猫とマンガとゴルフの日々

好きな物を題名に↑ 最近はゴルフとグルメお出かけ主体に。以前は1960年~70代マンガを紹介していました。ネタバレ有り。

木原 敏江 「花の名の姫君」

2006年11月16日 09時02分30秒 | マンガ家名 か行
 この本、面白かったですよ。

 何がって、歌舞伎をマンガにしているんです。それもしっかりと少女まんが。写真は 秋田文庫 平成9年8月10日 初版のもの。

「花の名の姫君」 四世鶴屋南北 「桜姫東文章」 (さくらひめあずまぶんしょう)より

私が嫌いなお姐様(おあねえさま)  容揚黛(ようようたい)作 「鏡山旧錦絵」(かがみやまこきょうのにしきえ) より

「流星」 福森 喜宇助(きゅうすけ) 「其小唄夢吉原」(そのこうたゆめもよしわら) より

「轟く滝の下で」 「雷神不動北山桜」(なるかみふどうきたやまざくら) より

 この4作品が入っています。大体原作に沿ってマンガ化されているようですが、最後の 「雷神不動北山桜」 では後日談 (当日談だけど) が付け足されていて、ハッピーエンドになっています。いいのか ?

 「桜姫東文章」 のお話、こんなんとは知りませんでした  名前だけは知ってましたがねー。
 のっけから少年愛の心中から始まり、大名のお姫様がその片割れの稚児の生まれ変わりとして起こる騒動の数々。お家断絶が絡んだり、賊に犯されたお姫様が子まで成して賊にほれるやら、お姫様が女郎まで落ちてべらんめえをしゃべるわ、その賊が実は親と弟のかたきだったやら、人殺しはするわ、幽霊は出るわ、あだ討ちの場面になるわ、その他いろいろ、しっちゃかめっちゃか、韓流ドラマも真っ青のジェットコースターストーリー  最後はちゃんと、お家は再興めでたしめでたしの大団円。ああ疲れる。

 江戸の庶民は大名のお姫様が、姫言葉と女郎言葉をちゃんぽんに使う所などで大笑いしていたのでしょう。「鏡山旧錦絵」 もお家乗っ取りの悪人を町人出身の小間使いの少女がやっつけるお話で、庶民の溜飲が下がるように作られています。
 「其小唄夢吉原」 は、一転して悲恋のお話。吉原の女郎 小紫(こむらさき) と江戸に上がってきたばかりの田舎侍 白井権八(しらいごんぱち) のどうにもならない恋。白井権八は 「御存知鈴ヶ森」 という歌舞伎作品にも登場する凄腕の美剣士です。ドジ様得意の美青年剣士よ~~。うっとり

 「雷神不動北山桜」 は有名なので、御存知の方も多いのでは。天皇に王子誕生を頼まれ、祈りを捧げた 上神上人(なるかみしょうにん)。王子が生まれたのに褒美の約束を反故にされ、怒った上人は雨をつかさどる竜王を閉じ込め、日照りになって民は困っています。そこで絶世の美女の 雲の絶間姫(くものたえまひめ) が登場。色仕掛けで上人をメロメロにし、雨を降らそうという魂胆です。狂言廻しの 黒雲(こくうん)、白雲(はくうん)という上人の弟子二人が、なにやら 「百鬼夜行抄」 の尾白・尾黒みたいでおかしい。上神(なるかみ)もすんごい美形のお上人様姿から、騙されたと知った後の隈取恐ろしい 雷神(なるかみ) 姿まで、見所いっぱいのお芝居ですよ。

             歌舞伎好き、和もの好きな方はぜひ一読を。
コメント (5)
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