7時、起床。
目が覚めたら60歳になっていた。朝は、いつも、誰にとっても、残りの人生の最初の一日の始まりであるわけだが、今日はとくに60代という人生のステージの最初の一日だ。
・・・と少しばかり改まった気分でいたら、玄関のチャイムが鳴って、大きな段ボール箱が届いた。開けてみたら、薔薇の花束だった。早稲田大学での最初の教え子の一人で、いまは実践女子大学の教員になっている原田謙君からだった。
花瓶に入れて、食卓の上に飾ったら、さっそくはるがやってきた。花瓶に入れた花束が好きなのだ。正確に言うと、花瓶の水が好きなのだ。このままにしておくと必ず花瓶を倒すので、花瓶は玄関の出窓のところに飾ることにした。どうもありがとう。
マフィンと鶏肉そぼろ、牛乳、紅茶の朝食。
午後から外出。昼食は「phono kafe」で。私がテーブルに着いた時点で満席になり、次に来たカップルは普段は使わないカウンター席に座り、さらに女性の一人客が入ってきて、「すみません、ただいま満席で・・・」と大原さんが応対すると、客の一人が「私もうでますから」と言って席を立つ準備を始めた。ラッシュアワーである。でも、大原さんは以前ほどテンパってはいないように見える。こういう状況にもだいぶ慣れたみたいである。消費税アップに伴う価格の改定で客足が鈍るのではないかと大原さんは心配されていたが、なんのなんの、大丈夫そうである。
ご飯セットを注文し、一心不乱に食べ、早々に席を立つ。
神楽坂で途中下車して、「SKIPA」に顔を出す。この前来たのだが、卒業式より前の3月18日だから、ずいぶんと間が空いてしまった。
のんちゃんから「お誕生日おめでとうございます」と桜を模った箸置きをプレゼントされる。去年の4月11日にのんちゃんは早稲田大学のキャンパスを見てみたいというので私が案内したのだが、そのとき、「今日は私の誕生日でね」と私が言ったのを覚えていてくれたのだ。
私自身、卒業生に箸置きをあげたりすることがある。小さなアイテムだが、これがあると食事時間にゆとりが生まれる。多忙な毎日の休止符の働きをしてくれる。
アイスチャイとプリンを注文(小さな焼き菓子はおまけ)。いただいたばかりの箸置きをさっそくスプーン置きとして使わせていただく。
こちらも久しぶりの「梅花亭」で草餅とみたらし団子を購入。研究室のお八つ。
5限・6限はゼミ。第6期生(新3年生)のデビューである。留学中で秋学期から参加のAさんを除く18名全員出席。時間をかけて(質疑応答も含めて)ひとりひとり自己紹介をしてもらった。同じ学部の同じ論系の学生なのに、ゼミの各期にはそれぞれのカラーがある。6期生のカラーもこれまでのどの期とも違う独特のものである。これは不思議と言えば不思議である。
4年生(5期生)も一緒になっての記念撮影(4年生は就活等で5名が欠席)。今年度はどんなゼミになるだろう。
今日のスイーツは4年生のHさんが準備した「おいもさん」という和風のスイートポテトだった(写真を撮るのを忘れました)。
それとは別に、私の誕生日のケーキをプレゼントされる。薔薇の花をあしらったチョコレートケーキである。副ゼミ長のSさんの音頭で「ハッピバースデー」の合唱。これはサプライズといいながら、実は裏情報で知っていたので、サプライズの反応を見せつつ、上着のポケットからナプキンとフォークを取り出して、ケーキを食べる仕草をする。ありがとう。嬉しいです。
こうして、60代最初の一日は、薔薇で始まり、薔薇で終った。