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『リアル 完全なる首長竜の日』

2013年06月15日 | 映画(ら行)
『リアル 完全なる首長竜の日』
監督:黒沢清
出演:佐藤健,綾瀬はるか,中谷美紀,オダギリジョー,染谷将太,
   堀部圭亮,松重豊,小泉今日子,浜野謙太,青木綾平他

映画に関してはわりと何でも楽しめるほうだと自負しています。
つい最近「途中で挫折した映画」なんてのもありましたが、それは非常に珍しいこと。
世間的に評価が低い作品だとしても、どこか見どころはあったりして、
それをも楽しめる人間だと、自分で思っていたのですけれど。

第8回『このミステリーがすごい!』大賞の大賞受賞作だった『さよならドビュッシー』
そして第9回『このミステリーがすごい!』大賞の大賞受賞作がこちら。
監督が監督だし、キャストも豪華だし、それなりに期待していたのですが、
期待度に反したという点からすると、『さよならドビュッシー』より駄目だったかも。
もうこうなると、『このミス』大賞受賞作の映画化は全部駄目な気がしてきちゃいました。

グロテスクな作風で人気のある漫画家、淳美は、
一年前にスランプを苦にしてか自殺を図り、そのまま昏睡状態に。
淳美と幼なじみで同棲していた恋人の浩市に対して、
医師の相原は「センシング」という最新医療を提案。
これにより、浩市は淳美の意識の中へ潜り込むことに成功する。

自殺の真相を尋ねようとする浩市に、淳美は首長竜の絵を探してきてほしいと言う。
それはふたりがまだ幼かった頃、当時を過ごした飛古根島で淳美が描いた絵。
完璧だったあの絵をもう一度見ることができれば、
漫画家としての自信を取り戻せそうな気がすると。

浩市は絵を探すもなかなか見つからない。
そして、センシングを何度か施すうちに、副作用なのか幻覚が見えるようになる。
その中に必ず現れるずぶぬれの少年。彼はいったい誰なのか。
浩市は飛古根島に行ってみようと思い立つのだが……。

ここから思いっきりネタバレです。

実は昏睡状態に陥っていたのは淳美ではなく浩市。
このくだりは想像に難くなく、現実と妄想の境界がはっきりしない時点で
もしかしたらそうなのではと、『さよならドビュッシー』のときのような嫌な予感。
実際そうなって、なぁんだとまずガッカリ。

それでも上映時間はまだまだ残っているため、
ほかにいくつも捻りがあるのではないかと期待するのですけれども、
序盤に散らばる意味ありげなアイテムにさして重要性もなく。
三途の川を一旦越えた浩市を淳美が執念で引き戻すという、嗚呼、愛のなせる技。
それだけが言いたかったのかとしばし唖然。

幻覚の中に登場する、直視に耐えないグロテスクな数々の死体。
ずぶぬれの少年は貞子並みに怖くて、まるでホラー映画。
かと思いきや、終盤に突然現れる首長竜との対決シーンはパニック映画。
もう何がしたかったのか、まるでわからんちん。

ホント、私の映画のハードルって低いんですけどね、
半年の間に2本も唖然呆然とする作品に当たってしまうとは。ぶーぶー。

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