マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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南山城村・田山観音寺の行事

2016年07月17日 12時25分00秒 | もっと遠くへ(京都編)
田山にオトナ衆と呼ばれる長老の二座があった。

その名のどおりの高齢者でしめていたオトナ衆すべてが退座したというのだ。

理由ははっきりしない。

数年前(一昨年の平成25年)まであったという田山花踊り保存会の人。

オトナと呼ばれる二座の長老座が営んでいた正月初めのオコナイがあった。

場は観音堂である。

僧侶は都祁針の観音寺住職のようだ。

これまでは住職がオコナイに祈祷されるごーさん札を墨書していた。

そのお札に朱印を押してハゼウルシの木の棒に挟んでいた。

オコナイは村の安穏を祈る初祈祷。

ランジョー作法に「アユミイタ」と呼ぶ板にハゼウルシの木で打ち叩く。

祈願したお札とハゼウルシの木は苗代に立てる。

五穀豊穣を願う苗代の祭りである。

苗代をしていないN家はシイタケ栽培農家。

栽培するハウスに立てるそうだが、田山の8割は稲作農家。

苗箱を作って苗代に置いているようだが、ごーさん札は探してみなければ・・という。

もう一本のごーさん札は味噌壺の上に置く。

そうしておけば味噌が美味しくなるという。

JA京都やましろの月間やましろ「やましろ探訪」記事によれば、田山のオコナイ行事は中世からの宮座になる「宮本座」と「中間座(ちゅうげんざ)」のオトナ衆によって年頭の正月六日にしていたとある。

それが冒頭に聞いた話しである。

記事によればヤマハゼの木で作った牛玉札(ごおうふだ)を挟む杖(ごおうつえ)を160本。

寺住職が墨書する牛玉札は二種類。

戸数を考えて80枚も墨書するようだ。

一つは「大日如来牛玉宝印」で、もう一枚は「観世音牛玉宝印」だそうだ。

記事には真言宗の教主が大日如来系と観音寺本尊にちなんだ厄難除けの護符であると書かれていた。

さらに記事は続く。

両座の最たる長老である一老は嘉吉三年(1443)に作られた宝珠印に朱肉をつけて押印する。

これも冒頭に聞いた件である。

オコナイの作法も詳しく書いてあった。

ヤマハゼの木に挟んだごーさん札は本堂入口の柱に飾る。

本尊の前にも供える。

住職席の後ろにマナイタと呼ばれる板材を並べてヤマハゼの木を置く。

住職が読経する途中で発声される一老。

大きな声で「ランジョー(乱声)」と発声される。

それを合図に場にいた子供たちがヤマハゼの木を掴んでマナイタを打ち叩く。

乱打であるランジョー作法は魔をはらい法会を盛り上げたと書いてあった。

法会を終えた村人が持ち帰るごーさん札。

「観世音」札は味噌甕の蓋の上に置く。

もう一枚の「大日如来」札は籾種を撒いた苗代場の水口に挿した。

この行為は虫除けになると云われているを書かれてあった。

奈良県内各地で行われているオコナイ或は初祈祷されたお札の在り方と同じなのだ。

尤も、真言宗豊山派である針の観音寺住職は自寺においてもそうされている。

ここでの作法はご朱印を押す真似事がある。

マナイタならぬ叩いた板の上を駆けながら周りにいる村人に捧げるありがたいご朱印の作法である。

当行事は平成17年の1月12日に取材させていただいたことを覚えている。

もっと早くに知っておればオコナイ作法を拝見できたが、今は見ることもない。

しかし、だ。

田山花踊り保存会の人の話しによれば、作法はなくともごーさん札の墨書・朱印押しはあるらしい。

それだけでも拝見したいものだと思った田山の観音寺行事に星祭りがあるようだ。

女性なら19歳、33歳。男性の場合は25歳、42歳の厄年になれば厄除け祈願。

61歳、88歳であれば還暦・米寿祝いに祈祷してくださるそうだ。マメマキやモチマキもあるというから一度は訪ねてみたい。

映像は聞取りをしていた諏訪神社拝殿。

田山の花踊りはここ拝殿下の境内で披露される。

(H27.11. 3 SB932SH撮影)