実話をもとにした映画で、ミネソタ州北部の露天掘り炭鉱での女性へのセクシャル・ハラスメント集団訴訟を描く。この裁判に勝訴し、女性の地位向上に貢献した。
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二人の子持ちのジョージー・エイムズ(シャリーズ・セロン)は、暴力亭主から逃れて実家に身を寄せる。偶然出会った幼馴染のグローリー(フランシス・マクドーマンド)の勧めで賃金のいい炭鉱に就職する。
しかし、炭鉱は女性には厳しい環境だった。この厳しいというのは、仕事そのものも重労働だったが男の女性蔑視の嫌がらせが度を越していることだった。
その上ジョージーにはレイプされて生れた息子のサミーとの間に溝が出来ていた。おまけに父親のジョージーに対する態度も冷たいものだった。しかし、母親(シシー・スペイセク)はジョージーの味方だった。
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あまりにひどいセクハラに社長に直訴したが、逆に辞めるように言われ、辞めなければ態度を改めることまで告げられる。ある事件がきっかけで会社を辞めて訴訟に踏み切る。
この映画にはテーマが二つある。一つはセクハラ訴訟で戦う女性、子供との不和という家庭の問題。その子供にレイプで生れたと真実を話すが、果たしてそれが正しいのかという疑問が残る。
考えてみると、自分がその立場だったら、いくら母親の愛情を感じてもすっきりと受け入れられるだろうか。映画はその子供も納得してハッピーエンドに終わるが。
見ていて男の恥さらしもいいとこで、当時は当たり前の状況だったのだろう。それにしても、本当に強いのは女だと知らされる。
俳優たちもそれぞれの持ち味を出しているように見えた。ボブ・ディランの挿入歌が、画面の広大な雰囲気にぴったりだった。こんな風景にはやはりカントリー音楽しかない。大人の観賞に立派に耐えられる佳作だ。この映画は映倫の15歳未満の鑑賞を禁じるR―15に指定されている。
監督 ニキ・カーロ1967年ニュージランド、ウェリントン生れ。
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キャスト シャリーズ・セロン1975年8月南アフリカ生れ。‘03「モンスター」では、醜女メイクで実在の女シリアルキラーを熱演、アカデミー主演女優賞受賞。
フランシス・マクドーマンド1957年6月イリノイ州シカゴ生れ。’96「ファーゴ」でアカデミー主演女優賞受賞。
ショーン・ビーン1959年4月イギリス、ヨークシャー州シェフィールド生れ。
シシー・スペイセク1949年12月テキサス州生れ。‘80「歌え!ロレッタ愛のために」でアカデミー主演女優賞受賞、それ以降も何度かアカデミー主演女優賞にノミネートされている。
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