清里野外教室の下調べに行く前日の夜、Nさんが亡くなったことをきいた。
突然のことで驚くと同時にいろんな思い出が湧き上がってきた。
難病があり好きな花を生ける事に集中していればその時間でも忘れていられるからとお稽古にきはじめたのが10年前だった。
若くしてご主人をなくし2人の男の子を育て上げそれぞれが結婚して家を出て一人暮らしだった。
彼女の家の庭には野草っぽい花が一年中咲いていた。
お稽古のときよく庭に咲く花の話をしてくれたし聞くのがすきだった。
一度シモツケソウの小さな花束を庭に咲いたからといただいたことがある。
今回清里教室の下調べ旅行中ズート彼女のことが頭からはなれなかった。
清里野外教室にも参加してくれたことがある。
去年は採集できなかったのに今年は採集出来、持ち帰ったシモツケソウの花を眺めていると彼女のことを偲んで生けたくなった。
細かい花が集まって咲くクリーム色のカワラマツバ、柔らかい感じのイネ科植物、可憐で上品な感じでピンク色のシモツケソウ。
彼女と知り合ったとき60歳だといっていたが童女のような人だと思った。
シモツケソウを生けながらシモツケソウと彼女が重なった。
美術系の学校を出て七宝焼きの作家でもあった。
独特の感覚で美味しいものやきれいなものを見つけるのが上手でいろいろ教えてもらった。
彼女からいただいたカスピ海ヨーグルトはいまだに作り続けている。
若くして亡くなったご主人のことをいつも思っていた。
「よくがんばったネ、チョット早いけど・・」と最愛のご主人が迎えに来たきがする。
肩の力を抜きご主人に寄り添っているNさんを思い描くと良かったと思えてくる。
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