マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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矢部六月観音講

2011年07月19日 07時19分40秒 | 田原本町へ
毎月の観音講の営みをされている講中は8人。

お一人だけはお若いがほとんどの人は80歳代だ。

その方はお姑さんが引退されたので参加しているという。

久しぶりに揃って、かつてあんじゅさんが住んでいたとされる観音堂でお勤めをされる。

いつものように安楽寺から住職がやってきた。

近くではあるが不自由な身体だけに電動アシスト付き自転車でやってきてお堂に上がられた。

彼岸のときは寒いからと堂の扉を閉めていたがこの月は暑いからと風が吹きこむようにそれを開けてお勤めをする。

座椅子に座る講中の婦人たち。

導師となってお念仏を唱える住職は赤い座布団に座る。

鉦や磬(キン)、それに木魚を叩く音が堂内に広がった。



それを済ませると導師は座の位置を変えた。

今度は弘法大師の前である。

同じようにお念仏を唱えてさらに毘沙門堂へと移る。

そこでもお念仏を唱える。

狭いお堂だけに3人ぐらいしか入れないから中間の間や観音堂に座って念仏を唱える観音講の婦人たち。

こうして「身体堅固 ゆーずーねんぶつ なむあみだー なむあいだぶっー」と三度のお念仏をおよそ一時間でお勤めを終えた。

来年の3月末には久しぶりに「五重伝法」が営まれる安楽寺。70数名もの法要申込が入ったそうだ。

昭和46年、平成2年以来の実施だというから、ほぼ20年ぶりの法要である。

生きているうちに墓に入る。

それは再生を意味することで、不幸の源を断ち健康と幸福を得るという。

現生ではその功徳が延命長寿、来世で往生できるという庶民信仰の修行なのであろう。

それは数日間も勤めるもので、逆修作法が儀礼化された擬死再生の儀礼で<五重・融通正>伝法(融通念仏宗)や五重相伝(浄土宗)、帰敬式(浄土真宗)、結縁灌頂(真言宗)などの呼び名がある。

住職はその五重伝法を二十歳のころから勤められてきた。

それは3回目となる伝法となり、ありがたいことだと話される。

住職が戻られたあとはいつものようによもやま話に花が咲く。

講中のうち3軒は畑で干瓢作りをされている。

タネオトシをして7月末ぐらいには干瓢ができあがる。

小学校3年生のときぐらいから皮剥きをしていたと話すUさん。

実家の天理市吉田でも作っているそうだ。

Yさんは米蔵の保冷庫から2年前に収穫したカンピョウを持ってこられた。

天日干しを繰り返して作ったカンピョウは新聞紙で包んでいたから色褪せてはいない美しい姿だった。

そのYさんの実家は桜井市の穴師。

兵主神社があるところだ。

9月1日は風日待ちのコモリがあって結んだカンピョウを供えていたという。

ミカン畑を買い上げてくれてその地にはスモウの館を建てたそうだ。

そのカンピョウを干している景観を求めて多や嘉幡に出かけたことがある。

矢部や吉田にもあることを知ったが大和郡山では見かけない。

来月にはそれがあるかどうか調査対象地域を広げねばならない。

(H23. 6.18 EOS40D撮影)