King Diary

秩父で今日も季節を感じながら珈琲豆を焼いている

風に吹かれて

2018年05月02日 13時56分06秒 | 珈琲

今月のブレンドは『颯々』です。

 

この季節のイメージといえば松林に吹き抜ける風であり、この時期に掛けられる

茶室の掛け軸の文字を見るたび、いや正にという気持ちにさせるものがあります。

そんな風に吹かれるイメージのさわやかな珈琲をと言葉で説明するのは簡単ですが、

実は言葉からイメージするほど簡単なことではないのです。

 

更に珈琲豆で表現しようとしているのはたださわやかな風に吹かれる境地ではないのです。

 

誰もがこの時期感じる風の心地よさとともにこの初夏に至るほんのわずかな季節に青春の輝きとか

輝く季節とか一番いい季節だとか言いがちなのですが、しかし、その風に吹かれる気持ちと

吹かれた結果を問う最初の颯々という言葉の入り方としてはあなたの表面や外向きのところであり、

実はそんな簡単なことで悟りの境地だとか仏の心と感じてはいけないという師のメッセージであり、

ざわざわとした風の音が実は心を落ち着けるという反対の物を出してきているわけで、珈琲でこの感じを

どう表現するかというのはかなり深いところに踏み込んで珈琲の深淵の話をしないといけないことと

なるのです。

 

それでももっと簡単に字面と音でさわやかな今の季節の風をイメージしましたと簡単に済まして

いるようでいて飲んで感じていただいた方から改めて颯々の意味を問われてそれではという感じで

更に解説する世界観に松林颯々という導入の意図と禅語が求めた問題意識を吟味することで

珈琲があらわす世界観も同様に感じていただくことができると納得される方もいてこれはこれで

どこまで感じていただけるかはその人次第であり、イメージが浮かぶこと自体に感じることの

面白さとか季節感とか自然感とか生命や宇宙やら思うことにより理解というものにつながるという

経験をされるそのものが重要と考えます。

 

今時の風を新緑の丘に立ち受けるさわやかさをイメージして飲むもよし、逆にこのブレンドを味わい

今時の風を感じに外に出てみてもよいし、もともとの禅語の意味を調べるもよし。

その境地に思い致すときとリンクしていつも珈琲があると気が付き、風のイメージと悟りの境地に至る

いざ参れという掛け声程度のことにでもなればよいし、常に風があるという次の発展に思いを馳せるのも

良いのです。

 

 

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