『先生の白い嘘』
監督:三木康一郎
出演:奈緒,猪狩蒼弥,三吉彩花,田辺桃子,井上想良,板谷由夏,ベンガル,風間俊介他
イオンシネマ茨木にて、前述の『ブリーディング・ラブ はじまりの旅』の後に。
原作は『月刊モーニング・ツー』に2013年から4年間連載されていた鳥飼茜の同名漫画。
公開前から「インティマシーコーディネーター」の件で話題になりました。
これは、映画やテレビ、舞台等でヌードやセックスシーンがある場合に、
作品の制作者と出演者両者の意向を汲み取って調整する仕事なのだそうです。
R15+指定の本作に主演する奈緒が、インティマシーコーディネーターを三木康一郎監督に要請、
しかし「監督と女優の間に人を挟みたくない」と三木監督が却下したとのこと。
そのせいで話題になり、一部では炎上商法ではと囁かれましたが、
三木監督ぐらい売れっ子の監督なら、いまさら炎上して売ろうとも思っていないのでは。
で、さぞかし過激な性描写になろうかというところ、確かに反吐が出るような描写ではありますが、
高校教師の原美鈴(奈緒)は内向的な性格で、化粧っ気もなく地味でいることをむしろ心がけている。
そんな美鈴の親友は、真逆と言っていい渕野美奈子(三吉彩花)。長身で美人、社交的。
ある日、美奈子から恋人の早藤雅巳(風間俊介)との婚約を告げられた美鈴は動揺する。
というのも、以前美奈子の引越しを手伝ったさいに紹介された早藤にレイプされたから。
その後も早藤から呼び出されるたびに、嫌悪しつつも応じてしまっていたのだ。
そんな折、美鈴が受け持つクラスで、生徒の新妻祐希(猪狩蒼弥)のことが話題になる。
おとなしくてからかいの対象になりがちな祐希だったが、
人妻とラブホに入るところを目撃され、それをネタにまたからかわれているらしい。
教師の間でも問題になり、事実無根であると祐希に言わせるように命じられた美鈴。
ところが祐希から話を聴いてみるとそれは事実で、
しかも人妻から性行為を迫られたせいで祐希は女性のアソコ不信に陥っていると言い……。
若手を起用して軽めの明るい作品を撮ってきた印象の三木監督だから、
こんな作品も撮るんだわと思いました。ちょっと意外。
美鈴が早藤の呼び出しを断れずに会いに行ってしまうところ、
そのせいで余計に次も会わねばならなくなってしまうところ、
相手を嫌悪しているはずなのに、実はそんな自分をいちばん嫌悪しているところ、わかる気がします。
でも、風間俊介演じる早藤がゲスすぎるからなのか、
今までの三木監督の作品と趣が違いすぎるからなのか、
違いすぎるわりにやっぱり若手人気役者起用のイメージはそのままだからなのか、
ゲスなのにメジャー作品とは変わらない気がして、なんだかバランスがよくない。
これって、もしかすると脱ぎ方が中途半端だからなのかもと思ってしまいます。(--;
性暴力に屈することなく立ち向かえという意気は感じました。