雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

たくましい人はいるものだ

2021-02-25 18:44:59 | 日々これ好日

      『 たくましい人はいるものだ 』

    『 ブラジル・サンパウロ州在住の 101歳の女性が 
      好物のワイン代を自分で稼ごうと 地元の企業に履歴書を送り
      ネット交流サービス(SNS)で 話題になっている。
      女性の元には 大量のワインが届くなど 
      大きな反響があったという。 (以下割愛) 』
     これは 本日の毎日新聞夕刊から流用させていただいたものですが 
     何とも微笑ましく 嬉しくなってしまいました
     それにしても 101歳にして このたくましさは すばらしく
     及ばないまでも 見習わねばならない・・・
     とは 思うには思うのですが うーん・・・

                     ☆☆☆ 
     
     

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軒のしのぶも

2021-02-25 07:58:36 | 新古今和歌集を楽しむ

   わが恋も 今は色にや 出でなまし
          軒のしのぶも 紅葉しにけり

           作者  花園左大臣

(  NO . 1027   巻第十一 恋歌一 )
           わがこいも いまはいろにや いでなまし
              のきのしのぶも もみじしにけり

* 作者は、平安時代後期の公卿。( 1103 - 1147 ) 行年四十五歳。

* 歌意は、「 私の恋も 今は顔色に出てしまったのか 軒のしのぶ草も 紅葉してしまったので 」といった、ごく分かりやすい恋歌であろう。なお、「軒のしのぶ」というのは、シダ植物の一種。

* 作者の花園左大臣とは、源有仁(ミナモトノアリヒト)のことで、後に左大臣に昇った頃に花園離宮を賜り居住したことから付けられた呼称である。
有仁は、後三条天皇の第三皇子・輔仁親王の長男である。皇族であったときは、有仁王と呼ばれていたことになる。

* 父の輔仁親王も皇位継承候補の一人であったが、有仁王が白河上皇の養子となったのは、皇位継承候補といわないまでも、白河上皇にとっては、貴重な玉であったことは確かであろう。しかし、1119 年 5 月に鳥羽天皇に皇子(顕仁親王・後の崇徳天皇)が誕生したことによりその可能性は低くなり、おそらく皇位継承を巡る軋轢を避けるために、あるいは有仁王の身を守るために、同年 8 月には、有仁王を臣籍降下させ、源の姓が与えられた。

* 皇族の地位を失うということがどういうものか、一般人には想像がつかないが、圧倒的な身分制度優先の時代、相当の大事であったと思われる。同時に、当時の皇嗣を巡る抗争は尋常のものではなかったのかもしれない。
しかし、皇族の地位を離れた有仁には、貴族として並外れの待遇が準備されていた。王の身分を離れて源有仁となると同時に、従三位権右中将に叙任され、十七歳にして公卿の地位が与えられている。白河上皇の意向が強く働いたものであることは 間違いあるまい。

* その後も順調すぎるほどの昇進を続け、1136 年には従一位左大臣に就いている。花園離宮を賜ったのはこの頃のことで、有仁が三十四歳であることを考えればその昇進ぶりは驚異的である。
もちろん、その出自が大きな要因となったと思われるが、豊かな才能の持ち主で、詩歌管弦に優れていたようで、勅撰和歌集に21首採録されているので歌人として一流の部類に入る。さらに、その容姿は格段に素晴らしかったとされるので、本人の素質も相まってのことであったのであろう。

* 花園左大臣源有仁は、1147 年に四十五歳で没している。当時としても早い薨去ではある。
有仁の生きた時代は、藤原氏の絶頂期に陰りが見え始めており、白河上皇に始まる院政時代と呼ばれることになる時代であった。皇室とそれを取り巻く公家たちの政争の激しい時代でもあったが、幸か不幸か、有仁はそうした争いから距離を保つことが出来ていたのではないだろうか。
また、やがて、平氏全盛の時代が訪れようとしていたが、例えば、平清盛の誕生は有仁より15年ほど遅く、有仁が没した頃は、清盛はまだ安芸守に就いた頃である。そして、武士の時代の幕開けともいえる保元・平治の乱は有仁の没後10年ばかり後のことである。
源有仁は、臣籍降下という試練を受けながらも、穏やかで充実した生涯を送った人物であったように思われるのである。

     ☆   ☆   ☆

 

    

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