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『このろくでもない世界で』

2024年08月05日 | 映画(か行)
『このろくでもない世界で』(英題:Hopeless)
監督:キム・チャンフン
出演:ホン・サビン,ソン・ジュンギ,キム・ヒョンソ,チョン・ジェグァン,
   パク・ボギョン,キム・ジョンス,チョン・マンシク,ユ・ソンジュ他
 
TOHOシネマズなんばにて。
上映スケジュールを開くまで、こんな韓国作品が公開されているとは知りませんでした。
 
監督は本作が長編デビューとなるキム・チャンフン。
原題の英語訳が“Hopeless”ですもの、つらい話であることは容易に想像できます。
 
18歳の男子高校生ヨンギュは貧しい暮らしのなか、継父からの日常的な暴力に怯えている。
継父の連れ子で義妹に当たるハヤンとの仲も決して良好とは言えないが、
同じ高校に通うハヤンがいじめられるのは看過できず、同級生である相手を殴って停学処分に。
しかも相手の親から示談金を請求され、にっちもさっちもいかなくなる。
 
バイト先の中華料理店に給料の前払いを求めたところ断られたうえに、
殴った相手から報復を受けたときに顔にできた傷を理由にバイトをクビに。
途方に暮れるヨンギュに、店の客として来ていた犯罪組織のリーダー、チゴンが金をくれる。
 
金を貯めてこの町を出たいと考えるヨンジュはチゴンのもとを訪ね、自分を雇ってほしいと頼むのだが……。
 
ヨンギュ役のホン・サビンはこれが映画初主演とのこと。知りません。
男前でもないし。でもめちゃめちゃ上手いです。
そしてチゴン役のソン・ジュンギのことも私は知らなかったのですが、
今まで知らなかったことが悔やまれるほどカッコイイ。
 
チゴンは血も涙もない人に見えるけど、ヨンギュに昔の自分を見るようで放っておけません。
言葉は少なくても優しいことが伝わってきて、最後はそれが命取りになる。切なすぎて胸が痛い。
 
ハヤン役は“BIBI”として知られるR&Bの人気歌手キム・ヒョンソだそうで、
もしも日本でリメイクするとしたら西野七瀬じゃないかなと思います。
「クソアマ」「クソ野郎」と言い合う義理の兄妹の関係がとてもよかった。
 
お金があれば幸せってことはない。でもお金がなければ絶対に困る。
貧困生活の中で虐待に耐えている子どもたちはいったいどれぐらいいるのか。
やむにやまれずサラ金で借金してとんでもないことになる親子がヨンギュ一家以外にもいて、
胸は痛むけれどどうしようもないし、どうかしようと動くこともない。そんな自分がいます。

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