赤と虎で紹介し、わたしの名は赤で期待外れと書いた大博打Grosses Spiel、やはり気になるのでモデム不通期間に読みました。大杉栄には全く関心が無かったのですが、大正天皇もチラホラ登場し、当時の社会状況も描かれているので、読みだしたら面白くスラスラ読めました。何よりも、一人称の語り手として登場する甘粕正彦が全くニュートラルな存在であることに好感が持てました。
いわゆる甘粕事件では主犯とされていますが、明らかに真相を隠蔽するための「隠れ蓑」だったと思います。
物語は甘粕が1945年満州国で自殺するところで終わります。
本書には出てきませんが、甘粕の辞世の句は「大ばくち 身ぐるみ脱いで すってんてん」という洒脱なものです。
この「大ばくち」が本書のタイトルに使われています。
「あとがき」によれば、著者ハンス・プラッツグマーの父親(2019年没)が謹厳実直・愛国心溢れる警察官で、まさしく甘粕のような人物であったということです。この本も父親に献呈されています。
以前に紹介した松吉伝によれば、甘粕は満州国建国にも大きく関与しているらしいのですが、本書ではその部分が欠落しています。公になっている文献や史料も殆ど無いからでしょう。
ついでに・・・大杉栄より伊藤野枝が凄いなぁと感心しました。
更についでに・・・私のコンピュータードクターがダウンロードしてくれたので「I am a Cat吾輩は猫である」も読み始めました。子供の頃日本語で読んだときの記憶はないのですが、とにかく笑えます。
Golden Demonって何だと思います?「金色夜叉」ですよ、ハハハ
英語版「吾輩」についても、そのうち書きますが・・・恒例、乞無期待
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