この記事のタイトルは
大公殿下の口頭試問
を予定していました。
が、
前回の「肝っ玉おっ母とその子供たち」とのつながりで、長いタイトルにしました
「大公殿下の口頭試問」というのは、
以前紹介した「ヨーレシュ伯母様」に登場する「ゲーム」です。
このゲームの発明者は、代表的なカフェ文士のひとり
アルフレート・ポルガーで、その内容は、2人が試験官(歴史学者)と大公(受験者)になって問答するものです。カフェハウスに集った学者・文人が議論の間の気分転換に楽しんだのでしょう。試験官役は、誰でも正解がわかる質問をし、大公役は間違った答えをしなければなりません。正しい答をしたり、即座に荒唐無稽な返事ができなければ大公役の負け。試験官役は間髪をいれず「ご名答!」と叫び、大公役の間違った答が正しい理由をデッチ上げなければなりません。即座に屁理屈が言えなければ試験官役の負け。何とアホ臭いゲームであろう、と言うなかれ。互いにデタラメを即答するのは結構難しいと思います
新版の表紙
本書にある2例を紹介しましょう。
試験官役勝ちの例
試験官:「三十年戦争は何年続いたでしょうか?」
大公殿下:「三十年戦争は7年続きました!」
試験官:「ご名答!当時は夜間の戦闘が無く、これだけで年数は半減されます。しかも日曜・祝祭日には休戦が一般的でした。更に歴史上確定されている中断期間や両軍の交渉期間を差し引けば、実際の戦闘期間は7年となります。殿下のご明察、感嘆の至りであります。」
試験官の理由付けは、口から出まかせですから信用する必要はありません。
大公殿下勝ちの例
試験官:「フランツ・ヨーゼフ皇帝の名前は?」
大公殿下:「クオーツ!」
試験官:「ご名答!」・・・と叫んだものの、試験官は即座に何故クオーツなのかデタラメ説明を繰り出せませんでした。
大公という肩書き(貴族最上位の公爵より上位)は
ハプスブルク皇帝家と親族に自動的に与えられるものでした。中には相当ボケた人がいたかも
ウィーンのカフェハウスは文化と創造の拠点たる役割を担い、その余韻は今も伝統のカフェハウスに残っています。
ウィーンのカフェハウス(英語ウィキ、写真が色々あります)