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わたしのレコード棚ーブルース150 L.C.Robinson

2021年09月09日 | わたしのレコード棚
 L.C.ロビンソンは、本名ルイス・チャールズ・ロビンソン(Louis Charles Robinson)。テキサスの人で、9歳頃からギターを始め、ブラインド・ウィリー・ジョンソンにスライド奏法を教わった、といわれている。そのジョンソンとの関係について、LPライナー・ノーツではロビンソンの「Uncle」すなわちオジにあたるとしている。しかし、ロバート・サンテリ著『The Big Book Of Blues』では、「The Brother In Law」すなわち義理の兄弟としている。が、確実なことは、分からない。
 生まれにつて、ウィキペディアは1914年5月13日、LPライナーや『The Big Book Of Blues』では1915年5月15日としている。生地については、LPライナーはテキサス州オースチン(Austin)、ウィキペディアなどは同州ブレンハム(Brenham)としている。亡くなったのは、1976年9月26日カリフォルニア州バークリー(Berkeley)だった。
 音楽的な才能に恵まれた人で、ヴォーカルやギターだけでなく、ラップスチール、ヴァイオリン、なども弾きこなすマルチプレーヤーだった。当初は、生まれ育ったテキサスでゴスペルやブルースを演奏していたが、1940年頃に西海岸へ移り、1957年頃までクラブなどで演奏していたという。生業としてクリ-ニングの仕事をしていたらしいが、1971年になってアーホーリーへの録音の機会が訪れる。下のLPがそれである。



 ARHOOLIEレーベルの1062。A面5曲は、1971年8月9日サンフランシスコでの録音。この時は、マディ・ウォータースがツアーで西海岸を回っており、マディ・ウォータースが監修し、マディのバンドメンバーがバックを務めて、1日でスタジオ録音したようだ。B面5曲は同年12月17日やはりサンフランシスコの別のスタジオで、バックをDave Alexander's trioに換えて録音されている。メンバーは、ピアノにDavid Alexander,、ベースにWilliam Hyatt、ドラムスにTeddy Winstonという編成。
 ブルースでヴァイオリンを使う人は少ないが、居ることはいる。古いところでは、ミシシッピー・シークスのロニー・チャットマン、あるいはサウス・メンフィス・ジャグバンドなどで活躍したウィル・バッツなど。二人とも情操の富んだ、メロディックな音使いだった。比較的新しいところで名前を挙げると、ゲイトマウス・ブラウンだが、この人はブルースに限らない多様な音楽が出来る人で、ヴァイオリンを使うときはどちらかというとテキサスやルイジアナの風土に根差した音楽を演奏するときだった。それに比してロビンソンは、エッジの効いたシティブルースをヴァイオリンで演奏している。その点では稀有な人だった。


 LP裏面。右上の写真、中央で担がれているのがロビンソンで、他はマディのバンドメンバーと思われる。左から3人目がハーモニカのチャーリ・マッセルホワイト。右端で帽子をかぶっているのがピアノのパイントップ・パーキンスだろうか。他のメンバーは写真に写っているのが誰かは特定できない。が、名前を挙げておくと、ギターがJames MadisonとSamuel Lawhorn、ベースがCalvin Jones、ドラムスがWillienSmith、となっている。A面3曲目で、パイントップ・パーキンスがご機嫌なブギウギ・ピアノを聴かせてくれている。そのパーキンスについては、ページを改めて書くことにする。

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