マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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無山の虫送りの夜

2011年07月15日 09時05分17秒 | 宇陀市(旧室生村)へ
毎年16日に田の虫送りが行われている地域が多くある。

室生地区では無山に染田

天理では山田地区

都祁では針ケ別所小倉がある。

田の虫送りはお寺で祈祷してもらったお札を集落の周りの辻に立てる。

その際に火を点けた松明をもって田んぼの虫を送っていくのだ。

焼き払う意味もあるらしいがいずれにしてもフィールドであるだけに雨天では実施できない。

雨量が多い日となったこの日はほとんどの地域で実施日程を順延されたが無山ではやむなく中断の決断をされた。

当日は雨だったが虫送りする時間には止んだことから実施した年もあったが中断したのは珍しいという。

ずいぶん前には中断したときもあったそうだがそれほど雨の影響を受けない日が夏至の数日前にあたる16日なのであろう。

村のお寺である牟山寺には大きな呼出し太鼓が置かれている。

虫送りを始める合図に使われているがこの日は本堂にある。

1月5日に行われたオコナイで邪悪を祓った鬼の的が残されている。

虫送りの松明は中断されたが、お札だけは辻に挿してきたという役員たちは会所で会食をされていた。

その役員たちは9月に行われる会式に供える御供作りがされる。

竹筒にご飯を入れてトコロテンのように突きだすという。

それをカエデの葉に乗せて本堂に供えるのだがもう一つの供え物もあるという。

それは朝から村の人たちが寄進したナスビである。

そのナスビは翅のようなものや脚を取り付けるツクリモノだという。

村の戸数にあたる20個を作るそうだ。

それを作り終えたちょうど昼ごろに般若心経を唱えて会式を営む。

天理上入田の御膳、都祁小倉の十七夜ゴゼン、あるいは来迎寺の会式に近いツクリモノであろう。

それは秋の収穫祭と思われる。

また、氏神さんの九頭神社では5月末に田植え終わりの毛掛け、8月末には風の祈祷もしているそうだ。

(H23. 6.16 EOS40D撮影)