雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

何を考えているのでしょうか

2017-07-07 08:46:08 | 麗しの枕草子物語
           麗しの枕草子物語

               何を考えているのでしょうか

男というものは、一体何を考えているのでしょうね。本当に分かりませんわ。

とても美しい女性を見捨てて、失礼ですが、とても器量の見劣りする女と同棲しているなんて、どういう考えからなのでしょうか。
宮中に出仕していてそれなりの評判を得ている人とか、良家の御子息などは、大勢の女性の中から、見目麗しく気立ての良い女性を選んで懸想なさるべきです。
また、例えとても手が届きそうにない女性であっても、「本当にすばらしい」と思われる女性を、命をかけて恋するのが良いのです。
立派なお屋敷の女性や、深窓にあって見ることも叶わないような人で評判の高い女性こそ、「ぜひ、わが妻に」と思いますでしょう。それでいながら、女の目から見ても、「実につまらない」と思われる女を愛するのは、あれはいったい何なのでしょうか。

容貌に優れ、心根もやさしく、字を書けばすばらしく、歌も情緒あふれるものを詠みというすばらしいお方が、男の薄情を悲しんで手紙を寄こしたりしますのに、男といえば、調子の良い返事だけはするものの、家には寄り付かず、他の女の所へ通ったりしているのは、あきれてしまい、人ごとながら腹が立ってきますわ。
まあ、男というものは、女の苦悩というものを、全然分かっていないのですよ。全く・・・。


(第二百五十段・男こそ・・、より)
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