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無性に海が見たくなって

2010-02-21 21:16:55 | 見て歩き
きのう久しぶりの快晴に恵まれ気温も上昇して、身を切られる寒さから解放された。こんな日は、どこかに出かけたくなるもので去年12月以来、海の匂いと音と色から遠ざかっていて無性に見たくなった。
 以前は山登りが趣味だったせいか、山や高原の景観が好きだった。ところが二年ほど前、娘が千葉県一宮にある海浜のマンションの一室を借りたときに一変した。娘はサーフィンに凝っていてその部屋を借りたのだった。
 娘が使う週末以外はほとんど空いているので、私が滞在していた。早朝の海辺の散歩、暑い真昼のサイクリング、暮れなずむ空の美しさを肌で感じていると、まるでなんの関心もなかった女性に徐々に惹かれていくように、海に鷲づかみにされ絡め捕られた。
 そんなわけで山はもう汗臭くて汚い存在になった。そして自宅を出た。最初に寄ったのは、千葉県館山市国分にある国分寺。国分寺は、天平13年(741年)聖武天皇が国情不安を鎮撫するため全国に建立を命じた寺院で、全国に71寺建立された。千葉県には上総、下総、安房の3寺が建立されている。
 このお寺もかつては広大な敷地を有していたのだろうが、今はひっそりと地元の菩提寺になっていた。丁度、どなたかの葬式なのだろう、遺影を掲げた人の列が通り過ぎた。ふと、見送ってくれる人がいるのは幸せだろう。もし私が図らずも100歳まで生き延びて一人で死ぬ羽目になったらという思いに囚われた。
 それも一瞬ですぐに次の海の見える場所へ気持ちは飛んでいた。通り一遍の表現かもしれないが、青い空に青い海、白い波は、心を穏やかにしてくれる。お寺にも癒されるものがあるが、大自然の海にも人知の届かない計り知れない力を感じることが出来る。そのせいか夕食に飲んだジンのシーカーサー割りは、さっぱりとしていて実に旨かった。
       
       国 分 寺
       
       国分寺の庭に咲く梅の花
       
       国分寺のにわに咲く梅の花
       
       白砂の千葉県守谷海岸
       
       太東崎灯台の崖
       
       茫洋とした九十九里の浜とサーファー



映画「フロスト×ニクソン(‘08)」

2010-02-21 11:12:59 | 映画

 「フロスト×ニクソン」は、イギリスの脚本家ピーター・モーガン(1963年生まれ)の戯曲。イギリスの人気司会者デヴィッド・フロストと第37代アメリカ元大統領ニクソンとのトークショウを舞台化したものを、さらにロン・ハワードによって映画化された。
 リチャード・ニクソンは、1972年6月民主党全国委員会オフィスへの不法侵入・盗聴事件、いわゆる「ウォーターゲート事件」の責任をとって1974年8月9日辞任した。
 アメリカの歴史の中で、任期途中で辞任に追い込まれたのは、いまのところこのニクソンただ一人という汚名にまみれた。しかし、辞任の弁には罪を認めていないし謝罪の言葉もなかった。そしてデヴィッド・フロストは、その謝罪の言葉を引き出すために、ニクソンとのインタビューを計画した。成功すればフロストは、アメリカでの知名度が上がる。
 一方、ニクソンはうまく処理すれば政界復帰の絶好のチャンスになると踏む。結果はフロストが勝利を収める。単なるインタビュー映画でありながら、言葉のバトルのすさまじさを堪能できる。ニクソンからは、謝罪の言葉はなかったが「国民を失望させた」と言わせ、顔に疲れと喪失感が浮き彫りになる。テレビ時代の象徴的な一瞬だった。
 俳優の演技力も貢献しているが、やはり脚本の力が大きい。フロスト役のマイケル・シーンは、やたら歯の白さが目立っていたが舞台でもこの役だったようで掘り下げてこなれた感じだった。ニクソン役は、これも舞台ともども同じ役のフランク・ランジェラというベテラン。フロストの恋人役のレベッカ・ホールは、まだ経験が浅く目立つ女優ではなかった。マイケル・シーンの真っ白な歯並びと見比べると、彼女の歯並びにやや不揃いが気になる。おそらくマイケル・シーンは、歯のホワトニングをおこなっているのだろう。
 低予算映画で大物俳優に手が届かなかったか。今年1月31日の読売新聞に面白い記事があった。毎日曜日にある本に関するページで、三神万里子という人が書いている。
 「スター発見!」という本からの教訓で『スターになるには単に目立ったり、美しかったり、個人として優秀なだけではだめだ。映画でその人が発揮する機能=「見え方」が重要で、それには5段階ある。
 まず役の条件を満たし、技術力だけで見せるのは「B級」で、対価は最低水準プラス予算の残りだ。個性で映画に味を加えるようになると「有名」クラスになり、通好みの依頼が集まって業界内の評価が確立する。
 仕事を選んでこの位置を守ると、値崩れせず依頼も途切れにくい。一般の認知度が上がり、映画のセールスに貢献できるようになると「スター」としてさらに値段が上がる。イメージが固定化して飽きられるリスクを乗り越え、その人が参加すれば制作にゴーサインが出るほど存在感を示せるようになれば「スーパースター」だ。
 それに対し、「メガ・スーパースター」は、目を奪うゴージャスさを持ちながら、一瞬で大多数の共感を呼ぶ所作を持つ。一声で人も資金も集まり確実に利益を生むこのクラスはハリウッドでもわずか数人だという。才能だけでなく、適性と自分の「見せ方」がやりたい仕事とマッチしてはじめて、スターは誕生するのだ。
 この論からいけば、この映画の俳優は、「B級」といったところか。監督ロン・ハワード1954年オクラホマ州ダンカン生まれ。‘01「ビューティフル・マインド」でアカデミー監督賞受賞。
 フランク・ランジェラ1938年ニュージャージー州生まれ。
 マイケル・シーン1969年イギリス、ウェーハス生まれ。
 レベッカ・ホール1982年イギリス生まれ。
       
        マイケル・シーン
       
        フランク・ランジェラ
       
          
          レベッカ・ホール