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ナチス・ドイツが没収した絵画をめぐるお話「黄金のアデーレ 名画の帰還」2015年制作

2017-02-21 15:59:07 | 映画
              

 女性の裸体、妊婦、セックスなど甘美で官能的なテーマとともに死の香りが漂う画風のグスタフ・クリムト。そのクリムトが描いた「アデーレ・ブロッホ=バウワーの肖像」をめぐる法廷闘争の実話。

 アデーレというのは、フェルディナント・プロッホ=バウワーの妻で、フェルディナントは製糖業で財をなし芸術家達のパトロンでもあった。当然クリムトもその中の一員だった。そういう関係で金箔で覆われた「アデーレ・プロッホ=バウワーの肖像」が出来上がる。

 アデーレは若くして死ぬが、この絵を「オーストリア・ギャラリー」に寄贈するようにという遺言を残す。ナチス・ドイツに没収されていたこの絵が第二次大戦後還って来る。夫のフェルディナントは、この絵の相続をマリア・アルトマンを指名していた。

 マリア(ヘレン・ミレン)は、父母をオーストリアに残してアメリカに移住しロサンジェルスに住んでいる。時は1998年、マリアの姉の葬儀。家族ぐるみの付き合いがあるバーバラ・シェーンベルク(フランシス・フィッシャー)に「姉の遺品の中に手紙があって、信頼できる人の意見が欲しいの」とマリア。

 バーバラには弁護士の息子ランディ(ライアン・レイノルズ)がいる。これが接点となってアデーレの遺言と相反する夫フェルディナントの遺言が対立することになる。

 マリアはあくまでも過去の記憶として大事にしたいと言う。純粋な動機の所有権を求める。一方、ランディはと言うと、パソコンで価値を検索するとなんと1億ドル(百億円を超える)とでる。あまり乗り気でなかったランディは、俄然やる気を起こす。

 オーストリアの大作曲家・指揮者のアルノルト・シェーンベルクの系譜を継ぐ家系であるが、しがない弁護士業では奨学金の返済にも困るという現状。家系だけでは飯は食えない。嫌でも実利的になる。

 二つの遺言を争う法廷闘争は、結局マリアに渡る。イギリス人のヘレン・ミレンが、ドイツ訛りの英語を喋るという多彩さが目についた。この映画を観てクリムトの絵画、シェーンベルクの曲に触れられたのはよかった。

監督
サイモン・カーティス1960年3月ロンドン生まれ。

キャスト
ヘレン・ミレン1945年ロンドン生まれ。2006年「クイーン」でアカデミー主演女優賞受賞。ライアン・レイノルズ1976年10月カナダ、ブリティッシュコロンビア州バンクーバー生まれ。

        

 

監督
サイモン・カーティス1960年3月ロンドン生まれ。

キャスト
ヘレン・ミレン1945年ロンドン生まれ。2006年「クイーン」でアカデミー主演女優賞受賞。ライアン・レイノルズ1976年10月カナダ、ブリティッシュコロンビア州バンクーバー生まれ。

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村井 清一
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