『ダンサーインParis』(原題:En Corps)
監督:セドリック・クラピッシュ
出演:マリオン・バルボー,ホフェッシュ・シェクター,ドゥニ・ポダリデス,ミュリエル・ロバン,
ピオ・マルマイ,フランソワ・シヴィル,メディ・バキ,スエイラ・ヤクーブ他
前述の『私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター』でくじけた後、本作を観る。
同じくシネ・リーブル梅田にて。
フランス/ベルギー作品。
セドリック・クラピッシュ監督のことがとても好きです。
なんというのか、観るといつも清々しい気持ちになれる。
この監督の奥さんが誰かとか知らなかったのですが、いま調べてみたらローラ・ドワイヨン。
「知らなかったのですが」って書いたけど、前にめっちゃ書いてるやん、私。(^o^;
そうでしたか、クラピッシュ監督の義父はあのジャック・ドワイヨンでしたか。
奥さんよりもお義父さんよりも、私はクラピッシュ監督の作品が断然好きだ。
パリ・オペラ座。
エトワール(=最高位)を目指すバレリーナのエリーズは、その夢が今まさに叶うというとき、
舞台袖で恋人が別の女性を追いかけるのを目撃してしまう。
動揺したままステージに上がった結果、転倒して足首を負傷する。
捻挫ではあったものの、古傷も完治していないことを医師に指摘され、
数ヶ月様子を見てよくならないようであれば手術必至であること、
手術すれば2年は踊れないであろうことを告げられる。
ショックから立ち直れないエリーズは、以前一緒にバレエをしていたサブリナに偶然会う。
すでにバレエを諦めて今は女優を目指しているサブリナは、
それだけでは食べていけないからとモデルの仕事などをしているらしい。
サブリナから仕事を紹介してもらったエリーズは、彼女とはウマが合うと感じる。
サブリナの恋人は出張料理人のロイック。
今度の出張先ブルターニュへアシスタントとして同行することになったエリーズは、
そこでコンテンポラリーダンスのメンバーと出会い……。
ロイックが出張するのは、スタジオ併設の宿泊施設。
オーナーは脚に障害のある女性ジョジアーヌ。彼女のさりげない励ましが○。
ロイックの料理も美味しそうだし、サブリナとの痴話喧嘩も笑えます。
物語としては、一流のバレリーナになれそうだったところ怪我をして挫折しかけ、
ジャンルは違えども踊ることを再開する女性が主人公だから、『裸足になって』とそっくり。
でも国が違うからこっちのほうが軽め。どちらもよかった。
クラピッシュ監督がダンスを取り上げるとは意外。
ホフェッシュ・シェクターという本物のダンサー率いる実在のダンスカンパニーが登場し、
シェクターと何名かのダンサーが本人役で出演しています。
そして主演のマリオン・バルボーも本物のオペラ座のダンサー。
コンテンポラリーダンスは私にはわからない世界ですが、興味は湧きました。
エリーズが「クラシックバレエに出てくる女性は必ず悲劇に見舞われる。
死んでしまったり、亡霊になって出てきたり」とぼやくシーンにホントだわと思いました。
エリーズを担当する療法士のヤンもエリーズと同時期に恋人の裏切りに遭い、
お互いを慰め合ううちに恋に進展すると思い込んでいました。
その様子がかなり可笑しくて、劇場内に笑いが溢れたのも嬉しいこと。
エリーズに無関心を装ってきた父親が、バレエのレッスンに我が子を連れて行っていた頃を思い出すシーンには、
こちらももらい泣き。
ちょっと笑ってちょっと泣く。このバランスが良い作品でした。