猫とマンガとゴルフの日々

好きな物を題名に↑ 最近はゴルフとグルメお出かけ主体に。以前は1960年~70代マンガを紹介していました。ネタバレ有り。

萩尾 望都 「トーマの心臓」 

2007年06月11日 12時33分26秒 | マンガ家名 は行
      「トーマの心臓」 フラワーコミックス 1巻~3巻 
     初出は 週間少女コミック 昭和49年(1974)5月5日の第19号~12月15日の第52号(終わりはつるさんに教えていただきました~)



 「トーマの心臓」 は6月12日のアップにしようと思っていたら、すでに拙ブログの過去記事コメント欄で意見が沸騰しているではないかいな。一応書き終わったので、さっさと出します。
 コメント欄にはとても良い考察がいっぱい入っているので、後で引用させてもらおっと。でも、読んだこと無い方も中にはいると思われるので、とりあえず概要だけでも。


 最初はミステリー

 西ドイツにある男子高等中学のシュロッターベッツ学園。転入生のエーリクにそっくりだった死んでしまったトーマ。フロイライン(お嬢さんと言う意味 男の子です)と言われたくらい可愛いトーマと真面目なユリスモール(ユーリ)委員長の間には半年前に何かあったらしい。
 始めのうち、読者はエーリクと共に謎解きに必死だ。上級生の お茶会 に出たりして少しづつトーマとユーリの恋愛茶番劇の顛末 (お堅いユーリがトーマに落とされるか) について分かってくるが、エーリクにはそれ以上よく分からない。

 一方読者はユーリの唯一の友人、学園で特別待遇の大人っぽいオスカーのおかげでユーリの首の下にあるキズと、それによってユーリが 天使の羽 (神の加護?) を失ったことが分かる。しかし、何がどうなってそうなったかはこの作品の最後になるまで結局分からないのだ。

 その間にも、シュロッターベッツという小さい世界の中で少年達のキスや、幼い愛や、押さえ切れない激情や、涙によって学園生活は華やかに繰り広げられて行くのだ。

 それぞれの事情

 ユーリとエーリクは同室となるが、嫌でもトーマを思い出して不機嫌になるユーリ。そしてトーマを茶番劇の前からどんなに愛していたか思い出すのだ。
 そんなある日、エーリクに手紙が届く。それはあれほど待ち焦がれたムテ(ママ)・マリエからでなく弁護士からで、マリエの死を告げていた。
 以前住んでいたケルンに無断で行ってしまったエーリクを迎えに行くユーリ。その帰り道、なにやらユーリとの間にいわくありげなサイフリートという人物に出会う。その日のうちに学園に帰れなくなった二人はユーリの家に泊まるが、ここも又家庭環境が複雑そうだ。
 校長に特別扱いを受けているオスカーにもなにやら秘密のカードがあるらしい。

 気持ちが近づいたり又遠ざかったり・・・。ユーリのキズが背中にもあることが分かるが、あれは羽をもがれた後 ? エーリクはついにユーリに好きだと告げる。

 ユーリは元から許されていたのか?

 最終第3巻では上級生バッカスがユーリとサイフリートのイースターの休日の謎に迫る。この後すぐにサイフリート達素行不良の何人かが追放になったので、この時にユーリとの間に何かあったのは間違いないらしい。
 バッカス好き。最初の登場のエーリクとの出会いの場面からいい味です。大人でみんなを (オスカーを) 心配している。オスカーもみんなの中では大人だけれど、ユーリが好きだしバッカスより深く入り込んでしまっていて身動きが出来ないので、バッカスのような人物は読者にとって頼もしい。しかし、バッカスをもってしてもオスカーからイースター休日後のユーリの首のキズやユーリのどこか変わってしまった心理状態を聞き出すことが出来たくらいだ。

ユーリ 「僕には翼が無い!」

エーリク 「翼 ? 天国へいたる翼…のこと ? 」 

エーリク 「僕の翼じゃだめ ? 」


 その瞬間ユーリは分かったのだ。トーマが自分の翼をユーリにくれたことを。同時に自分はどれくらいトーマを愛していたかを。

 ユーリは長い間不思議に思っていた。キリストが裏切り者と知っていてもユダを愛していたのだろうかと。そうだ、その後のことまで全て許してキリストはユダに 「行って自分のなすべきことをせよ」 と言ったのだ。
 そこに考えが至るとユーリには人が何であろうと神様はいつも愛して下さっているという事がしみじみと実感できた。自分もいままでどんなことがあっても神に愛されて幸福だったのだ。

 では、自分のなすべきことは…。許された者として神に仕える事…。ユーリはボンの神学校へ行って神父になることを選ぶ。トーマはついにユーリを捕まえたのだ。

 ユーリがこれほどまでに悩み、それに気が付いてトーマが自分の身で償おうとした事件とは。最後の最後にユーリの口からエーリクに知らされる。神を裏切り、愛していたトーマを裏切り、自分を裏切ったイースター休暇の夜のことを。

 ジャジャーン 前述のサイフリートが絡んでくる事件の事ですが、長くなったので、明日つるさんたちのコメントを含めて書きますね~。えっ、ここまで来てひどいって ? 次回をお楽しみにって言うのは連載マンガの常套手段でしょ。
 あと、オスカーのことあまり書けませんでしたが、連載中から人気NO1、今も多分そうじゃない ? 私ももちろん好きですよ。明日は少しオスカーのことも書けるかな
コメント (10)
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COMの中の 矢代 まさこ ③ 「歌うたう 里子」

2007年06月11日 08時54分18秒 | まんがエリートのための雑誌 COM
           COM 1968年8月号掲載 矢代 まさこ短編シリーズ ③


 歌をわすれたカナリヤは~うしろのおやまにすてましょか~
 赤いくつは~いてた~

 海辺の町、海岸で白痴の里子が歌ってる。それを見ている女の子。新しい人生を切り開こうと東京へ出て行くのだ。町を出て1年、いまだに彼女は東京の夕焼けがくすんでいると思う。だが、東京で出来た友人に 「チャンスのようよ」 と言われて見ると、こちらをじっと見ている男性がいる。彼とデートする彼女。
 しかし、彼は友人達にカンパさせたお金でデートに誘い、その顛末を面白おかしく仲間に報告していた。田舎者と侮られた彼女は、友人だと思っていた仲間にだまされたのだ。里子の歌を思い出す彼女・・・。

 同じ海岸、里子が歌ってる。一組の恋人達。女性の方はお金持ちの養女になりにこの町を出て行くらしい。男は自分が忘れられるのではないかとちょっぴり心配だ。1年後、案の定一通の手紙も来ない女を思い、船の上で 「おおーい」 と叫ぶ男。里子が歌ってる。

 劇団の駆け出しの女。ぐうぜん大役のお鉢が廻ってきて、頑張りますと皆の前で宣言する。自分なりに頑張ったのだろうが、しかし評論家の批評はひどいものだった。友人は慰めてくれるが、本当に心込めて慰めているのかは分からない。
 
 海辺の町に来た劇団の女、里子の歌を聞く。そこには東京から戻っただまされ女、彼女に振られた男、もう一人作品が作れなくなった作家の3人が海辺で里子の歌を聞いていた。

 里子は死んだカナリアを追って海に入ろうとし、作家に助けられる。助けられても里子はただ歌うだけだ。だまされた女がその子は白痴だものと言う。
 
 突然4人を前に里子が話し出す。

 「あれは…カナリアの歌ではありません。歌をわすれたカナリアは疲れた長距離ランナーの、行き詰った旅人の、つくれなくなった作家のあせりとグチと切なさがうずまいて結晶して出来上がった歌。」
 「周囲の期待に沿わなかった劇団の女は首を切られて惨めにぶら下がってる、てるてる坊主」

 里子の歌はばかにしてはいけません。里子の歌を聞き流してはなりません。里子は歌の心を、深さを知っている。

 「そんなはずないわ 何も分かってないはずよ。白痴のはずよ!」

だけど里子は歌うたう。十年たってもこの日のままの五つの心で歌うたう。まるでなにもしらない顔で、里子は 〔俗人〕 どもをあざ笑う…。


 最後に作者ご挨拶があります。

 矢代 まさこです。こんにちわ。COMでわりかし好きなコトさせてもらっているうちに自分のマンガのいけないとこがマスマスわかってきてマスマスかんこちになってマス。

 はーっ、これ要約するの時間掛かりました。実は3週間くらいCOMを枕元に置きっぱなし。他にいろいろ好みの作品を読んじゃっていた、てのも有りましたが、難しいと言うより気が重いと言うか。まだまだ矢代作品はCOMの中にあるのに全部紹介できるのだろうか・・・不安になってきたぞ。

 
 私の頭の中では、昨日雷のために出来なくなった薄暮ゴルフの帰り道聞いていた、甲斐バンドの歌う 「テレフォン・ノイローゼ」 がぐるぐるグルグル廻っています。

出逢って一月目どれほど愛してるって聞くと

4週間分よってそっけなく・・・・


 追伸 今 「トーマの心臓」 書いてます~。あしたアップします~。長くなりそうです~
コメント (2)
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