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雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

言葉は人柄を表す

2017-07-31 08:55:04 | 麗しの枕草子物語
          麗しの枕草子物語

               言葉は人柄を表す

言葉遣い一つで、お人柄って分かってしまうものですよ。

手紙に書かれた言葉の失礼な人ときたら、全く憎々しいものです。何様のつもりか知りませんが、世間を小馬鹿にしたような、適当に書き流している言葉遣いが憎らしいのですよ。
反対に、それほどでもない人に対して、馬鹿丁寧な言葉遣いというのも、これもまた良くありません。
馬鹿も小馬鹿も困ったもので、このような失礼な言葉遣いの手紙は、自分が受け取ったものばかりでなく、他人の所に来たものでさえ腹立たしくなってしまいます。

それは手紙に限ったことではありません。
面と向かって失礼な言葉を遣っているのは、さらに苦々しいものです。
田舎風の人がお国言葉丸出しで話すのは、真摯な気持ちさえあれば、それはそれで愛嬌というものです。そうではなくて、さんざん都の暮らしをしている人が、敬語や謙譲語を満足に遣うことが出来ず、相手の呼び方や自分を指す言葉さえわきまえていないのを見ますと、いくら知識が豊かでも幻滅してしまいます。
使用人や郎党などが、高貴な御方や仕えている主人の悪口を言ったり、乱雑な言葉を遣ったりしているのを見ますと、その者たちばかりでなく、その主人のお人柄さえ疑いたくなってしまいます。

こんなことを申し上げますと、「あなたは細かなことに気が付き過ぎる」という人がいますが、どうも私も、口うるさい嫗(オウナ)に近づいてしまったのでしょうか。


(第二百四十四段・文言葉なめき人こそ、より)
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