King Diary

秩父で今日も季節を感じながら珈琲豆を焼いている

日々繰り返される自爆テロは何故起きるのか

2005年05月09日 16時50分06秒 | 日々のこと
そんな疑問を抱いて買った小室直樹著『日本人のためのイスラム原論』を
やっと連休中に読みました。やっとというのは、買ったのはあの9.11テロの後
の2002年だからそんな表現がぴったりです。内容は以前読んだ同氏著の
宗教原論で読んだことがほとんど重複しているように感じました。一番
気になったことは、ガンダーラ仏がタリバンにより爆破されたのもイスラム教では
一番犯してはならない宗教的タブーの偶像崇拝にあたるからであるという
所です。

宗教的禁忌であっても、イスラムの特徴として他宗教を全否定するのでなく、
イスラムでありながら他宗教を研究することも許されているとその寛容性や
イスラム教布教にあたり、剣かコーランかという誤った布教のされ方も実は
無かったという記述がありながら、このタリバン擁護のような記述はどうも
解せませんでした。バーミヤンの巨大石仏を何故今の時期に壊したかという
説明になっていない気がしました。アフガニスタンがイスラム化してその時に
も巨大石仏はずっと今まで存在したわけですから。

やるのなら日本の観音様でも大仏様でも良かったはずです。
つまり、この本に書かれている基本的な解釈は皆有る程度は持っているが、
今必要なのは、現代のイスラム社会が何故あのような自爆テロを繰り返すかです。
イスラム社会が抱える現代化と宗教的ドグマにゆれる現在とか、派閥ごとの特徴とか
世界とどうして対立してそれは何故か。そういった情報を得たくてみんなイスラム本
を買ったと思うのです。それが歴史的背景と宗教のアウトラインのみでは原論と
いえるのか、ちょっと気になりました。

逆に参考になった点は、イスラム文化やイスラム社会が現代化してないからといって
一時は世界の最先端を行っていた文化レベルやそのシステムが意外と我々が知らない
事です。我々が知っているのはアラビアンナイトの物語くらいです。王様や盗賊や魔法使い
やらが沢山いるところくらいの理解しかないのです。世界の中心がローマから、スペイン、
オランダ、イギリスと移っていった経過は学校でも学びますが,ギリシャやペルシャの
国々が世界の中心だったことは知りません。アメリカ大陸にも南米にも古代文明はあった
はずです。それがなぜか四大文明しか学校で教えないのか疑問に思った人も多いはずです。
しかし、この本で一番気が付きたいのは、日本人の何でも取り入れてしまうところと、
イスラムのようにアラーの教えが唯一絶対のところの差です。キリスト教が繁栄した点と
日本人が繁栄した点の違いも発見してもらいたいです。キリスト教は宗教革命により
より縛りを厳格化したために資本の拡大や現世での幸福追求が起きました。

日本は、帝国主義が連合軍の進駐で解体し、民主化が成されもともとキリストでも仏教で
儒教でも自分たちの合うように改造してしまった民族性もあり、憲法で保障された幸福追求に
戦争で無くなったよりどころを天皇でなく個人の幸福追求に求めこの経済的な繁栄を
手に入れました。しかし、その1200兆ともいわれる個人資産が滞っている為にまったく
幸福感が無く、自殺者が毎年30000人を超えるという国になっています。それを打開する
策でもある郵政民営化もその趣旨を知る人はまれで、ましてやそれが何故遡上にあがったか
何故反対する族議員がいるかも興味がない人達がほとんどです。この政治に無関心な
国民性もネット上では、右傾化した発言を良く見るので政治的にまるで白いかというと
そうでもない変な国です。
コメント
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