行事に際しては毎月の当番の人が決められている天理上仁興の集落。
それぞれ営まれる村の行事の支度を公民館で整える。
月に一回もあれば二回ある場合もあり、この月は農耕行事にあたる虫の祈祷と休み座が行われる。
毎年の16日は田んぼを荒らす虫を殺生した供養の虫の祈祷で村の男性たちが公民館に集まってくる。
円座には当番の人が用意されたカマボコや練り物のテンプラなどが皿に盛られた。
村は13軒で当日の夕方に集まったのは10人ほど。
仕事を終えてやってきた人もいる。
そろそろ始めようかと隣室に移動する。
そこには釈迦如来座像が安置されている。
かつてあった釈尊寺の本尊の仏さんである。
当番の奥さんがいうには「ひゃくそんじ」だという。
先代のおばあさんがそう呼んでいたそうだが、それは「しゃくそんじ」が訛ったものと思われる。
祭壇の前には太鼓と鉦が置かれた。
その席に座るのは宮本六人衆のうちの一老と二老と決まっているが二人の叩き役には特段の決まりはない。
この日は休まれたことから区長が導師を代行された。
本尊の前に座って始まった虫の祈祷。
太鼓はドン、ドン、ドン。鉦はカン、カン、カンとそれにあわせて「なん、まん、いだ」と唱和する。
狭いお堂だが、それぞれの拍子がピタリと合って念仏は聞き取れない。
それを繰り返すこと100回。
数取りの人が数えられてちょうど100回で終えた百念仏。
田んぼの虫を供養する意味もあるお念仏だ。
各地で営まれる虫の祈祷ではそれを供養したお札が見られるが上仁興では登場しない。
虫を成仏させるお念仏そのものである。
奈良県立民俗博物館では9月24日まで「モノまんだらⅡ 太鼓とカネ」が企画展示されている。
そこには庶民の暮らしとともに歳時で使われてきた太鼓や鉦が出現する行事の紹介がある。
六斎念仏、双盤念仏、祈祷念仏、盆踊りや人寄せにまつわる道具である。
太鼓踊りや田楽で用いられるものもあるがその多くはお寺行事の念仏にあると思う。
その企画展も動画出展として協力している関係もあって上仁興の虫の祈祷はとても興味深いお念仏に聞こえた。
それはともかく念仏を終えた村の男性たちは公民館の座敷で円座になって会食を始めた。
肴にはお酒がつきもの場にはお茶は不要だと区長はいう。
次の行事である夏の休み座の案内や村のことの話題に盛りあがる。
休み座は春と夏の座がある。
いずれも農休みの意味がある。
夏の休み座は元々26日だったが田植えが終わる日を考えて今年は19日となった。
これは四社神社の行事であり、お下がりのお神酒をいただく慣習になっている。
(H23. 6.16 EOS40D撮影)
それぞれ営まれる村の行事の支度を公民館で整える。
月に一回もあれば二回ある場合もあり、この月は農耕行事にあたる虫の祈祷と休み座が行われる。
毎年の16日は田んぼを荒らす虫を殺生した供養の虫の祈祷で村の男性たちが公民館に集まってくる。
円座には当番の人が用意されたカマボコや練り物のテンプラなどが皿に盛られた。
村は13軒で当日の夕方に集まったのは10人ほど。
仕事を終えてやってきた人もいる。
そろそろ始めようかと隣室に移動する。
そこには釈迦如来座像が安置されている。
かつてあった釈尊寺の本尊の仏さんである。
当番の奥さんがいうには「ひゃくそんじ」だという。
先代のおばあさんがそう呼んでいたそうだが、それは「しゃくそんじ」が訛ったものと思われる。
祭壇の前には太鼓と鉦が置かれた。
その席に座るのは宮本六人衆のうちの一老と二老と決まっているが二人の叩き役には特段の決まりはない。
この日は休まれたことから区長が導師を代行された。
本尊の前に座って始まった虫の祈祷。
太鼓はドン、ドン、ドン。鉦はカン、カン、カンとそれにあわせて「なん、まん、いだ」と唱和する。
狭いお堂だが、それぞれの拍子がピタリと合って念仏は聞き取れない。
それを繰り返すこと100回。
数取りの人が数えられてちょうど100回で終えた百念仏。
田んぼの虫を供養する意味もあるお念仏だ。
各地で営まれる虫の祈祷ではそれを供養したお札が見られるが上仁興では登場しない。
虫を成仏させるお念仏そのものである。
奈良県立民俗博物館では9月24日まで「モノまんだらⅡ 太鼓とカネ」が企画展示されている。
そこには庶民の暮らしとともに歳時で使われてきた太鼓や鉦が出現する行事の紹介がある。
六斎念仏、双盤念仏、祈祷念仏、盆踊りや人寄せにまつわる道具である。
太鼓踊りや田楽で用いられるものもあるがその多くはお寺行事の念仏にあると思う。
その企画展も動画出展として協力している関係もあって上仁興の虫の祈祷はとても興味深いお念仏に聞こえた。
それはともかく念仏を終えた村の男性たちは公民館の座敷で円座になって会食を始めた。
肴にはお酒がつきもの場にはお茶は不要だと区長はいう。
次の行事である夏の休み座の案内や村のことの話題に盛りあがる。
休み座は春と夏の座がある。
いずれも農休みの意味がある。
夏の休み座は元々26日だったが田植えが終わる日を考えて今年は19日となった。
これは四社神社の行事であり、お下がりのお神酒をいただく慣習になっている。
(H23. 6.16 EOS40D撮影)