金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

248:河村恵利『時代ロマンシリーズ 14 淡つ江御寮』

2020-11-27 19:09:31 | 20 本の感想
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

戦国時代の覇者・織田信長の妹・於市には
三人の美しい娘がいた。
その末娘・お督の数奇な運命を描いた歴史ラブロマン!!
 
***********************

タイトルからわかるように、浅井三姉妹の江に関連した巻。
ドラマチックな人生なのだけども、
夫たちから江、江の夫たちへの思い入れが
それほど深くは描かれず、
この人生に関する思いのようなものも
押し出されていないので、
全体的にあっさりとした読後感。
ただ、これは無理もないなあと思う。
夫が三人もいるから、シリーズとして描く場合には
夫婦の関係に焦点を当てるのは難しい。
毎回それをすると飽きるし、白々しくなってしまうものね。

『淡つ江御寮』お市と長政、気になる秀吉
『大野御前』佐治与九郎とお江
『岐阜御前』秀勝とお江
『天女五衰』秀忠とお江、おしづ
『浮寝の宿』オリジナル? 江戸時代

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

247:河村恵利『時代ロマンシリーズ19 辻盗り』

2020-11-27 07:59:29 | 20 本の感想
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

“辻盗り”とは、男が路上で気に入った女をさらい、
己のものとすること…。
表題作のほか不思議で切ない恋を描いた歴史ロマン傑作集。
 
***********************

再読。
この巻はオリジナルが多め。
畠山重忠の伝承をもとにした『袖の淵』は
遊女の行動に「なんでそこまで???」としか
思えなかったんだけど、確かに伝承には
「後を追って死ぬことが愛の深さの証」
みたいな思想が感じられる。

『辻盗り』 オリジナル
『梁の上』 オリジナル
『袖の淵』 畠山重忠と遊女
『相生』 オリジナル 江戸時代 ちょっと不思議
『いつわり誓文』 オリジナル 江戸時代 ちょっと不思議

最終話、土佐坊昌俊が絡んでくるとは意外。
起請文を書きながら義経を襲った、というエピソードが
八坂神社の末社・冠者殿社の「誓文払い」という祭事に
つながったとのこと。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

245:渡部泰明 『和歌とは何か』

2020-11-26 08:05:58 | 20 本の感想
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

たった三十一文字の歌のなかに、枕詞や序詞など、
無用ともみえるレトリックが使われる理由とは?
答えのカギは、「演技」という視点にあった―。
身近な疑問を入口に、古典和歌の豊富な具体例をあげながら、
千三百年も続いてきた文学形式の謎に真っ向から取り組む。
歌の言葉と人が生きることの深いかかわりを読み解く、
刺激的な一書。

***********************

最近、和歌集をいくつか読んでいて気になったのが、
明らかに自分より身分の高い相手
(例えば、明石の上に対する光源氏)に贈る歌でも、
敬語が使われておらず、命令形だってこと。
この本の中にそれについての言及もあって、
やはり原則として、敬語は使わないものなのだそうだ。
和歌の言葉は現実の生活語とは違う次元の、
特別な役割を背負った言葉である、とのこと。

枕詞は何のためにあるか? という
あちこちで説明されているトピックについても、
いちばん説明がしっくりきた。
「五音・七音」というまとまりの中で
「五音(枕言葉)」が次の「七音」の予告となって
期待感を高める、選手紹介や相撲の呼び出しに似た
働きをしているとのこと。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

244:渡部泰明 編『和歌のルール』

2020-11-25 14:16:22 | 20 本の感想
渡部泰明 編『和歌のルール
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

これだけ知れば楽しく読める10の和歌のルールをやさしく説明 !

高校の教科書に載っている作品を中心に、
和歌の魅力を味わうのに十分な10のルールを選びました。
初めて和歌を読む人々を思い浮かべて書かれた、
わかりやすくて本格的な和歌案内書です。

ルールさえ知っていれば、今よりずっと楽しめるようになるのです。
ルールといったってずいぶんたくさんあるのだろうなあ、と
不安にならなくても大丈夫です。
どんな競技でも、基本的なルールはそう多くはないでしょう。
そのルールのうち、とくに基本的なものを
解説するのが本書の狙いです。
これだけ知っていれば、和歌の一番大事な魅力を味わうのに十分、と
いうルールだけを選び出しました。

もしかしたら、十個のルールでは少なく思えるでしょうか。
でもこれだけわかっていれば、かなりのものです。
格段に和歌が面白く読めるようになること、請け合いです。

執筆は、上野誠/大浦誠士/小林一彦/小山順子/鈴木宏子/
田中康二/谷知子/中嶋真也/錦 仁/廣木一人/渡部泰明。

***********************

章ごとに執筆者の先生が違い、
章の最後に執筆者がわかるようになっている。
途中で、
「もしやこれは……?」
と思った章が、著作を読んだことのある先生の
担当だったりすると、忘れているようで本の内容は
覚えているものだなと思う。

百人一首に取られた、
「春過ぎて~」「ひさかたの~」
の二種の枕詞は、枕詞の例として
取り上げられることが多いように思うのだけど、
実は用法としては珍しいものなのだそう。
驚き!
長歌についても知らないことがたくさんあった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

243:河村恵利『時代ロマンシリーズ13 竹御所余聞』

2020-11-24 12:02:49 | 20 本の感想
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

武門の府・鎌倉と公家の都・京――――
その暗闘に翻弄された男女の悲恋を描く、
ドラマチック歴史ラブロマン!!

*************************

「竹御所余聞」と銘打った鎌倉もの3編と
オリジナル2編。
将軍にふさわしい存在として公暁が注目されていくのに対し、
実朝の株は下がる一方。
実朝びいきでないわたしでもつらい……と思っていたら、
やっぱり裏があって、という展開。
義時と義村が語りあっているのに胸が熱くなってしまう。

毎回、本当にやるせないが、そこがいい。

【篠の小笹】竹御所と三浦光村、公暁
【花の根問】竹御所と三寅、光村、承久の乱
【なよ竹矢来】宝治合戦
【ひなの里】オリジナル ちょっと不思議
【岸の浦】オリジナル 江戸 ちょっと不思議

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

242:武田友宏 『大鏡 ビギナーズ・クラシックス』

2020-11-24 11:56:34 | 20 本の感想
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

大寺院の法会に集まった2人の老人が若侍相手に語る、
14代176年間にわたる王朝の藤原氏の歴史物語。
華やかな王朝の裏で繰り広げられる道長らの
あくなき権力闘争の実態、
花山天皇の破天荒な振る舞いや
才能豊かな行成の逸話など、
平安の都人たちの興味津々の話題が満載。
平安という時代や「枕草子」「源氏物語」などの
女房文学への理解を深め、
古典を一層楽しく読むための最適な入門書。
役立つコラムや図版も豊富に収録。

*************************

ビギナーズクラシックスシリーズ。
知っている人物や流れが多かったので苦戦はしなかったけれど、
一部をピックアップして取り上げているので
時間の感覚や血縁関係に関する前提知識が
ないと苦しいかも。

村上天皇の中宮・安子が、
天皇の寵愛深い芳子に嫉妬して、
壁に穴を空けてそこから芳子に土器のかけらをぶつける
→怒った天皇が、安子の兄弟を罰すると
安子がキレて天皇に抗議する、
というこのエピソードの無茶苦茶さ。
自分のやったことについては反省しないの??

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

241:河村恵利『時代ロマンシリーズ 12 緋の谷』

2020-11-23 21:37:41 | 20 本の感想
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

源平争乱の時代、乱世の激流に飲み込まれた
哀しい恋を描いた表代作のほか、
珠玉の時代ラブ・ロマンを収録!!

*************************

再読。
かなり記憶が鮮明なので、数年前に読んだんだろうか……?

『緋の谷』教経と影武者になった男
『望めの月』若かりし日の西行
『真澄鏡』常磐と清盛
『化ヶ原』小督と源仲国
『露分け』重衡と源師仲の娘
『夢七夜』オリジナル? 江戸時代、赤穂浪士 

作者さん、教経好きね。
西行の話は、どうも釈然としない。
そういう立場で出会った相手にそこまで執心する
感覚が自分にはよくわからないだけかもしれないけれど。
西行自身の恋ではなかった点が意外。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

239:松薗斉 『日記に魅入られた人々 王朝貴族と中世公家』

2020-11-22 20:06:24 | 20 本の感想
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

押し寄せる時代の波に順応しながらたくましく生きた
王朝貴族・中世公家の個性豊かな姿を、
日記研究の第一人者がわかりやすく解説する。

院政期から戦国時代まで――
いつの時代も一生懸命生きていた人々がいて、
面白い人物がたくさん蠢(うごめ)いていた! 
栄華が過去のものになりつつある時にも、
決してあきらめず前向きに、
押し寄せる時代の波に順応しながらたくましく生きていた
個性豊かな貴族・公家たちの姿を、
中世日記研究の第一人者がわかりやすく説き明かす。

第一章 人生を仕上げた男―藤原宗忠『中右記』―
第二章 日記の中のジキルとハイド―藤原頼長『台記』―
第三章 父と姉と娘と息子―藤原定家『明月記』―
第四章 経光くんの恋―藤原経光『民経記』―
第五章 やさしい宮様(中世の夫婦善哉日記)―貞成親王『看聞日記』―
第六章 戦国の「渡る世間…」―三条西実隆『実隆公記』―
第七章 言継さんの診察カルテ―山科言継『言継卿記』―
第八章 天皇様を支えます! ! ―戦国の禁裏女房たち『御湯殿上日記』―

***********************

同じシリーズの他の巻もチラ見したけど、
この巻はびっくりするほどライトでエンタメしてる。
読みたかったのは『民経記』の部分だけど、
他の部分も面白かった。
師である身分の低い儒士が寝込めば
自ら見舞いに行こうとしてお父ちゃんに怒られたり、
乳母に恩を感じてその娘に米を与えたり、
猫の病気が治るように千寿観音を描いてお祈りしたり、
子どものころの頼長、めちゃ可愛いしいい子じゃん……。
『民経記』は今回、恋にのぼせているところが
ピックアップされていたが、外の部分にも興味が出てきた。
関連本を読んでみよう。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

238:室城 秀之 『うつほ物語 ビギナーズ・クラシックス』

2020-11-20 21:25:44 | 20 本の感想
室城秀之 『うつほ物語 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫)
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

源氏物語に先行する壮大な長編物語。
ある貴族の四代にわたる秘琴の伝授を主題とし、
源氏・藤原氏両家の皇位継承をめぐる対立を絡めて語られる。
異国の不思議な体験や琴の伝授にかかわる奇瑞などの浪漫的要素と、
皇位継承や結婚に関する世俗的な話題を併せ持つ。
絶世の美女への求婚譚、三奇人のエピソードも登場し、
波瀾万丈の展開が楽しめる。
膨大なため全体像がみえにくかった作品を
初めてわかりやすく説いた古典入門書。

*************************

ビギナーズクラシックスシリーズ。
この『宇津保物語』は特に、現代語訳で全編を読もうとしても
早々に脱落してしまうだろうから、
こうしてコンパクトにまとめてもらえるととてもありがたい。

といっても、これだけまとめてもらっても、
「これ誰だっけ??」
「この人とこの人の関係は?」
としょっちゅうわけがわからなくなって
何回も前に戻ったんだけども。

ところどころ、「これ、源氏物語の元ネタかな?」と
思えるエピソードがある。
「どう解釈していいかわからない」という言葉も二つ出てきていた。
『源氏』『伊勢』は定家が校訂した本文を残しておいたため
鎌倉時代までの本文がたどれるが、『竹取』『落窪』『うつほ』は
室町時代・江戸初期までしか本文がたどれず、
意味不明のまま残されている部分があるとのこと。

ストーリー自体はすごく面白いわけじゃないのだけども、
主軸の一つが、恋愛の成就や立身出世ではなく、
「秘琴の伝授」であることが新鮮だった。

【メモ】

・六歳でまだ乳を飲んでいる。
 主人公が三歳で飲まなくなったのは「孝養譚」として。
 当時はかなり長い間飲んでいた。

・複数の物語が合体して一つにまとめられた?

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

237:河村恵利 『時代ロマンシリーズ 9 初花染め』

2020-11-18 23:30:36 | 20 本の感想
河村恵利 『時代ロマンシリーズ 9 初花染め
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

戦国時代、美女で名高い浅井三姉妹の次女・初姫の前に現れた
謎の階(きざはし)とは!? 珠玉歴史ロマン集!!

*************************

積読解消月間その4。
この巻は戦国~江戸が多め。
共通したモチーフあり。

五郎八姫、大河の「独眼竜政宗」で名前を知ったけれど、
結婚に関してはこういう運命をたどったのか。
河村先生のヒーローは聡明だけど、その後興味を持って
wikipediaを見ると伝わっている人物像のギャップに
びっくりする。

京極高次は大河ドラマ『江』のせいで、まったく何の役にも立たん
アホのイメージが定着してしまった。

【初花染め】お初と京極高次
【遠つ長路】松平忠輝と五郎八姫
【木の下闇】秀吉の妹・旭の生涯
【媛姫残香】上杉綱勝と保科媛姫
【中の衣】オリジナル? 
     女が蛇になって追ってくるという類型に則ったもの
【屋島】現代が舞台 平教経と菊王丸

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする