今日は午後、自宅で妻のワイヤー&ビーズの講習会があり、追い出されるというわけではないが、なんとなく自宅にはいずらいので、昼過ぎに散歩に出る。朝方は晴天だったが、不穏な雲が広がってきた。後から妻に聞いたら、雨、雪、天気雪、晴れ・・・と目まぐるしく天候が変化したそうだが、蒲田周辺の局所的荒天だったらしく、他所に移動していた私は知らなかった。「天気雪」は見てみたかったな。
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ショルダーバッグには黒川創『かもめの日』が入っている。上野動物園をめざす。動物園は読書に適した場所、というのが私の持論である。広く、そここにベンチがあり、飲食の施設もあり、そしてもちろんたくさんの動物がいて、読書の合間に眺めるとよい息継ぎになる。私は「ぐるっとパス」という東京の美術館や博物館など60数施設の無料・割引入場券のセットをいつも持ち歩いているのだが、上野動物園の無料入場券もそこに入っていて、有効期限が3月末なので、今日、使ってしまおうと。
新橋で下車して、地下鉄銀座線に乗り換えるとき、駅前で古本市をやっていたので、しばし寄り道。ただし、ここであれこれ購入してしまうと、それを持って歩かなくてはならないので、自制して3冊だけにとどめた。
水上勉『宇野浩二伝』(中央公論社)*500円
東野克美『太宰治という物語』(筑摩書房)*1000円
ジョン・マグリーヴィ編『グレン・グールド変奏曲』(東京創元社)*1000円
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上野広小路で下車し、地上に出ると目の前が「鈴乃屋」。6階に「今半」が入っているので、ここで昼食を食べることにする。一番安いすき焼弁当を注文。弁当というから鶯谷の菩提寺で法事をするときに人形町の「今半」からいつも取り寄せているお弁当(松花堂弁当のおかずにすき焼が入っている)と同じようなものかと思ったら、ちゃんとしたすき焼鍋(ただし調理済みのものでテーブルで火は使わない)が出てきた。これで1500円はお得だ。お櫃には茶碗二杯分のご飯が入っていて、二杯目の途中で、すき焼の具を浸して食べていた生卵をご飯に掛けていただく。数ある卵掛けご飯の中でもこれは最高である。
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広小路から不忍池の横を通って動物園へ向う。花見をするつもりで来たわけではなく、実際、まだ満開ではないのだが、開花具合には個体差があって、十分に鑑賞に堪える桜も何本かあった。
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動物園には2時から4時頃まで(その頃になると、まだ空は明るくても、空気が冷えてくる)滞在した。3分の2はベンチで『かもめの日』を読み、3分の1は動物たちを眺めていた。上野動物園は東園と西園(不忍池周辺)に分かれているが、西園には行かなかった。私のお気に入りの動物はたいてい東園にいるのだ。ジャイアントパンダの「リンリン」が去年の4月に老衰で死んで(享年22歳)、1972年以来、上野動物園の象徴的存在であったジャイアントパンダが不在であるが、WBCで不調のイチローの分を他の選手たちが頑張ってカヴァーしたみたいに、定番的動物たちが一生懸命動物園らしさをかもしだしていた。
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あっち向いてホイ
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フンッ、だ。
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犯人は君だね(火曜サスペンス劇場風)
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大天使ガブリエルは言った。「あのよ(世)~」
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亭主なら若い女のところだよ
上野から日比谷線に乗って恵比寿へ。東京都写真美術館で開催中の二つの展示会、「夜明け前 知られざる日本写真開拓史Ⅱ」と「やなぎみわ マイ・グランドマザーズ」を見物する。前者は地味な企画だが、後者は飛んでいる。モデルとなった若い女性たちが自分の50年後について写真家(やなぎみわ)に語り、写真家はその欲望や不安を汲み取りながら、モデルに特殊メイクをほどこし、撮影の場所や舞台装置に工夫を凝らし、50年後の彼女たちを撮った。いうなれば「未来」の写真集。個々の作品にはモデルの女性の語り(のようなもの)が添えられていて、これが作品の一部として機能している。たとえば、HIROKOという女性は、孫娘と世界を飛び回っていて、ホテルの一室で荷物を解いている孫娘にこんな説教をする。
「どうも判っていないようね。この旅行は遊びじゃなくて、出張なのよ。世界中にいる奴隷達は、わたしのクライアントなの。アナタがチヤホヤされるのは、あくまで『伝説の女王』の孫だから。アナタはまだまだ半人前よ。そこのところをわきまえなさい。わたしがアナタくらいの頃にはね、個人のセックスサービスは非合法。何の保障もなかったわ。最近、あなたが注射一本で治した病気も昔は不治の病で、たくさんの人が死んだのよ。プロの女王を続けるために、おばあちゃんはいろんな差別や悪法と長いこと闘って・・・ちょっと!聞いてるの?!私が築いたイシズエに寝そべる、若い子の無自覚を見ていると引退なんかできないわ。」
観客には若い女性が多かったが、こうした作品に触発されて、彼女たちは一体どんな50年後を語るのだろうか。展示会は5月10日まで。ゼミの学生たちを連れてまた観に来ようかな。ゼミは金曜の夕方からだが、写真美術館は木曜・金曜は午後8時までやっているから。
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深夜、『かもめの日』読了。
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ショルダーバッグには黒川創『かもめの日』が入っている。上野動物園をめざす。動物園は読書に適した場所、というのが私の持論である。広く、そここにベンチがあり、飲食の施設もあり、そしてもちろんたくさんの動物がいて、読書の合間に眺めるとよい息継ぎになる。私は「ぐるっとパス」という東京の美術館や博物館など60数施設の無料・割引入場券のセットをいつも持ち歩いているのだが、上野動物園の無料入場券もそこに入っていて、有効期限が3月末なので、今日、使ってしまおうと。
新橋で下車して、地下鉄銀座線に乗り換えるとき、駅前で古本市をやっていたので、しばし寄り道。ただし、ここであれこれ購入してしまうと、それを持って歩かなくてはならないので、自制して3冊だけにとどめた。
水上勉『宇野浩二伝』(中央公論社)*500円
東野克美『太宰治という物語』(筑摩書房)*1000円
ジョン・マグリーヴィ編『グレン・グールド変奏曲』(東京創元社)*1000円
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上野広小路で下車し、地上に出ると目の前が「鈴乃屋」。6階に「今半」が入っているので、ここで昼食を食べることにする。一番安いすき焼弁当を注文。弁当というから鶯谷の菩提寺で法事をするときに人形町の「今半」からいつも取り寄せているお弁当(松花堂弁当のおかずにすき焼が入っている)と同じようなものかと思ったら、ちゃんとしたすき焼鍋(ただし調理済みのものでテーブルで火は使わない)が出てきた。これで1500円はお得だ。お櫃には茶碗二杯分のご飯が入っていて、二杯目の途中で、すき焼の具を浸して食べていた生卵をご飯に掛けていただく。数ある卵掛けご飯の中でもこれは最高である。
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広小路から不忍池の横を通って動物園へ向う。花見をするつもりで来たわけではなく、実際、まだ満開ではないのだが、開花具合には個体差があって、十分に鑑賞に堪える桜も何本かあった。
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動物園には2時から4時頃まで(その頃になると、まだ空は明るくても、空気が冷えてくる)滞在した。3分の2はベンチで『かもめの日』を読み、3分の1は動物たちを眺めていた。上野動物園は東園と西園(不忍池周辺)に分かれているが、西園には行かなかった。私のお気に入りの動物はたいてい東園にいるのだ。ジャイアントパンダの「リンリン」が去年の4月に老衰で死んで(享年22歳)、1972年以来、上野動物園の象徴的存在であったジャイアントパンダが不在であるが、WBCで不調のイチローの分を他の選手たちが頑張ってカヴァーしたみたいに、定番的動物たちが一生懸命動物園らしさをかもしだしていた。
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あっち向いてホイ
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フンッ、だ。
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亭主なら若い女のところだよ
上野から日比谷線に乗って恵比寿へ。東京都写真美術館で開催中の二つの展示会、「夜明け前 知られざる日本写真開拓史Ⅱ」と「やなぎみわ マイ・グランドマザーズ」を見物する。前者は地味な企画だが、後者は飛んでいる。モデルとなった若い女性たちが自分の50年後について写真家(やなぎみわ)に語り、写真家はその欲望や不安を汲み取りながら、モデルに特殊メイクをほどこし、撮影の場所や舞台装置に工夫を凝らし、50年後の彼女たちを撮った。いうなれば「未来」の写真集。個々の作品にはモデルの女性の語り(のようなもの)が添えられていて、これが作品の一部として機能している。たとえば、HIROKOという女性は、孫娘と世界を飛び回っていて、ホテルの一室で荷物を解いている孫娘にこんな説教をする。
「どうも判っていないようね。この旅行は遊びじゃなくて、出張なのよ。世界中にいる奴隷達は、わたしのクライアントなの。アナタがチヤホヤされるのは、あくまで『伝説の女王』の孫だから。アナタはまだまだ半人前よ。そこのところをわきまえなさい。わたしがアナタくらいの頃にはね、個人のセックスサービスは非合法。何の保障もなかったわ。最近、あなたが注射一本で治した病気も昔は不治の病で、たくさんの人が死んだのよ。プロの女王を続けるために、おばあちゃんはいろんな差別や悪法と長いこと闘って・・・ちょっと!聞いてるの?!私が築いたイシズエに寝そべる、若い子の無自覚を見ていると引退なんかできないわ。」
観客には若い女性が多かったが、こうした作品に触発されて、彼女たちは一体どんな50年後を語るのだろうか。展示会は5月10日まで。ゼミの学生たちを連れてまた観に来ようかな。ゼミは金曜の夕方からだが、写真美術館は木曜・金曜は午後8時までやっているから。
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深夜、『かもめの日』読了。