし、
なんとなく負けそうな気もするから、予定どおり落語を聴きに行くことに。
このところ毎月定例化している、落語の前に映画
なんばパークスシネマにて2本、その1本目。
 
石井裕也監督のことは『川の底からこんにちは』(2009)以来大好きです。
確かそれで私は満島ひかりのことも知りました。
映画がご縁で結婚したふたりは5年後に別れちゃいましたけど。
ほんで!? 石井監督ってば、またしても女優と再婚してはるやん。一回りも下の。
今から5年前に再婚した奥さんは相楽樹だそうです。
 
私生活はさておき、石井監督のオリジナル脚本による本作、やっぱり好きでした。
 
毎日どんなときもカメラを携えて歩く26歳の折村花子(松岡茉優)。
自らのへっぽこ家族を描いた脚本がプロデューサー・原(MEGUMI)の目にとまり、
ようやく念願の映画監督デビューの日が近づいてきた。
 
新人監督の花子に助監督として帯同することになったのはベテランの荒川(三浦貴大)。
荒川は花子のやり方にいちいち文句を付け、原もそれに同意。
思うように事を進められず、金も入らないから家賃を滞納して困る花子。
 
そんな折、バーで出会ったのが、食肉流通工場に勤める舘正夫(窪田正孝)。
偶然にも花子が監督する映画のオーディションを受けたのが正夫と同居する落合(仲野太賀)で、
正夫はもともと花子の名前を知っていたことから意気投合。
まったく空気の読めない正夫だが、花子にとっては逆にそれが落ち着く。
 
やがて原と荒川によって花子は監督を降ろされ、落合も仕事を失って首を吊る。
企画だけを奪われたうえにギャラもまったく貰えなかった花子は激しい怒りに駆られ、
正夫を連れて10年以上連絡を取っていなかった父親・治(佐藤浩市)のもとへと向かう。
 
実は治は末期の胃癌に冒されており、子どもたちにそれを知らせようとしていたところ。
長男・誠一(池松壮亮)、次男・雄二(若葉竜也)が一堂に会し、
花子は正夫の協力のもと、家族を被写体にカメラを回しはじめるのだが……。
 
幼い頃に出て行った母親について、真実を何も知らされていなかった子どもたち。
母が去った後、自宅で暴れるようになった父のことも本当は何も知らなかった。
父親の余命わずかになってからようやくわかったこと。
 
こんな感じだとお涙頂戴になりがちですが、全然そんなことはない。
ふきだしたシーンがいくつもあって、さすが石井監督だと思う。
 
特筆すべきは正夫役の窪田正孝。親友の落合以外とはろくにしゃべれない。
人と目を合わせることができず、おどおどしているふうなのに、信念は強い。
こんな役の彼は初めて見ました。
彼が治を抱きしめるシーンは『リトル・ミス・サンシャイン』(2006)を思い出す。
 
池松壮亮、若葉竜也もすごくイイ。
池松くんはこの間観たばかりの『白鍵と黒鍵の間に』よりずっと良いから。
カッコいいぞ、長男!
バーのマスター役の芹澤興人にも笑わされたなぁ。いつもいい俳優さん。
 
「全然そんなことはない」と書いたけど、ちゃんと泣きました。
笑った、泣いた、切なかった。大好き。がんばれ。

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