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映画「コレラの時代の愛(‘07)」

2010-02-02 11:19:16 | 映画

 ノーベル文学賞作家のガブリエル・ガルシア・マルケスの同名小説の映画化。ラバ商人の娘フェルミーナ・ダーサ(ジョヴァンナ・メッツオジョルノ)は、著名な医師に見初められて結婚する。振られたフロンティーノ・アリーサ(ハビエル・バルデム)は泣き崩れ恋の病が重くのしかかる。
 あきらめ切れない日々を送るが、伯父の経営する河川運輸会社の船旅に出る。そんなある夜、いきなり船室に引っ張り込まれ、暗がりで童貞を奪われる。(この場面、男が簡単に奪われるものだろうか。暗がりだからはっきり分からないが、あわただしい女のレイプに反応するのか? 童貞を失う機会なんてざらにあるのに。これがラテン風味童貞喪失メニューか)
 以来、恋の痛手を癒すため手当たり次第に女と寝てそれを記録に残していく。ある男に「なぜ、あなたは女性にモテるんです?」と聞かれ「きっと私が哀れな抜け殻だからだろう。愛を求める気の毒で無害な男だから。私の心には売春宿より多くの部屋がある。女の数は622人だ」
 多くの女性との性交渉を持ちながらも、フェルミーナを思う純粋な心を失わないフロンティーノ。著名な医師と結婚して上流階級の一員となったフェルミーナに突然の災厄が訪れる。夫が木の枝に逃げたオウムを取ろうとして、オウムに指を噛まれて驚き転落して死亡する。
 フェルミーナの夫の死を願っていたフロンティーノは、葬式も終わっていないのにフェルミーナに愛の告白をする。激怒したフェルミーナに追い出されてしまう。それでもあきらめないフロンティーノは、せっせと手紙を書き送る。やがてフェルミーナの心が開くときがやってくる。
 生涯の愛を誓うが、どうやら死の影に怯えているようにも見える。原作にほぼ忠実に映画化されているが、評価は分かれるだろう。原作を読んでいたせいか、どのように映画化されたのかに興味が集中して映画そのもの面白さがあまり感じなかった。
 会話の少ない原作の映画化は、脚本家にとって難題を押し付けられた気分だろう。露骨なセックス描写ではないが、結構その場面が多くいかに原作に忠実と言ってももう少し工夫が出来なかったか。と思う。おまけにフェルミーナの乳房は垂れ腰周りがぶよぶよした70歳代の裸のセックスシーンまである。勿論原作にはそのシーンはある。しかし、映画にもそのシーンが必要だったのか疑問が残る。精神的・感情的な純粋性が内包されている小説の映画化の難しさを見せてくれた。
 監督マイク・ニューウェル1942年イギリス、ハートフォード州生まれ。ケンブリッジ大学卒。‘03「モナリザ・スマイル」’05「ハリーポッターと炎のコブレット」などの作品がある。
 脚本ロナルド・ハーウッド1934年アフリカ、ケープタウン生まれ。‘02「戦場のピアニスト」でアカデミー脚色賞受賞。
 ハビエル・バルデム1969年スペイン、カナリア諸島スパルマス生まれ。’07「ノーカントリー」で圧縮ボンベを凶器にする特異な犯罪者を演じて、アカデミー助演男優賞を受賞。
 ジョヴァンナ・ソッツオジョルノ1974年イタリア、ローマ生まれ。‘05「心の中の歌」でヴェネチア国際映画祭で女優賞受賞。
        
        ハビエル・バルデム
        
        ジョヴァンナ・ソッツオジョルノ
        
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