夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『劇場版 びったれ!!!』

2016年01月09日 | 映画(は行)
『劇場版 びったれ!!!』
監督:金田敬
出演:田中圭,森カンナ,岩崎未来,日向丈,池田鉄洋,黒田大輔,西田篤史,
   池谷公二郎,城みちる,国広富之,山本耕史,竹中直人他

『恋人たち』『ディーン、君がいた瞬間』を観た翌日の27日(日)は忘年会のダブルヘッダー。
昼間はグランフロント大阪の“世界のビール博物館”で友だち2人と会うことになり、
その前に1本だけ、シネ・リーブル梅田にて本作を。

田島隆原作、高橋昌大漫画の『奮闘!びったれ』を実写化した深夜枠TVドラマの劇場版。
ドラマ未見ですが、予告編がなかなか楽しそうだったので観に行きました。

伊武努(田中圭)は、広島県のもみじ司法合同事務所に所属する司法書士。
かつては誰もが恐れる極道だったが、現在はすっぱり足を荒い、
亡き姉の娘かりん(岩崎未来)を男手ひとつで育てているシングルファーザーでもある。

ある日、かりんが通う幼稚園のパパ友から相談を受ける。
以前、努に助けられたそのパパ友は、会社から不当解雇されそうだと言う。
勤務先の社長が病に倒れたせいでバカ息子が大きな顔をし、
怪しげな会社に乗っ取られそうになっているらしい。

相手の会社の顧問弁護士・霧浦(山本耕史)と面会した努は、
黒幕が父親の伊武制覇(竹中直人)であると知る。
自分が儲けるためならどんな汚い手も使う父親のことは絶対に許せない。
努は霧浦に見事に対抗、乗っ取り話は白紙にさせるが、
努の過去を幼稚園やご近所さんに暴露され、かりんがいじめに遭うように。

ほとぼりが冷めるまで、努の補助者を勤める杉山栄子(森カンナ)がかりんを預かってくれることに。
杉山は休暇に田舎の温泉町へ帰郷するさい、かりんを連れてゆく。
元気のなかったかりんも杉山の実家でもてなしを受けてご機嫌。

その温泉町では近ごろリゾート開発の話が持ち上がり、土地買収が進められていた。
ハンコを押さない住民は、不動産会社の嫌がらせを受けている。
なんとか町を守れないかと杉山が悩んでいたところへ霧浦が現れる。
霧浦は同郷の出身で、杉山が兄同様に頼っていた相手。
久々の再会に喜ぶ杉山は、その黒幕が制覇だとは知らずに霧浦に相談し……。

極道上がりの司法書士。
そうそういないとは思いますが、いてほしいと思いたくなるような田中圭くん。
努のことをもしかしたら暴力的な悪い人間なのではと悲しむかりんが、
本当の悪党を目の前にした努に「悪い人でもいいから、闘って!」というシーンが泣かせます。

TVドラマの域は出ないけれど、役者たちのTV以上の演技も楽しめる1本。
嫌らしさ満点の竹中直人のマヌケな姿にクスッ。

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元旦に届いた訃報。

2016年01月08日 | まるっきり非映画
私が「世界一の聞き上手」だと思っていた男性が亡くなりました。
たった1歳上のひと。51歳でした。

初めてお会いしたのは20代の半ばすぎだった頃。
元ヤンで、まだ剃り込みの名残あり。
「うわっ、この人、靴のさき尖ってる」。
そんな見た目に反し、とてつもなく優しく、おもしろい人。
まわりにいる誰をも笑わせてくれました。
「かっちゃん(=私)、昔つきおうてた子にそっくりやから、
初めて会うたとき、ビックリしてん。どないしょうかと思ったわ」。
よくよく聞いてみれば元カノはソープ嬢で、こっちがビックリ。光栄ですけれど(笑)。

ものすごい聞き上手でした。
話し手がこう言ってほしいと心の内で望んでいることを言ってくれる人。
たとえば愚痴りたいだけのとき、絶妙の相づちを打ちながらただ聞いてくれて、
「ほんまやなぁ、めっちゃ腹立つなぁ。そんな奴、俺がしばいてきたるわ」。
きっとこの人がホストになったらNo.1。
だけど、ボトルなんて入れようとしたら「もったいないからやめとき」と言いそうな人でした。

結婚式のときには参列者に元ヤン多数。
新婦が読み上げるご両親への手紙に、いかつい面々がおいおい泣く様子に失礼ながら爆笑。
そして5日前、正月3日の告別式。
いい年をした男の人たちがあんなに泣いているお葬式に参列したのは初めてです。
元ヤンらしからず、ソフトボールのチームに所属。
早起きして練習に走る姿を想像するとまた似合わない(笑)。

阪神の調子が良いとき悪いとき、よくメールをくれました。
そういえばこのご夫婦にも甲子園のあの席に座ってもらったことがあります。
はからずも年間予約席の思い出がまたひとつ増えてしまいました。

とても寂しいです。
空の上で笑ってくれていますように。

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『ディーン、君がいた瞬間』

2016年01月07日 | 映画(た行)
『ディーン、君がいた瞬間』(原題:Life)
監督:アントン・コルベイン
出演:ロバート・パティンソン,デイン・デハーン,ジョエル・エドガートン,アレッサンドラ・マストロナルディ,
   ベン・キングズレー,ローレン・ギャラガー,ピーター・ルーカス,マイケル・テリュー 他

前述の『恋人たち』の後、同じスクリーンの同じ席で本作を鑑賞しました。
もちろん端っこの席。

ジェームズ・ディーンのポートレート写真で有名になった写真家デニス・ストック。
ふたりの撮影旅行に焦点を当てた伝記ドラマです。

1955年のアメリカ。
野心に燃える若手写真家デニス・ストックはジェームズ・ディーンと出会う。
試写を見てディーンにカリスマ性を感じたデニスは、ディーンがスターになると確信。
ライフ誌にフォトエッセイの企画を売り込むと、
ディーンを追ってニューヨークへと向かう。

撮影にまるで乗り気でないディーンは、デニスをとことん振り回す。
それだけでなく、ワーナー・ブラザース社長のジャック・ワーナーの言いつけを守らず、
あっちへふらりこっちへふらり、誰もディーンの動きを掌握することができない。

それでもデニスはなんとかディーンの気持ちを掴み、
ディーンの故郷インディアナへの旅に同行することになるのだが……。

ディーンを演じるのはデイン・デハーン
結構好きな若手俳優ではありますが、男前とはちょっと異なる特徴ある顔立ち。
彼のディーン役はどうなんだろうと思っていたところ、
あの万年クマのあるような顔が、精神的に落ち着かないディーンと合っていました。
そんな彼が故郷で見せる表情が楽しげかつ寂しげで良い感じ。

鑑賞前はむしろこちらのほうがディーンに合っていると思われたロバート・パティンソンがデニス役。
ちょっと髪の毛が薄くなってきたのが役者としては功を奏しているような。
単なる男前の役ではなく、さまざまな役が回ってくるようになりました。
故郷でのディーン姿を見て自らの息子との接し方を変えたシーンが好きでした。

映画監督であると同時に著名な写真家でもあるアントン・コルベイン監督。
撮影のシーンと本物の写真が上手く使われています。

薄命だったジェームス・ディーン。
お正月にひとつ上の大好きだった男性(本当に、誰からも愛される存在でした)の訃報に接し、
どうしてこんなに早く死んじゃったんだろうとしみじみ思います。

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『恋人たち』

2016年01月06日 | 映画(か行)
『恋人たち』
監督:橋口亮輔
出演:篠原篤,成嶋瞳子,池田良,安藤玉恵,黒田大輔,山中崇,
   内田慈,山中聡,リリー・フランキー,木野花,光石研他

12月26日(土)にテアトル梅田にてハシゴした2本のうち、1本目。

『ハッシュ!』(2001)、『ぐるりのこと。』(2008)ともにピタリと来た橋口亮輔監督。
本作も観たい観たいと思っているうちに1日1回の上映に。
こりゃ劇場で観るのは無理だとDVD化されるのを待つ気でいたところチャンス到来。
ただただ暗いというレビューも見かけましたが、私はかなり好き。

現代の生きづらい日本で毎日を過ごす3人の男女が主人公。
脇を固めているのは芸達者な個性派俳優ですが、
主演は橋口監督が主催するワークショップで見いだされたほぼ無名の3名。

橋梁点検の仕事に就いているアツシ(篠原篤)。
数年前、最愛の妻が通り魔殺人事件の犠牲者となり、喪失感を拭えないまま。
精神疾患を訴える犯人への憎しみは募るばかりで、
なんとか奴を罰するために、裁判が可能だと言う弁護士に望みを託している。

アツシの話を聞き入れたのはエリート弁護士・四ノ宮(池田良)。
しかしその実、顧客の話に耳を傾けているふりをしているだけ。
ゲイである四ノ宮には同棲中の男性がいるが、
彼が本当に想っているのは学生時代からの友人・聡(山中聡)。

弁当屋にパートに出ている主婦・瞳子(成嶋瞳子)。
ヤリたいときしか声をかけてこない夫・信二郎(高橋信二朗)、
どうにもソリの合わない姑・敬子(木野花)と暮らしている。
退屈きわまりない生活のなか、弁当屋に鶏肉を卸す業者・藤田(光石研)と親しくなる。

こんな3人が主人公。

3人のうち、四ノ宮に対しては自己チューなふるまいに嫌悪感を抱きましたが、
見ているのが辛くて仕方ないのはアツシ。
どこに向けてよいのかわからない怒りを抱え、
なんとか気持ちに整理をつけたいと思っているのに、どうにもならない。
保健課の職員(山中崇)は冷ややかで、先輩(リリー・フランキー)はいい加減。
上っ面の言葉だけが通り過ぎるなか、黒田大輔が演じるアツシの上司はよかった。

怪しい水を売って稼ごうとするスナックのママに安藤玉恵
この人が出ているだけで笑ってしまうのですが、
別に好きでこんなことをしているわけではない、
でも人を騙しでもしなければ生きていけないんだよという開き直りが感じられます。

瞳子役の成嶋瞳子は新人らしからぬ堂々ぶり。
新人といってももうオバハン、こちらも開き直りがすばらしく、
まるっきりのオバチャン体型をさらけ出した体当たり演技。
束の間の夢が消え去ったときの呆然とした表情は他人事とは思えません。

橋口監督、これからも楽しみです。

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『クリード チャンプを継ぐ男』

2016年01月05日 | 映画(か行)
『クリード チャンプを継ぐ男』(原題:Creed)
監督:ライアン・クーグラー
出演:シルヴェスター・スタローン,マイケル・B・ジョーダン,テッサ・トンプソン,
   フィリシア・ラシャド,アンソニー・ベリュー,グレアム・マクタヴィッシュ他

前述の『映画 ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年』の後、
TOHOシネマズ梅田別館アネックスへ移動。
12月初めの改装後、むきだしだった入り口に扉が付き、
階段やフロアの絨毯が敷き直されてシックに。
照明も落とされてちょっとオシャレな雰囲気になっています。
が、トイレを覗いてみたら相変わらず和式だった。
みんながいちばん改装を望んでいるのはそこだと思うのよ。

“ロッキー”シリーズの続編というのかスピンオフですと。
いろんなことを考えるものですねぇ。
『フルートベール駅で』(2013)のライアン・クーグラー監督と
主役を演じたマイケル・B・ジョーダンのコンビ復活。
脇役でも名前は最初にクレジットされるシルヴェスター・スタローンの貫禄。

亡くした妻の名前を冠したレストランを営み、
いまだ英雄としてもてはやされながらも孤独に暮らすロッキー・バルボア。
ある日、彼のもとへ青年アドニス・ジョンソンが現れる。

アドニスは、かつてロッキーと死闘を繰り広げた永遠のライバルにして
無二の親友だったアポロ・クリードの隠し子。
少年時代のアドニスは、自分の父親のことを知らず、荒れた生活を送っていた。
しかし、アポロの妻メアリー・アンが彼を引き取り、
十分な教育を受けさせて立派に育て上げたのだ。

アドニスはメアリー・アンに心から感謝しているものの、
どうしてもボクシングへの思いを断ち切ることができない。
一流企業に入社して昇任したばかりだというのに辞職。
ロッキーを訪ねてトレーナーになってほしいと懇願する。

すでにボクシングの世界からは足を洗ったつもりでいたロッキーだが、
アドニスの情熱に突き動かされ、ついにトレーナーを引き受ける。
父親の七光りでリングに上がりたくはないと、
クリードを名乗らずにジョンソンで通そうとするアドニスだったが……。

どうにもこうにも予想できる展開なのに、その王道に泣かされしまいます。
マイケル・B・ジョーダンは凄い肉体。色っぽくていいですねぇ。
対する無敵のはずのチャンピオン役がいまいちしまらない体でガクッ。

場内はオッサン客で満杯。
何年経とうと客を呼べるロッキー。もう一度観たくなります。
私は“スター・ウォーズ”よりもこっち。続編ありそう。

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