
偽りの書とはいったい何か? 聖書のカインとアベル兄弟の殺人に絡む謎とコミック「スーパーマン」生みの親ジェリー・シーゲルの父親の謎の死、それに重ね合わされるのが本書の主人公カル・ハーパーだ。
もともと聖書と聞いただけで、敬遠したくなることもあってなかなか作品に没入できなかった。
それより入国税関管理局(ICE)の特別捜査官ナオミ・モリーナが気になる存在だった。このナオミ、終盤なかなかいいことを言ってくれる。「失うものは、執着しているものだけよ」とナオミ。「うまいな。ネイティブ・アメリカンのことわざか?」とカルは言う。ナオミは一言「仏教よ」
しかし、あえて言えば、著者の一つの特徴として作中の女性一人を魅力的に描くというのがあるが、このナオミも今までの登場人物と比べていま一つの感は否めない。この人もそろそろ勢いが弱ってきたのかな。