都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

百貨店の展覧会(志賀健二):敗戦時から80年代までの展覧会のまとめに過ぎない、考察が薄い

2018-06-14 02:58:47 | 都市生活

 大好きな百貨店研究。今回は展覧会を1950年生まれの元小田急百貨店の美術館長がまとめている。但し、展覧会の事例網羅が目的であり、社会・経済や都市計画からの観点は薄く、知見は乏しい。あくまで資料としての活用だ:

・展覧会の存在感があり集客が確実に図られたのは60年代末まで、70年代後半から80年代は文化も集客も後退

・戦時下は国策プロパガンダ(週当たり1.5本の展覧会が開催)、戦争展覧会など

・敗戦後は1947年第一次百貨店法廃止、1956年の第二次百貨店法成立までの間は規制の縛りがなくなり、銀座松屋、日本橋髙島屋、渋谷東急など増床・改築をし百貨店業界の面積と質を向上

・50年代:1950年文化財保護法による国宝・重文を社寺の出開帳として百貨店展示の呼び物に:①国は国宝・充分の文化財指定をしたが、予算がない ②社寺は文化財の所有者になったが困窮 ③新聞社。百貨店は国宝として希少性があり、多くの集客が見込める という三つ巴の思惑が重なる

・40~50年代は産業展として新製品と新技術

・50年代から:写真展と写真の普及

・70年代:文学展、三島由紀夫、展覧会の低迷期

・75年 池袋 西部美術館 パウル・クレー展で唯一気を吐く 

・まとめとして展覧会の百貨店への効果:①集客、②イメージ向上、③新規顧客開拓・誘引、④社会貢献

 展覧会は今でもあるが、ハルカスの北斎など本格化したようにも思う、このあたりの考察がない

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