罪人を弁護して無罪放免させるので、刑事からは目の敵にされる凄腕の弁護士ハンク・パーマー(ロバート・ダウニー・Jr)は、妻の裏切りに腹を立てながら、母親の死を受けて実家へと急ぐ。
実家には判事の父ジョセフ・パーマー(ロバート・デュヴァル)、兄のグレン(ヴィンセント・ドノフリオ)、弟のディル(ジェレミー・ストロング)が残された家族だった。
父ジョセフは、自分の思い通りに家族をコントロールしていて、パパとかダディは許さず「判事」と呼ばせる。帰郷したハンクにも、車を止めるのは前向きにしろと小言を言う。
実家のリビングは、判事の妻の逝去のお悔やみのために裁判所や警察、関連する役所の人々が多く集っていた。ハンクもその中の一人としてリビングの片隅に立っていた。そこへ判事が帰宅した。
親しい人とはハグを交わし、握手とねぎらいの言葉が取り交わされる。ハンクに気づいた判事は無表情だ。ようやくハンクが近づき握手をした。
車の止め方を注意されたあとグレンに言ったのは「客にはハグして、僕には握手。ピカソの絵みたいな家族だ」確かにピカソの絵ってよく分からないよね。この映画の脚本家も分からないらしい。
帰宅の飛行機にグレンから電話が入る。「父が殺人容疑で連行された」いよいよ息子のハンクが父親との確執を乗り越えての弁護活動がうまくいくのか。映画は克明に描いていく。
俳優の力量もありセリフも気が利いていて音楽とあいまって落ち着いた家族の物語に仕上がっている。
さて、陪審員の評決は、第一級殺人罪は無罪。故殺のほうは有罪とされた。判事の量刑は、4年の懲役だった。即収監される。ハンクは負けた。くやし涙が流れる。
父ジョセフは進行性のガンという持病もあったのか、嘆願書で7ヵ月後に釈放される。このあたりの描写が印象的で、ハンクと元恋人サマンサ(ヴェラ・ファーミガ)とのよりが戻る場面のセリフがよかった。
サマンサ「私が知ってる中で最低の男 悔しいけどあなたを愛していたし今も愛してる。どこが好きかって、自分勝手なくせに優しいところ。悪ガキのくせに悪ガキが嫌いなところ。でも他人のことを分かったように言うでしょ。その達者な毒舌でみんなをやり込める。そばにいると自分が消えるの」このセリフをヴェラ・ファーミガは、見事な抑揚で表現していた。
本来、人間の愛はこういう風に整理してみると、複雑怪奇で100%文句のつけようがない父親がいないのと同様、男と女の関係にも言える。家庭もこういう理解しがたい部分で成り立っている。それが軋轢として表面化する。それも時間の経過でようやくハンクに向けて「最高の弁護士として、私はお前を選ぶ」と父ジョセフ。余情の残るいい映画だった。
監督
デヴィッド・ドブキン1969年6月ワシントンDC生まれ。
キャスト
ロバート・ダウニー・Jr1965年4月ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。
ロバート・デュヴァル1931年1月カリフォルニア州サンディエゴ生まれ。
ヴェラ・ファーミガ1973年8月ニュージャージー州パサイク郡生まれ。
ヴィンセント・ドノフリオ1959年6月ニューヨーク市ブルックリン生まれ。
ジェレミー・ストロング出自不明
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