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ルーン三部作。1988年「汚れた街のシンデレラ」に次ぐ1990年の作品。残る1991年の「Hard News」は未訳。
ルーン、本名アイリーン・ドット・サイモンズと言うらしい。言うらしいという曖昧な表現は、作者が本名であるかもしてないし、そうじゃないかもしれないとぼやかしているからだ。もともとルーンは、“謎”という意味なので仕方がないか。 このルーン、ニューヨークのドキュメンタリー制作会社でアシスタントをしている。アシスタントといっても実態は、コーヒーを入れたり近くのデリカテッセンで昼食のサンドイッチを買ってきたりという使い走りをやらされている。しかし、いつかはドキュメンタリー作品を完成させたいと心から願っていた。
“細身で身長5フィート(約152センチ)の小柄、栗色の髪、丸顔とともに基本のアイテムは、Tシャツとブーツと恐竜。ヘアスプレーを使うのは、ハエを殺すときか、スクラップブックに何か貼るときだけ”のキュートな彼女が発するウィットいっぱいの言葉が印象的だ。
そんなある日、タイムズスクエア近くのポルノ映画劇場が爆破される。情報によるとどこかの宗教団体の仕業ということらしい。ひらめいた彼女はこれをドキュメンタリー映画にする決意を固めて、否定的なボスから手空きの時間にすることの約束を取り付けた。そうなると身辺がにわかに騒々しくなった。
赤いウィンドブレーカーを着た男につけられ殺されかけ、インタヴューをしていたポルノ女優を爆破で失いその女優の親友の巨乳を誇る女優も殺される。とうとう自身も爆弾の餌食に……最後は本当に意外な幕切れが待っているというひねりの効いたプロットに釘付けになる。エンタテイメント味横溢の作品だ。