雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

日のうらうらと

2014-05-03 11:00:04 | 『枕草子』 清少納言さまからの贈り物
          枕草子 第二百七十三段  日のうらうらと

日のうらうらとある昼つ方、また、いといたう夜更けて、子の時などいふほどにもなりぬらむかし、大殿ごもりおはしましてにやなど、思ひまゐらするほどに、「男ども」と、召したるこそ、いとめでたけれ。
夜半ばかりに、御笛の声のきこえたる、また、いとめでたし。


日がうららかに照っている真昼時、あるいは、すっかり夜も更けて、「夜中の十二時頃になってしまったでしょう。天皇もおやすみになってしまったかしら」
などと、推察申し上げていますと、
「蔵人はおらぬか」
と、お呼びになられたのは、実にすばらしいことです。
真夜中ごろに、天皇の御笛の音が聞こえてくるのは、これも、とてもすばらしいことでございます。



少納言さまが宿直にあたられている時の様子が描かれているのでしょうか。実に穏やかな章段だと思います。
なお、真夜中に天皇が蔵人をお呼びになったのが「いとめでたけれ」といいますのは、真昼や真夜中などのお召しは、政治向きのことではなく、趣味的なものであるからのようです。
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