猫とマンガとゴルフの日々

好きな物を題名に↑ 最近はゴルフとグルメお出かけ主体に。以前は1960年~70代マンガを紹介していました。ネタバレ有り。

高原へいらっしゃい。

2007年06月18日 15時41分34秒 | ゴルフ
  
           プレジデントカントリー倶楽部 軽井沢コース アウト9番 


 頭の上には浅間山、右にはめがね橋を渡した池と、このコース屈指の絶景ポイントでございます。2007年6月17日(日)梅雨の晴れ間の軽井沢高原。
 


                


               太平洋クラブ軽井沢リゾート 浅間コース インの18番


 こちらは前日の6月16日(土)、隣接する太平洋クラブさんのゴルフ場にて。写真よりガクンガクンと下がった打ち降ろしホールです。正面の木々の向こうにクラブハウスが見えますね。アフタヌーンゴルフで¥12,000とお徳でした。

 ゴルフをしない人でもこんな景色が綺麗で爽やかなところなら来てみたくありませんか ? 夏は高原に行きましょう ! 晴れ夫婦のかたわれ、トミーがお送りいたしましたん~。(今年はじめより3kg減量に成功したので自慢げに撮ってみました。)

 ※ マンガ関係は今、西谷 祥子氏、槇村 さとる氏の作品草稿中です。しばらく空いちゃってすいません~。
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私の好きなおじいちゃん ヴィルトゥオーゾ・ホロヴィッツ

2007年06月15日 11時28分22秒 | 雑記
 前回で弾みがついちゃいまして。マンガにかこつけて又、私の好きなおじいちゃんのピアニストのこと書いちゃおう。


 まんが作品は さそう あきら 「神童」 双葉社より文庫全3巻が出ています。 1999年に第3回手塚治虫文化賞 マンガ優秀賞受賞をしている作品です。私は残念ながら未見ですが、天才少女ピアニストのうたちゃんと音大生和音(わお)のお話だとか。その中にこのホロヴィッツ翁とその奥様、天才に仕えた調律師をモデルにしたような人物が出ているということを読みまして、そのうち読まなくてはと思っているんですが。今本屋に山積みされてますね。
 映画になっているそうで、わお役が私の好きな松山ケンイチ君なのでこれは見なけりゃと思ってます。が…ホロヴィッツ翁の役は誰がやるんじゃイ。のだめ 実写版のようなことにはしないで下さいよ~(ちょっと笑)

 さてホロヴィッツ翁、この巨匠に向かっておじいちゃん呼ばわり、しかももう1989年11月5日にニューヨークで85歳でお亡くなりになっています。
 でも私にはおじいちゃんピアニストの印象が強くって。そりゃそうで、ホロヴィッツは1904年10月1日ロシアのキエフ生まれ、私が自分のお金でレコードやCDを買うころは気難しそうな立派なおじいちゃんでした。上の写真だと品の良い紳士でしょ。もっとお年を召すと好々爺(こうこうや)然としています。

 私がご幼少のみぎり、ピアノを習わせられていた頃には、美智子皇后似の美人先生に手は卵をそっと包むように丸く曲げて弾きなさいと教わりました。今でもそのように教えているのでしょうか ? 
 そのもっと前には手首を固く保って指先を丸く曲げ、つめ先を鍵盤にほとんど直角に高く弾きおろすタイプライターのような奏法も教えられていたようですが今はもうそんなことは無いでしょう。
 この巨匠はそれらとも違って「指を不自然に伸ばして演奏するスタイル」で知られています。普通に考えて、柔らかく曲げた指の方がフレキシブルに動けるのは道理で、あの伸ばした指でどうしてあんなに早く、叙情的にピアノを弾けるのか ? 人間業ではございません。素人の私がCDで聞いても、先日のグールドやケンプ、アシュケナージ、ブーニンなどとも違って、響くんです音が。

 一時期、若い才能あるピアニストたちは (日本・外国問わず) その先生たちから ホロヴィッツ の真似をしちゃいけません、と口すっぱく言われた時期が有りました。ホロヴィッツの演奏は大変悪魔的に魅力的で、誰でもあんな風に弾いてみたいと思わせるのです。ところがその魅力がどこから紡ぎだされるかと言うと、

作曲家の意図する強弱や長短、速度などを自分なりに歪曲して弾いているから。

 はい、これでピンと来た人。これはのだめさんですね。のだめさんのモデル (奏法のみ) はホロヴィッツさんなんですね~。以前、のだめ を読み始めた時に例に出した人はホロヴィッツだったのです。 → やっと「のだめカンタービレ」読み始めました。

 で、こういう演奏を発展途上の学生達が下手にまねすると、自分の演奏を壊すことになってしまうのですね。事実、そうなってしまった有望なピアニスト達の屍累々という恐ろしいことがあったわけです。あっ、のだめさんは真似してああいう演奏をしているわけじゃないから大丈夫でしょ、作者はのだめの天性のもの、という描き方をされてますから。

ホロヴィッツ様に関して詳しくはウィキペディア → ヴラジミール・ホロヴィッツ をご参照ください。

 チャンスがあったら、ホロヴィッツのラフマニノフ聞いてください。クラシックが好きになるかも。
 
 うーんと、チャイコフスキー・コンクール第1回優勝者の ヴァン・クライバーン とか、もっと私の好きなピアニストやヴァイオリニストに関して書きたいが、中途半端なヘタレ音楽ブログになりそうなんでやめときます。いづれ又機会 (マンガがらみ?) が有りましたら。
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バッハ・ピアノ協奏曲 第1番ニ短調 BWV .1052

2007年06月13日 13時02分27秒 | マンガ周辺記事 作家別は下をどうぞ ↓
  グレン・グールド(ピアノ) レナード・バーンスタイン指揮 コロンビア交響楽団 1957年4月11日録音 モノーラル

1.Allegro  2.Adagio  3.Allegro

 この題名を見てピンと来た人、あなたはクラシック通じゃなくて マンガ通ですよね?
 はい、「のだめカンタービレ 第17巻」 で千秋が弾き振りした曲ですね~。以前マンガ喫茶で読んだとき、うちにグールドのがあったよな~、と思ったけど忘れてて、昨晩思い出して引っ張り出してきました。これを聞きながら下書き書きました。

 ピアニストのグレン・グールドは私大好物でして。(物じゃない) なんたって写真見て分かるとおりアングロサクソン系の美男子さんですし、ピアノのテクニックは超絶技巧、でも相当の変人さんで人間嫌い、晩年は (1982年に亡くなってます) コンサートをせずにスタジオ録音のみの活動をした方です。
 ピアノの前に父親に造ってもらった低~い椅子を置き、そこにぐた~と座り、背を丸めて弾く独特のスタイル、弾きながらにうなり声とも鼻歌ともつかない声を発して歌います。クラシックのCD (レコード) 数あれど、

 (ノイズはマスターテープに云々~~又、グールド自身の歌い声も一部ございます。) 

 なんて注釈が書いてあるものは他の人には無いでしょ。


                  


 コンサートで弾くときも千秋のような燕尾服を着ずに、コットンシャツのようなのを着ていたのを見てわたしゃびっくらこきましね。ジャズの演奏者ともコラボしたり、様々な奇行、逸話のある人物ですが、死んだときにはまだそんな年じゃないのに…って残念でした。ちょうど50歳でした。
 
グールドをもっと詳しく知りたい方は ウィキペディア → グレン・グールド

 吉野 朔美氏のマンガにも 「グールドを聞きながら」 と言う作品あったかと思いますが、(私は未見) 女性マンガ家さんにもファンの方多いと思いますよ。

 指揮者のレナード・バーンスタイン氏については ウィキペディア → レナード・バーンスタイン

 を参照ください。この方もなかなか。映画 「ウェスト・サイドストーリー」 の楽曲作曲者です。


 このCDには他にもピアノグールド、ウラディミール・ゴルシュマン指揮、コロンビア交響楽団のバッハピアノ協奏曲

第2番 ホ長調 BWV.1053 
第3番 ニ長調 BWV.1054
第4番 イ長調 BWV.1055
第5番 ヘ短調 BWV.1056
第7番 ト短調 BWV.1058

 も入っています。1番より2番・3番の方が有名なメロディが出てくるのに何で千秋は1番を弾き振りしたのかな~渋い好みですね~。弾き振りするのに何か都合がいいのか ? なんて考えて聞いてました。 

                 
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萩尾 望都 「トーマの心臓」 その②

2007年06月12日 10時10分27秒 | マンガ家名 は行
     写真は私の持っているフラワーコミックス 1巻~3巻


 この作品に関して、6月7日の記事 → た~だいま 読書中 のコメント欄につるさんより長文のコメントを頂き、とても共感できるものが有りました。私のコメント返しも含めて少し引用させていただこうと思いつるさんの了解も得てここに再録させて頂きます。

 青字はつるさんコメント、黒字はトミーコメントの再録です。

 有名なのでご存知の方多いと思いますが…「トーマ」は、萩尾さんが竹宮さんに連れて行かれた映画、、、タイトル忘れちゃったけど、先輩に恋してむくわれなかった少年が列車に身を投げて自殺するというようなラストの、外国の男子寮を舞台にした少年愛がテーマの映画、、、を観て、自分だったらこう考える、と発想したものを、趣味で描いていたもののようです。

当時短編作家として描いていた萩尾さんがある日編集部を訪ねると、「ベルばら」を読んだばかりで興奮していた編集者が「萩尾さん!長編やりましょう!」と言い出したんだそうで。長編となると強いキャラが必要だけど短編しかアイディアのストックがない、趣味で描いてるのが一本あるけどウケないと思いますよ、ということで、まとめて読めそうな分60p.ほどを見せると気に入られ、「これでいきましょう!」ということで連載スタートしたのだそうです。
ところが暗い内容とタイトルで連載第一回目のアンケート投票の結果が最下位と悪く、担当編集だった人も編集長になってしまい、「編集長になると無責任に人気のないものを続けさせるわけにはいかない」ということで、第三回目の原稿を持っていった時点で「終わらせてくれ」と言われたのだそうです。
萩尾さんも「でも一年以上続けるもの、という前提で受けたものですし」「この話はこれから面白くなるのです、絶対面白くします」と食い下がり「せめてあと二ヶ月」「せめてあと一ヶ月」と戦いながら、結局当初の予定の半分以下の半年で終わらせた作品だったのだそうです。

連載二ヶ月頃のとき「ポー」三巻の単行本が発売になったそうです。
編集では萩尾さんの実力は高く評価されていたようですが、どちらかというと低学年しか反応しないようなアンケートでは数字が悪かったようです。どの作品を単行本にするか、という会議の時、長く読まれる良作を、ということで「ポー」の発刊が決まったようです。
この「ポー」三巻は『発売後三日で売り切れ』という少女漫画界にかつてなかった『事件』を起こし…
「トーマ」は益々めんどくさい状況になったんだとか。「人気のないトーマをさっさと終わらせて週刊のほうでポーを連載させろ」とか。お偉方が。
いくらでもポーを描くからとにかくトーマをそれなりに終わらせてくれ…ということで当時まだ20代前半の萩尾さんは頑張った…涙なしでは語れません

…かような背景で「トーマ」は描かれたようです。それなのにあの作品としての質の高さは萩尾さんの果てしない実力の高さを物語っているように思いますが、作者としては仕方なくはしょったエピソードなどもたくさんあったのでしょうね。後に発表されたオスカーの幼い頃のエピソード「訪問者」を読んだときに思いました。

萩尾さんにとってはもともともっと追求したいテーマだったのだと思うのです。一旦は「トーマ」の形で終わらせたけど、40代の自分はどう考えるか。。

『愛のために列車に飛び込み自殺をした少年の心に何があったのか』というのが「トーマ」、それをさらに深めて『魂を引き裂かれた人間がどうやって回復していこうとするのか』が描かれたのが「残酷な神が支配する」なんじゃないかな~とつるちゃん思うのでちゅ


 早速読み出したのですがーーやっぱりよく分からないところがあって、もっとよく読みこまなくては。趣味で描いてたというの読んで、さも有りなんと思いました。

 しかしこの裏話面白いです。はしょったとは思えないほど完成度高いですが、なるほどそう言われればもっと描きたかっただろうと思われる所はちらほらと。


 長編を依頼されて趣味で描いてたものを出したとかそれなのに打ち切られそうになったとかのあたりは萩尾さんご自身が書いてることです。
描きたかったのに描けなかった事があるんじゃないかとかいうあたりはソレに基づく私の推測なんですが。

萩尾さん作品をはじめて雑誌で読んだのが「ランプトンは語る」で、その後友達から借りたポー三巻は読みましたがまだあまりにも「びっくり」した状態から抜けてなかったので強烈な「萩尾体験」になったのが出合った年の冬に読んだ「トーマ」になりました(わかったようなわからんような書き方だなぁ)。…眠れなかった。。。なんでそんなにショックを受けてるのかわからなくて。

繰り返し読むうちトミー。さんと似たような疑問を持ちました。私はキリスト教をそんなに知らなかったんですが、トーマに描かれていることはキリスト教になじみのない日本人にはわかりづらいんじゃないかなあ、とやっぱり思いました…私はなんで掴めたのかな~と思ったときはじめて大好きだった「ナルニア国物語」がキリスト教をベースにしていることに気づきました…だから「キリスト教」としては知らなかったけど「キリスト教の精神」みたいなものは知らずに学んでいたと思うんですよね。。ともあれそういうベースのない人にはわかりづらそうに感じました、やっぱり。

自殺があかん、というのはトミー。さんが仰ってる通りだと思います。同性愛があかんというのもトミー。さんが仰ることのように思いますがそういえばどうしていけないのかハッキリわかりませんね…ただそゆことに励むと滅ぼしちゃうよ、っていうソドムの街の話がある、っていうふうにしか。(ゴモラはなんで滅ぼされたの??)

トーマは「自殺」という形をとっているけどたぶん正確には「自殺」じゃない…「ユリスモールを救うための手段」だということだと思います。「自」分を「殺」すために飛び降りたのじゃなく「ユリスモールの閉ざした心の扉を開くため」にほかに方法がなかった。『彼は今死んでいるも同然だ そして彼を生かすために 僕は僕の身体が打ち崩れることなんかなんとも思わない』のところです。
だからトーマは神に背いていないの。

そして同性愛といえば同性だからそうなんだけど、そどみーな快感をむさぼりたいための同性愛なんじゃなくて、『きみとならずっと遠くまで手をとって歩いていけそうな気がする』愛なんですよね(これはエーリクのセリフだけど。この場合トーマの気持ちと同じと解釈して良いと思います)。

いずれもそれでもカミサマがダメって言うならダメなのかもしれないけど。。。

ナルニアで、、、ナルニアを創った神様的、またキリスト的な存在は「アスラン」と言うのですが、アスランがアスランではなくほかの神を信仰していた男を支持するところがあるのです。その男が「なぜ」と訊くと「信仰が本物であれば、それが向けられる対象が何であってもあんたは私を信仰していたことになる」というところがあるのです。カタチを祀るのではなく真実に忠実であれ、というようなこと。

 キリスト教にしろ何にしろそこが「信仰」というものの本質じゃないかと思う。それは私がナルニアから学んだことですが。。。



>「ユリスモールの閉ざした心の扉を開くため」にほかに方法がなかった。

としても、自殺は×

>きみとならずっと遠くまで手をとって歩いていけそうな気がする』愛 

なら、一生プラトニックで高めあって生きなさい。

キリスト教は許さない気がする。西洋の宗教は厳格ですよ。

 「トーマ~」 は私勝手に日本の女の子にゃ難しいだろと思ってましたが、名作として名が残っているところを見ると結構理解されていたと言うか、分からないなりにもショックを受けた人がいっぱいいたと言うのは事実なんですね。
 西洋絵画の展覧会を見に行くと、旧約・新約聖書のお話を絵にしたものがいっぱいあって、マグダラのマリアなんてこれ見ている人の何人わかるの、イエスの母親の方じゃないのよ、とかモーゼは 「十戒」 (映画) が有名だから知ってるか、とか余計なこと考えちゃうけど、そんなことお構いなく、よい絵は誰が見てもよいと思えるの。それはバックボーンを知っていればよりよく分かるけれど。
 同じことでマンガといえどショックを受けたことで興味を持っていろいろ調べ始めるきっかけになった人は多いと思う。「トーマ~」 でキリスト教にはまった人は何人いる ? 

 調べればもっと分からなくなって深みにはまる話とは思われますがね~~ハハハ(いやみな笑い)

>「信仰が本物であれば、それが向けられる対象が何であっても

 昔、仏教系の偉い方に同じような話が有りましたね。凄く乱暴に言ってしまえば、信仰は同じだ、みたいな。東洋的な考えだなーと思っていたら、西洋にも同じ考えは有るのですね。信仰って面白いなー。


 同じコメント欄で、夜さんのコメントに

>神を否定することを強制されたくらいで何故!?

と思ったとあるんですが、私も

 普通の日本人ならそう思いますよね。とりあえずこの窮地を逃れるために、うそ付いたっていいじゃんと思います。キリスト教徒は殺されたって宗教を捨てないのか、生きていりゃこその宗教でしょ?本末転倒よ。
 踏み絵を踏んでコロンだって生きてこっそり信仰を続けた方が良くないか?これは今の自分だから言えるセリフかしら。

>今でもトーマの自殺に関しては
頭では理解しても、共感できないのです!

これも同感です ! なんたって10いくつの子が自分で死ぬなんてどんな理由があったって・・・・だめですよ。この後輝かしい人生が何十年もあるのに・・・子供に先立たれた親の嘆きはどうなるの・・・いづれ誰でも死ぬにしろ、順番というものが有りますよ。
 萩尾氏もこれを描くことによって考えさせているのかも知れない。いきなりこの場面なのでショックですけれどね~。

 精神的な事プラス肉体的にも神を裏切ったと考えてユリスモールはあそこまで 死んだも同然 になっていたんですね。そう考えればなんとなく納得できます。辛いけど。

 と返信しました。その後もつるさん、夜さん、ブックさん、カツゴンのママさんら熱っついコメントが目白押し。興味のある方、是非さかのぼって読んで見てください。管理人は・・・あっちっちっ、ちょっと熱を冷ましてこよう。
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萩尾 望都 「トーマの心臓」 

2007年06月11日 12時33分26秒 | マンガ家名 は行
      「トーマの心臓」 フラワーコミックス 1巻~3巻 
     初出は 週間少女コミック 昭和49年(1974)5月5日の第19号~12月15日の第52号(終わりはつるさんに教えていただきました~)



 「トーマの心臓」 は6月12日のアップにしようと思っていたら、すでに拙ブログの過去記事コメント欄で意見が沸騰しているではないかいな。一応書き終わったので、さっさと出します。
 コメント欄にはとても良い考察がいっぱい入っているので、後で引用させてもらおっと。でも、読んだこと無い方も中にはいると思われるので、とりあえず概要だけでも。


 最初はミステリー

 西ドイツにある男子高等中学のシュロッターベッツ学園。転入生のエーリクにそっくりだった死んでしまったトーマ。フロイライン(お嬢さんと言う意味 男の子です)と言われたくらい可愛いトーマと真面目なユリスモール(ユーリ)委員長の間には半年前に何かあったらしい。
 始めのうち、読者はエーリクと共に謎解きに必死だ。上級生の お茶会 に出たりして少しづつトーマとユーリの恋愛茶番劇の顛末 (お堅いユーリがトーマに落とされるか) について分かってくるが、エーリクにはそれ以上よく分からない。

 一方読者はユーリの唯一の友人、学園で特別待遇の大人っぽいオスカーのおかげでユーリの首の下にあるキズと、それによってユーリが 天使の羽 (神の加護?) を失ったことが分かる。しかし、何がどうなってそうなったかはこの作品の最後になるまで結局分からないのだ。

 その間にも、シュロッターベッツという小さい世界の中で少年達のキスや、幼い愛や、押さえ切れない激情や、涙によって学園生活は華やかに繰り広げられて行くのだ。

 それぞれの事情

 ユーリとエーリクは同室となるが、嫌でもトーマを思い出して不機嫌になるユーリ。そしてトーマを茶番劇の前からどんなに愛していたか思い出すのだ。
 そんなある日、エーリクに手紙が届く。それはあれほど待ち焦がれたムテ(ママ)・マリエからでなく弁護士からで、マリエの死を告げていた。
 以前住んでいたケルンに無断で行ってしまったエーリクを迎えに行くユーリ。その帰り道、なにやらユーリとの間にいわくありげなサイフリートという人物に出会う。その日のうちに学園に帰れなくなった二人はユーリの家に泊まるが、ここも又家庭環境が複雑そうだ。
 校長に特別扱いを受けているオスカーにもなにやら秘密のカードがあるらしい。

 気持ちが近づいたり又遠ざかったり・・・。ユーリのキズが背中にもあることが分かるが、あれは羽をもがれた後 ? エーリクはついにユーリに好きだと告げる。

 ユーリは元から許されていたのか?

 最終第3巻では上級生バッカスがユーリとサイフリートのイースターの休日の謎に迫る。この後すぐにサイフリート達素行不良の何人かが追放になったので、この時にユーリとの間に何かあったのは間違いないらしい。
 バッカス好き。最初の登場のエーリクとの出会いの場面からいい味です。大人でみんなを (オスカーを) 心配している。オスカーもみんなの中では大人だけれど、ユーリが好きだしバッカスより深く入り込んでしまっていて身動きが出来ないので、バッカスのような人物は読者にとって頼もしい。しかし、バッカスをもってしてもオスカーからイースター休日後のユーリの首のキズやユーリのどこか変わってしまった心理状態を聞き出すことが出来たくらいだ。

ユーリ 「僕には翼が無い!」

エーリク 「翼 ? 天国へいたる翼…のこと ? 」 

エーリク 「僕の翼じゃだめ ? 」


 その瞬間ユーリは分かったのだ。トーマが自分の翼をユーリにくれたことを。同時に自分はどれくらいトーマを愛していたかを。

 ユーリは長い間不思議に思っていた。キリストが裏切り者と知っていてもユダを愛していたのだろうかと。そうだ、その後のことまで全て許してキリストはユダに 「行って自分のなすべきことをせよ」 と言ったのだ。
 そこに考えが至るとユーリには人が何であろうと神様はいつも愛して下さっているという事がしみじみと実感できた。自分もいままでどんなことがあっても神に愛されて幸福だったのだ。

 では、自分のなすべきことは…。許された者として神に仕える事…。ユーリはボンの神学校へ行って神父になることを選ぶ。トーマはついにユーリを捕まえたのだ。

 ユーリがこれほどまでに悩み、それに気が付いてトーマが自分の身で償おうとした事件とは。最後の最後にユーリの口からエーリクに知らされる。神を裏切り、愛していたトーマを裏切り、自分を裏切ったイースター休暇の夜のことを。

 ジャジャーン 前述のサイフリートが絡んでくる事件の事ですが、長くなったので、明日つるさんたちのコメントを含めて書きますね~。えっ、ここまで来てひどいって ? 次回をお楽しみにって言うのは連載マンガの常套手段でしょ。
 あと、オスカーのことあまり書けませんでしたが、連載中から人気NO1、今も多分そうじゃない ? 私ももちろん好きですよ。明日は少しオスカーのことも書けるかな
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COMの中の 矢代 まさこ ③ 「歌うたう 里子」

2007年06月11日 08時54分18秒 | まんがエリートのための雑誌 COM
           COM 1968年8月号掲載 矢代 まさこ短編シリーズ ③


 歌をわすれたカナリヤは~うしろのおやまにすてましょか~
 赤いくつは~いてた~

 海辺の町、海岸で白痴の里子が歌ってる。それを見ている女の子。新しい人生を切り開こうと東京へ出て行くのだ。町を出て1年、いまだに彼女は東京の夕焼けがくすんでいると思う。だが、東京で出来た友人に 「チャンスのようよ」 と言われて見ると、こちらをじっと見ている男性がいる。彼とデートする彼女。
 しかし、彼は友人達にカンパさせたお金でデートに誘い、その顛末を面白おかしく仲間に報告していた。田舎者と侮られた彼女は、友人だと思っていた仲間にだまされたのだ。里子の歌を思い出す彼女・・・。

 同じ海岸、里子が歌ってる。一組の恋人達。女性の方はお金持ちの養女になりにこの町を出て行くらしい。男は自分が忘れられるのではないかとちょっぴり心配だ。1年後、案の定一通の手紙も来ない女を思い、船の上で 「おおーい」 と叫ぶ男。里子が歌ってる。

 劇団の駆け出しの女。ぐうぜん大役のお鉢が廻ってきて、頑張りますと皆の前で宣言する。自分なりに頑張ったのだろうが、しかし評論家の批評はひどいものだった。友人は慰めてくれるが、本当に心込めて慰めているのかは分からない。
 
 海辺の町に来た劇団の女、里子の歌を聞く。そこには東京から戻っただまされ女、彼女に振られた男、もう一人作品が作れなくなった作家の3人が海辺で里子の歌を聞いていた。

 里子は死んだカナリアを追って海に入ろうとし、作家に助けられる。助けられても里子はただ歌うだけだ。だまされた女がその子は白痴だものと言う。
 
 突然4人を前に里子が話し出す。

 「あれは…カナリアの歌ではありません。歌をわすれたカナリアは疲れた長距離ランナーの、行き詰った旅人の、つくれなくなった作家のあせりとグチと切なさがうずまいて結晶して出来上がった歌。」
 「周囲の期待に沿わなかった劇団の女は首を切られて惨めにぶら下がってる、てるてる坊主」

 里子の歌はばかにしてはいけません。里子の歌を聞き流してはなりません。里子は歌の心を、深さを知っている。

 「そんなはずないわ 何も分かってないはずよ。白痴のはずよ!」

だけど里子は歌うたう。十年たってもこの日のままの五つの心で歌うたう。まるでなにもしらない顔で、里子は 〔俗人〕 どもをあざ笑う…。


 最後に作者ご挨拶があります。

 矢代 まさこです。こんにちわ。COMでわりかし好きなコトさせてもらっているうちに自分のマンガのいけないとこがマスマスわかってきてマスマスかんこちになってマス。

 はーっ、これ要約するの時間掛かりました。実は3週間くらいCOMを枕元に置きっぱなし。他にいろいろ好みの作品を読んじゃっていた、てのも有りましたが、難しいと言うより気が重いと言うか。まだまだ矢代作品はCOMの中にあるのに全部紹介できるのだろうか・・・不安になってきたぞ。

 
 私の頭の中では、昨日雷のために出来なくなった薄暮ゴルフの帰り道聞いていた、甲斐バンドの歌う 「テレフォン・ノイローゼ」 がぐるぐるグルグル廻っています。

出逢って一月目どれほど愛してるって聞くと

4週間分よってそっけなく・・・・


 追伸 今 「トーマの心臓」 書いてます~。あしたアップします~。長くなりそうです~
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た~だ今 読書中。

2007年06月07日 10時15分10秒 | マンガ周辺記事 作家別は下をどうぞ ↓
 上の題名は 古閑 美保ちゃん (女子プロゴルファーさんです) が出ているキリンビバレッジのCMのCMソングで歌ってね。だんながファンなんですよ~。

 やっと月締めが終わったのでゆっくりマンガを読もうと思ったら、借りているもの、他ブログさんで薦められたもの、再読したくなったもの、つい買ってしまったもの、ごちゃごちゃ読んでしまって収拾がつきませ~ん

 2~3日前に読んだのは 西谷 祥子氏 「われら劣等生」 週刊マーガレット 昭和42年(1967)17号~25号 これリアルタイムで読んでたので懐かしかったのですが、短いし 「レモンとさくらんぼ」 と同じ学園もので当時たくさん描いていた、いつもの西谷節。

  昨日珍しく普通の本屋へ寄ったらたまたまあって、買ってしまっもの。山本 小鉄子氏の 「あしたの君はここにいない」 原作付きBLです。ちょっと・・・だいぶかな・・・私には甘すぎた。もともといかにもBLな年下の可愛い子ちゃんが出てくるのは好みじゃないので。でも雰囲気は良かった。後半のセリフがどっきり。 

 再読中のもの 萩尾 望都氏 「トーマの心臓」 1974年 これは最初のコミックス持っていてなぜか 「ポーの一族」 無くしてもこれは有ったのだけど、最初に読んだ時も違和感あったし、今読んでても良く分からんところあり。
 再読のキッカケは5月28日の拙ブログ記事 

           萩尾 望都 「あぶない丘の家」

 に つるさん がコメントを寄せてくれて (面白いから遡って読んでみて) この作品について目からウロコが取れたため。まだ途中なので読み終えたら記事アップする予定ですが、こ、これって 「残神」 の別パターンなの ? そう思うと当時としては 少女マンガの大タブーに挑戦作ですよね ? 
 
 洗礼は受けてませんが、小学校をカソリックの学校で過ごした私には、最初から自殺シーンで始まるところからして違和感有りまくり。自殺と同性愛はキリスト教ではご法度なんですよ。神様から頂いた命を自分の都合で終わらせるのは神に対する冒涜ですし、同性愛がいけないのは、私ははっきり説明できないんだけど、多分子孫の繁栄が望めないからでしょう。
 この作品にはこの二つが含まれて描かれているんです。ゲイの方は最初はそこはかとなく少年時代の憧れみたくソフィティケートされて表現されてますが、物語の重要なところで効いてくる・・・んです。

 今じゃ立派なトミー腐人の私ですが、大分前に十字架のアクセサリーが流行り始めたときも感じた違和感を感じましたね。十字架はロザリオの先に付いててお祈りするものですよ~。信仰の対象ですよ~。アクセになんかしないで下さい~てね。今じゃ見るのは平気になりましたが、自分で付けようとは思いません。

 脱線しましたか。あんまり書いてると本番の記事で書くこと無くなるから、これくらいにしときます。だらだらとおもいつくまま、失礼しました~
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つきじ 植村 お徳感あり

2007年06月06日 14時34分22秒 | グルメ 私の食べた美味しいもの
   マンガの感想の下書き書いてないので~。この間食べた和食でごまかそう~


 先日、叔母とだんなと日曜日のランチを地元の駅ビルにある つきじ植村 で食べようと出かけました。平日昼間のランチはもっと安いと言う話ですがなんの、休日のお昼もあっという間に人が並ぶほどの人気。叔母に脅されて早めに着くように出かけました。

 いろいろお値段ある中、我々は2,000円のセット (定食?) に決まり、待つこと10分くらい。



                   


                   前菜のサーモンのカルパッチョサラダ。と、うに豆腐みたいなの。う~ん、でもこれって葉っぱとスモークサーモンにドレッシングかけただけじゃないか ? カルパッチョって多少はつけておくものじゃないか ? 


 それからトップの写真になります。手まり寿司とか揚げ物焼魚もちまちまと、いかにも女性好み。茶碗むしにお吸い物は土瓶むしタイプ (マツタケではない) 焼き魚の上に掛かっていた肉味噌がとても美味しかったです。他もなかなかでしたよ。



                   


          上でもお腹がいっぱいになりかけなのにおそばがついて、ゆずのシャーベットがつきました。



                   


        土瓶むしの中身。海老しんじょ見にくいけどだいこんはひょうたんの形に切って有りました。


                   


                   私が別に頼んだ紅いもあんみつ。上のソフトクリームが紅芋の味です。(3人で食べましたよ~ 一人ではない~)


 外で食べた話ばかりで、ちっとも自分の料理の写真がないなあ~と思っていらっしゃる方。はい、それは事実作ってないからです。私は主婦では有りません~。うちの主婦は叔母です~ボロが出ないうちに逃げよ もう常連さんには出まくってますって ?



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永島 慎二 原作 映画 「黄色い涙」

2007年06月05日 15時50分18秒 | 映画
                 
                  黄色い涙 - goo 映画


 今年初めて正規料金 (1,800円) で、恵比寿ガーデンシネマにて夜7時よりの鑑賞となりました。いつも策を弄して (?) 映画は1,000円で見ているのですが、ここでは6月8日までしか夜の上映がないのであわてて前売りも買わずに見に行った次第。年に一度くらいこういうことが有りますね。内容結構良かったので良しとしなければ。

 結構良かったと言うのは、永島慎二氏の原作を懐かしがって見られる年代の人には、という意味です。映画館には 嵐 のメンバー目当てのティーンの女子がちらほらいましたが、話としてこういうのは面白いのかな~ ? ちょっとわかんないんじゃないかなー ? 
 なにしろ1963年の東京のひと夏が舞台、地方出身で駆け出しのまんが家として頑張っている若者の所に転がり込む3人の若者と言う構図。それぞれ歌を作って歌手になりたいとか小説を書いてたり、油絵を描いてたり。彼らに絡んで周りの女性などの青春も描かれます。この間見た 「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」 にちょっと似ていなくもないのですが、それより前の時代の話となります。
 今ティーンの子にとっては親より上の世代の話でしょ。普遍的なものも有りますけれどね~。

 原作の「若者たち 黄色い涙シリーズ」では村岡 栄という名前の登場人物となっていた、永島 慎二氏のアシスタントをしていた村岡 栄一氏とその仲間がモデルですが、この映画では微妙に永島氏自身のエピソードも混じっているようですね。主人公のマンガ家の描いてた売れない叙情マンガも永島氏のマンガだったし。梶川という原作者付のマンガを書かないかと勧められて、「ああいうのはもうちょっと・・・」 と断るシーンもあって、これは 梶原 一騎氏のことでしょ。永島氏は 「柔道一直線」 の時、梶原氏と何かあったようですから。

 最近の映画の例によって、当時の商店街の様子とか喫茶店とかの再現がすばらしいです。1963年と言えば私はまだ10歳でしたが、駅ってこんな感じだったかな~? こんなきちゃなかったかな~。でも 嵐 の面々は汚くないな~ ? いろいろ疑問符も出てきますが、キャバレーの場面とかお祭りの場面とか美術は一見の価値有りでしたよ。

 やっぱり二宮 和也君上手いです。松本 潤君がいいの~。 他の面々もそこそこ、当時の若者の一生懸命さとちゃらんぽらんさが出てる。いつの時代も若者は一生懸命で無責任か・・・。
 
 月曜の夜ということで、20名くらいしか入っていませんでした。ティーンより大人の方が多い。ちょっともったいない。この恵比寿ガーデンシネマって場所が悪いのかしら、駅から遠い ? スカイウォーカーで来れば早いよ。小さい箱ですけど、渋い良い映画をやるんですよ、私は時々来ます。もっとがんばれ~
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西谷 祥子 「飛んでゆく雲」

2007年06月04日 13時24分30秒 | マンガ家名 な行
             写真は夜さんからお借りしている西谷コミックスの中から表紙


 近頃季節が良くなったので、晴耕 (ゴルフ) 雨読 (マンガ) の生活の中で晴耕 (芝刈りとも言いますなー) ばかり熱心に出かけており、雨読がおろそかになっています
 やっと一つ読み終えたのがこれ。1巻ですが、内容濃かったのでじっくり読みました。
 
 初出は  前編 別冊セブンティーン 昭和46年 (1971)2月号 
        後編 別冊セブンティーン 昭和46年 (1971)3月号 

 時代は、そもそも源平がいがみ合うキッカケになった保元・平治の乱の頃。先日読み終えた 萩尾 望都氏の 「あぶない丘の家」 第3話 「あぶない壇ノ浦」 の義経・頼朝兄弟のお父さん、伯父さんたちと兄弟、いとこ達のお話。萩尾さん、この話もきっと読んでいたことでしょうね。

 義経達の父親 源 義朝(よしとも) は、平 清盛に平治の乱で破れ斬首、長男の通称 悪源太(鎌倉源太とも) 源 義平(よしひら) も一時は落ち延びますが、平 清盛 の暗殺を謀って失敗し捕まって斬首されます。この人、頼朝の同母の一番上のお兄さんです。(違うと言う説も有り)
 平治の乱では、13歳の頼朝も初陣で出陣し、負けて捕らえられたものの、平 清盛の継母 池禅尼(いけのぜんに) の命乞いで伊豆の蛭ヶ小島 (ひるがこじま) に流され、命は助けられたのです。清盛の子供達は後々、この時殺しておけばと後悔したでしょうね~。
 2005年NHK大河ドラマの時には、頼朝が池禅尼の早世した息子(平 家盛)に似ていたから池禅尼は必死で助けたとか言う話になってました。
 
 ところで、この 悪源太 源氏の嫡男にふさわしく幼少より気性荒く、叔父の 源 義賢(木曽 義仲の父) を滅ぼして、付いたあだ名が 悪源太 と言うのですから、20歳で殺されなければどんな活躍をして後世に名を残したものでしょう。残念ですが、もっともこれは鎌倉時代前期に成立した軍記物語 「平治物語」 に拠りますから、頼朝かもしくは幕府お抱え編集者が頼朝の憧れのお兄ちゃん、源氏の頭領 源 義平 を強くかっこよく書かせた、とも考えられます。いつも歴史書は勝者のものですから。

 これはいづれ 竹宮 惠子氏の 「吾妻鏡」 (鎌倉幕府の歴史書が原作) も読んでみたくなりました。

 このマンガも大体大筋はこの 「平治物語」 と 「吾妻鏡」 をそのままマンガにしたようなところが有りますが、中盤から悪源太の子、天寿丸 の話は後世の小説を原作としているか、西谷氏の創作が入っていると思われます。
 現実にいた土豪の名前や歴史書に出てくる事件などもちゃんと描かれていてまったくの創作とは思えませんが、悪源太の子が生きていて歴史に現れたという記述は、現在多少なりと認められている歴史書にはないと思って、誰かの小説だと思い検索しましたが良く分かりませんでした。原作があって、知っている方教えてください。
 歴史の隙間を埋めた創作でしょう。歴史小説やマンガはそこが面白いのですが。


 あらすじ 

 悪源太が捕らえられ、斬首されたとき天寿丸はまだ母、真芝姫のお腹の中にいました。悪源太が駆け落ちして妻とした真柴姫は朝敵となった夫の忘れ形見が殺されるのを恐れ、悪源太の家来 山木 通泰(みちやす) に天寿丸を託しますが、天寿丸の生死も分からなくなります。自分は尼になって夫と天寿丸の菩提を弔う覚悟で尼寺に入りました。
 何とか追っ手の目を逃れ、元藤原氏ゆかりの侍の住職 道心 に2歳まで育てられた天寿丸は武士の子らしく元服をさせたいと思う住職によって土豪 落合綱行  に預けられます。遅く出来た自分の子として 綱行 に可愛がられ育った天寿丸。5歳で早めの元服をし、綱盛 と名乗り義理の兄の子、楚々とした 美稲 (うましね) 姫と男勝りで自分から 鬼姫 と名乗る 紅子 (こうこ) とともに文武両道に秀で育ちます。

 一方、悪源太の家来で何度も死にそうな目に遭いながらも天寿丸を寺に預けた  山木 通泰 はその後も苦労しながら 天寿丸 を見守り、いつの日にか源氏の旗を挙げる日を夢見ています。自分の妻も殺され、なんとか一人息子の 梧桐丸 (ごどうまる) を鍛えてその日に備えます。なにしろ、天寿丸 (綱盛) は源氏の頭領の息子なのです。各地に散らばってその日を待っている源氏一党が決起したときには必ずやそのとなって活躍するはずの人なのですから。
 
 紅子と梧桐丸はともに技を磨きあい、天寿丸は美稲と愛を育み育って行きます。しかし美稲に横恋慕した平氏の御曹司のために美稲は京に召され、やっと源氏の嫡流と知らされた天寿丸は時すでに遅く、平氏に味方する落合一族として滅び行く平氏の軍勢の中にありました。

 源氏でもなく、平氏でもないと悩む天寿丸は一の谷、生田の森、屋島、壇ノ浦と死に場所を探して戦うが死に切れず、最後に子供の時預けられた僧 道心 に出会い出家します。母が天寿を全うするようにと願ってつけた天寿丸という名の通り何の欲心もなく生きるつもりでした。先に美稲も壇ノ浦で平氏の女として海に消えていたのです。
 同じ頃、梧桐丸と紅子もともに手を取り身分を捨てて新しい人生をと壇ノ浦に花投げて四国に漕ぎ出しておりました。

         雲は人の歴史を知らぬげに飛んで行くばかりであった。

 あらすじだけでも長くなりましたが、もっといっぱい細かいエピソードがあって歴史好きの私は堪能致しました。
 濃い内容を少ないページに入れたためか、文章で説明するコマや絵物語調になるのが多いのはしょうがないところ、よく前後編にまとめていらっしゃいます。今は絶版で読めないのは大変残念ですね。
コメント (10)
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