猫とマンガとゴルフの日々

好きな物を題名に↑ 最近はゴルフとグルメお出かけ主体に。以前は1960年~70代マンガを紹介していました。ネタバレ有り。

石森 章太郎 選集 第2巻 「青い月の夜」

2006年11月01日 10時28分11秒 | マンガ家名 あ行
                 

                 


        ↑ 虫プロ商事出版社 石森 章太郎選集 第2巻 昭和44年(1969)11月15日 初版 360円

 収録作品は、


青い月の夜 初出誌 少女クラブ 昭和35年2月号

 バレエくるみ割り人形に少し創作を加えたお話。水野 英子氏が1カット描いています。見ればすぐわかる。


みどりの目 初出誌 少女クラブ 昭和32年夏の増刊号

 まま母にいじめられた少女が沼うばの命令で4人の人間をけものにしなければならなくなり・・・。フランケンシュタインやら、願いを叶える杖やら出てきて盛りだくさん。章の題名が最後に出てくるのは粋だけど、判りづらい ?


きのうはもうこない だがあすもまた (これはすべてひらがなです。) 初出誌 少女クラブ 昭和36年冬の増刊号

  マンガ 「時空を越えて逢いに来る少女」 の系譜


 ↑ でも紹介しましたが、ここのには最初と最後に合計9P程の加筆があります。作者本人とファンの女の子が出てきて、しゃべっているのですが、何の意味があるのかちょっとわかりません。ページ数合わせか何かか ?

 
雪の日に 初出誌 少女クラブ 昭和35年 お正月増刊号 

 絵と文が半分づつのマンガの描き方、アイディアの出し方、を兄妹が雪の日に話すという作品。兄は石ノ森氏ですね。氏がマンガを描く事に理解のあったお姉さまの代わりに、可愛い妹が出演しています。中に3話の作例が出ています。  
 

氷の花 初出誌 少女クラブ 昭和34年 夏の増刊号

 これも兄と妹のマンガ談義。夏らしく幽霊について。まま母もののマンガと 「魔女オーロラ」 という劇中劇 (マンガ中マンガ) が入っています。「魔女オーロラ」 は、わざとディズニーアニメに似せた画風で、変わっているというか、実験的です。オーロラなんてオーロラ姫そっくり。王子様や脇役もそっくり。なにをやりたかったのか不明。 ニセ吸血鬼のお話です。

 以上、石ノ森氏の初期の少女マンガを集めています。以前 「龍神沼」の項 

       石ノ森 章太郎 「竜神沼」

で書いた、少女クラブに実験的な作品を描いて失敗した、と言っていたのは、この頃のことを言っていたのでしょうか ? 

 今となっては資料的に大切な作品たちかも。

 
 巻末に、草森 紳一氏の 「雑感」 と題した文章が載っている。4つに分かれていて、その中の 「石森的少女まんがについて」 と題した文章が面白かった。
 
 少し引用すると、

 彼の広いジャンルにわたるまんがの中で私がもっとも愛するのは、少女まんがの系統のものであるかも知れない。これは彼が 「男である」 ということと関係があるかも知れないと思ってみる。
 
 ― 略 ―

 女性のまんが家の作品に、致命傷とも言うべき点があるとすれば、それは女性であるという有利な条件である。 ― 女であるため、ものにベッタリしてしまい、女が、少女が却って見えなくなるのである。 ― だが、男のまんが家で描く時、男という肉体をかれらが抜け出せないゆえに、描くだけで却ってそのまま 「OFF」 して (離れて) しまうのである。 ― 肉体の逆転劇が起こる。ちょうど歌舞伎俳優が女役を演じて女優以上に 『おんな』 を演じる事ができるのに似ている。

 石ノ森先生を持ち上げるあまり、ちょっと女性マンガ家に失礼な言い方でもあるのは、当時のご時世なのか ? 同じ事は男性マンガ家にもあって、お互い理想の異性をマンガの中で描いているんだから、お互い様とも思うが・・・。

 
 この号の折り込みチラシ、「選集通信」 では、章太郎のまんが対談第4回として、 五木 寛之氏 と対談している。しかし、前号からの続きで ② なので、全てはわからない。

 五木氏の発言の一部をまとめると、

 まんがは、現代詩みたいな形になっていって、他の芸術ジャンルのリーダーみたいな形になるんじゃないか。
 この間、○○という写真家と一週間仕事をしたら、まんが的な傑作だった、とか、映画なんかも、ゴダールなんてのはまんがですよね、「勝ってにしやがれ」 なんてのはまんが的な生き方をまんが的に描いたものであって・・・とか、
 小田 実・いいだ もも・平岡 正明、松田 政雄とか (いいだ氏以下どんな方達か、わかりませ~ん) 発想がそもそもまんが的とか、
 
 以下、まま引用

 文学が辿った道を、またも、まんがよおまえもかって感じがあるんです。先輩である文学が歩んだ退廃の道を、今のままでは、再び歩むんでは無いかと・・・。
 つまり、あまりはっきり手際よく区別されすぎたものって信用できないところが有ります。

 ― 略 ―

 ちょっと区分けして、どの階級に編入すべきか迷うようなものか、あるいはどこにも属していないようなものが面白いんじゃ無いですか。


 そうそう、分類できないものの方が絶対面白い。今までにないもの、という事だものね
 

 ― 略 ―

 交通整理を始めると危険だと思いますね。

  
 う~ん、今のマンガ界を素人の私は語れないけど、まだ、大丈夫なんじゃないですか ? 今だ、新しいものがどんどん出ているし、混沌としていると思いますけど。皆様はどう思われるでしょうか ?
 

 PS 今市子さんの「B級グルメ倶楽部」2巻早速昨日ゲット、すぐに読みました。もっと続いて欲しいよー。
コメント (15)
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